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本会議(第166回国会 平成19年6月4日)

更新日付 2009.06.04

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山根隆治君
民主党の山根隆治であります。
私は、冒頭、松岡農林水産大臣の御冥福を心よりお祈りを申し上げます。
さて、大臣死去の報に接し、政府高官が様々な発言をなさっておられます。その中で、私には看過できないものがあります。

農林水産省所管の緑資源機構による官製談合事件について、東京地検特捜部の強制捜査が始まっていることは周知の事実であります。

自殺した松岡農相が関連法人から献金を受け取っていた問題を指摘されていることに関し、安倍首相は二十八日夕刻、記者団に対し、本人の名誉のために言うが、捜査当局から松岡農相の取調べを行った事実はないし、これから行う予定もないという発言があったと承知しているとコメントをされました。これは、捜査中の刑事事件について総理大臣が捜査情報を捜査当局の発言を引用する形で意図的に暴露したというゆゆしき事態であります。また、長勢法務大臣は二十九日午前の閣議後の記者会見で、松岡農相への直接の捜査があったという話は聞いていないと語るなど、意図的な情報漏えいが行われております。

一国の首相が国民の前で取った言動は、動揺していたからとか、軽率だったで済むものではありません。今回の発言が公務員の守秘義務に違反するのは明らかであります。と同時に、法の下の平等を踏みにじる暴挙であります。総理の御見解をお伺いをいたします。

それでは、ただいま議題となりました年金関連法案について、民主党・新緑風会を代表し、国民の心の底からの怒りを代弁する形で質問をいたします。

安倍総理は、美しい国を政治目標に掲げ、戦後レジームからの脱却を主張されています。これは、小泉内閣で顕著となった国民の間の格差拡大や閉塞感を、こそくにナショナリズムを高揚させることで覆い隠そうとする隠ぺい策そのものに見えてなりません。安倍内閣の国民生活無視と強権主義は、今回の法案の衆議院における強行採決により、一層あらわになりました。

公的年金制度は、国民の老後の暮らしを支える世代間の支え合いであります。そして、制度を運営する国に対する揺るぎない信頼感があってこそ、これは初めて成立するものであります。ところが、その年金の支給漏れという重大なミスを目の前に突き付けられているのに、なぜ法案の成立を急ぐのか。やみくもに本法案の成立を強行しようとする安倍内閣の姿勢を厳しく批判しつつ、柳澤厚生労働大臣ほか関係大臣に質問をいたします。

国民の年金制度に対する信頼が根底から揺るがされています。申すまでもなく、五千万件以上に及ぶ消えた年金納付記録の問題であります。せっかく納めた年金保険料が、いざ受給年齢になったときに、社会保険庁のミスによって、年金の受給額が減るばかりか、場合によっては二十五年の最低加入期間を満たさないとして年金が支給されなくなるおそれがあるという問題であります。

先日の党首討論で、我が党の小沢代表の質疑に対し、安倍総理の答弁は責任逃れに終始をしておりました。歴代の社会保険庁長官やすべての関係者という表現をもってその責任について他人事のように言及されていることは、一国の総理としての潔さに欠けてはいないでしょうか。

メールマガジンの中で総理は、社会保険庁による不祥事が国民の信頼を失墜させたことに私は激しい憤りを感じてきましたと書かれていますが、本末転倒ではありませんか。国民は、最終責任者であるあなたに責任を求めているのであります。これでは、国民の怒りにたじろぎ、部下に責任を負わせて自ら保身に走るこうかつな指導者そのものの姿ではありませんか。

自由民主党の総裁、そして内閣総理大臣という国家の最高権力者に位置する者は、おいしい果実やまばゆい光だけを享受するのではなく、過去からの重い荷物も背負い、時に不条理を受け入れ、暗いやみの中を独り歩く覚悟や勇気が必要であります。また、テレビ中継された党首討論の場では、野党席からのやじに何度も過敏に反応してしまう総理の姿に、国民は、この方に国を任せていて大丈夫なのだろうかという疑念を抱きました。

総理、あなたの学ばれた帝王学に基づきまして、御自身の御所見をお聞かせいただきたいと思います。

具体的なお尋ねをいたします。
このような膨大な未処理記録がなぜ発生したのか、責任の所在はどこにあるのか、担当大臣としての厚生労働大臣にお伺いいたします。

また、保険料を納付した事実があると申告した国民に対し、社会保険事務所がこれまで証拠がないとして門前払いをしてきたのは言語道断であります。そもそも三十年以上前の昔の領収書を保存しておけというのは、およそ非現実的な話であります。
民主党は、衆議院において、実際に消えた年金の被害に遭って苦労している方々の実態を具体的に示し、早急に対応策を講じるように求めました。そもそも、正当な権利に基づく裁定がなされていない段階で消滅時効が完成するということは、論理矛盾であります。我が党はいち早く、領収書以外でも保険料の納付の事実を証明できるようにするなどの方針を出してまいりました。一年以上に及び民主党が粘り強く追及しなければ対応策が政府から出てこなかったというのは、全く情けない限りであります。

政府・与党の対応策で問題なのは、相変わらずの申請主義、つまり国民からの訴えがない限り被害は救済されないことであります。より多くもらえる権利があるのにそのことに気付いていない潜在的被害者はどうやって救済するのですか。一方、訴えがあり、今まで申請に基づき訂正された方は一体何人を数えますか。消えた年金がこれらの対応策で果たして確実に戻りますか。

さらに、一年以内で調査すると総理は言われましたが、単純計算しただけでも、五千万件の確認作業には一日十七万件の処理が求められます。職員を削減しながら、本当にそのようなことが可能なのでありましょうか。もしそれが果たせなかったときの責任は、国民の前に、テレビの前でもはっきり約束された総理御自身が負うことになるのは当然と思いますが、総理の御見解を改めて伺っておきます。

また、社会保険庁の記録と市町村の保有する記録を突合するとしていますが、既に保険料納付記録を廃棄した市町村が三百近くもあるとされています。なぜ、記録を保管している市町村がある一方で、これを廃棄してしまった市町村があるのですか。また、市町村の記録が廃棄されたものについては突合は不可能ではないでしょうか。社会保険庁側、被害者双方に記録や証拠がない場合の取扱いについての手続をできる限り早く策定するとしていますが、いつまでに策定されるのでしょうか、お伺いします。

さらに、対応策の出し方にも疑問があります。なぜ与党の議員立法なのでしょうか。政府が責任を認めるならば、当然内閣から法案を提出すべきであります。総理は閣法では時間が掛かると党首討論で答えていますが、これでは余りに無責任ではありませんか。これらについて厚生労働大臣の見解を求めます。

当初、対応策を法案として国会に提出するのは秋の臨時国会と言われていましたが、世論調査での内閣支持率急落に慌てたのか、急遽今国会に提出することになったと伝えられています。いかにも選挙目当ての場当たり策だと言わざるを得ず、お粗末の極みであります。
我々民主党は、消えた年金問題を解決し、国民に安心をもたらすため、衆議院において年金信頼回復三法案、すなわち歳入庁設置法案、年金保険料流用禁止法案、年金記録被害者救済法案を提出をいたしました。これこそ、年金制度への国民の信頼を取り戻し、安心、安定の年金制度づくりに必要なものであります。しかしながら、この三法は衆議院厚生労働委員会で棚上げ状態であり、審議もされておりません。それにもかかわらず、年金機構法案のみ強行採決し、付け焼き刃でほとんど対象者のいない年金特例法案のみを職権で審議しました。私たちは、内容の充実した年金記録被害者救済法を提出しております。なぜ、与党は積極的に衆議院で審議に応じなかったのでしょうか。理解不能であります。

社会保険庁がいかにでたらめでずさんな仕事をしてきたのか。保険料による無駄な箱物や職員宿舎の建設、公用車やゴルフボール等の物品購入、また監修料事件や事務機器をめぐる贈収賄事件、さらには、昨年発覚した不正免除事件等々を国民は忘れてはいません。

このような途方もない失態に対し、厚生労働大臣や厚生労働省の幹部はだれか責任を取りましたか。渡辺行政改革担当大臣は、歴代の幹部職員の責任問題をどうお考えでありますか。また、これに関し渡辺大臣は、歴代の社会保険庁長官の退職金を返還させると発言したと伝えられていますが、法律上の根拠はどこに置かれるのか、お伺いをいたします。

今回の法案について政府は、社会保険庁を分割、解体し、公法人の日本年金機構をつくるのだと強調します。つまり、職員を公務員でなく民間人にするというわけでありますが、職員の給与はこれまでどおり国費で賄われるものであり、実体上は公務員組織と言えます。これでは単なる看板の掛け替えにすぎないのではないでしょうか。しかも、形式上、非公務員組織としたことから大きな問題が指摘されています。つまり、日本年金機構には国会の直接的統制が及ばなくなること、機構から業務委託先の民間企業に対する天下りに法的規制ができないこと、公務員の場合より給与が高くなるおそれがあることなどであります。

これでは、正に解体とは名ばかりで、実際のところ焼け太り以外の何物でもありません。これらの問題について、厚生労働大臣は反論できますか、お伺いいたします。

とりわけ問題なのは、政府案で年金保険料の無駄遣いが本当になくなるのかということであります。確かに、年金保険料を福祉事業に充てることは削除しましたが、その代わりに、年金相談や教育、情報提供などの事業費に充てることが盛り込まれました。これでは、またぞろ全国各地に年金相談センターなどの施設を造ることになることが懸念されます。本来、年金保険料は年金の給付にのみ充てるべきであります。保険料無駄遣いの抜け道にならないのかどうか、厚生労働大臣、お答えください。

歳入庁構想に関して伺います。
税と社会保険料を一体的に取り扱う徴収機関は、英国、スウェーデンを始め、先進諸国に実例があるにもかかわらず、財務大臣は我が党の歳入庁構想に否定的な見解を述べておられます。財務大臣に改めてその理由をお尋ねをいたします。

政府案にはほかにも多くの問題点があります。
社会保険庁の職員は第三者機関で審査した上で年金機構への採用を決めるとのことですが、この際、大幅な人員削減を行うとされております。つまり、政府自らが生首を切ることになるわけでありますが、どのような基準をもって行うのか、職員の士気をどのように保とうとされるのか、お伺いします。

さらに、職員の引継ぎ規定を設けないことは国家公務員法に抵触しないのか、職員の雇用確保に万全を期すべしというこれまでの累次の国会決議との整合性はどうなるのか、渡辺行政改革担当大臣にお伺いをいたします。

また、政府の言う六分割により、消えた年金記録の責任の所在があいまいになることや、調査、救済の実施体制が確保できなくなるおそれがあるのではないか、国会の統制の届かない非公務員組織とすることで問題の幕引きを図ろうとしているのではないか、厚生労働大臣の答弁を求めます。

さらに、国民年金保険料滞納者に対し、市町村は国民健康保険の短期被保険者証を発行することができるとされ、協力してくれる市町村には財政上の配慮をすると言われています。一体、国民の命綱である国民健康保険制度で懲罰的措置を課すことが許されるのでしょうか。国民健康保険の保険料納付率まで低下するとの地方自治体の懸念にはどうこたえるのでありましょうか。こうした措置は導入すべきではありません。厚生労働大臣の見解を求めます。

年金問題に対する国民の怒りは、消えた年金問題の浮上でこれまでになく高まっております。国民の疑問にこたえないまま政府案の成立を強行すべきではありません。安倍内閣が本当に年金制度への信頼を取り戻そうとするのであれば、民主党が提出した三法案に真摯に向かうべきであります。民主党案を熟読玩味すれば、どちらが国民のためになる提案なのかは一目瞭然であります。自民党、公明党の言う百年安心の年金改革は、実のところは一日も安心できない年金改革でありました。与党の皆さんは、今改めて国民の前に謝罪すべきではありませんか。

議長(扇千景君)
山根君、時間が超過しております。簡単に願います。

山根隆治君(続)
それとも、三年前の保険料値上げ、給付削減のあの年金改革は、今でも百年安心なのだと強弁できるのですか。厚生労働大臣に伺います。

七月には、天下分け目の参議院選挙が行われます。民主党は、与党を完膚なきまでに打ち負かし、一日も早く政権交代を実現いたします。私たちの断固たる決意を表明して、私の質問を終わります。
ありがとうございました。(拍手)
〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇、拍手〕

内閣総理大臣(安倍晋三君)
山根議員にお答えをいたします。
松岡大臣逝去に関する私と法務大臣の記者団へのコメントについてお尋ねがありました。
私どものコメントは、東京地方検察庁において行われた検察庁幹部による記者への発言、すなわち公表された事実に言及したものにすぎません。したがって、捜査に立ち入るようなものでは全くなく、漏えい云々との御指摘はおよそ見当を得ないものであります。

先日の党首討論での私の答弁等に関連して、私が年金記録の問題について責任逃れをしようとしているのではないかとのお尋ねがありました。

先日の党首討論をごらんになっていた皆様は御存じかとは思いますが、私は、年金記録の問題に関して、政府のトップは私である以上、その責任はすべて私が背負っていると明確に申し上げております。また、昨日の街頭演説で申し上げたように、政府の責任者として国民の皆様に大変申し訳ないとの思いでございます。この認識の下で、私はこの問題に対して具体的にどのような対策を講じていく考えであるか、御説明させていただきました。そして、そうした具体策を責任を持って行っていくと断言をしたわけでございます。

国民の不安が高まる中で、今求められていることは非難の応酬に終始することではありません。互いに具体的な案を示しながら、真に国民のためになる対策をつくり上げ、それを速やかに実行に移すことであります。私は、正にその具体策を先般の党首討論の場においてお示しをした次第でございます。今後とも、政治を停滞させることなく、やるべきことをしっかりと実行しながら、国民の負託にこたえてまいります。それこそが政権を担う責任感であると考えております。

年金記録問題についてお尋ねがありました。
基礎年金番号に統合されていない五千万件の年金記録につきましては、今後一年間で被保険者及び年金受給者の記録との突き合わせを行い、同一人の可能性がある方にはその旨と各人の加入履歴をお知らせをし、年金記録の確認をしていただくこととしております。なお、その際には適切なシステム開発を行うこと等により、定員の合理化を図りながらも着実に実施をしてまいります。こうした方法を始めとして、年金記録の統合を進めるとともに、国民の皆様には社会保険庁への積極的な問い合わせをお願いしていくことにより万全を期してまいります。

なお、年金記録の訂正は、年金の裁定時に加え、年金相談など様々な機会をとらえて行われることから、それを人数として把握はしておりませんが、年金記録相談の特別強化体制において昨年末までに御本人の証拠書類により記録の訂正を行った件数は五十五件と聞いております。

いずれにいたしましても、政府としては、国民の視点に立って、できる限り速やかに、かつ行うべきことはすべて行い、責任を持って国民の不安の解消に最善を尽くしてまいります。
残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)
〔国務大臣柳澤伯夫君登壇、拍手〕

国務大臣(柳澤伯夫君)
山根議員にお答え申し上げます。
最初に、年金記録の未統合の問題の経緯等についてお尋ねがありました。
基礎年金番号に統合されていない年金記録が残っておりますのは、平成九年にすべての制度を通じて一元的に記録を管理するため基礎年金番号を導入することといたしましたが、その際、現に受給しているかあるいは加入している国民年金、厚生年金、船員保険及び共済組合の記号番号に基礎年金番号を付番いたしました。このため、転職などをする間に過去に加入していた年金の記号番号がそのまま残存し、その後、統合の努力をいたしましたが、今なお五千万件の記号番号が未統合となっているものであります。

この間、十年間の期間が経過しているにもかかわらず、このように統合の進捗状況がはかばかしくないことについては、当初の制度設計の詰めが不十分であったこととともに、年金事業を運営する当局として大きな責任があると考えております。

この上は、総理の御指示に従い、今後一年間で五千万件の記録と年金受給者、被保険者の方すべての記録との名寄せを完了させた上で、該当する可能性がある方々に対して、各人の加入履歴をお送りをし確認を求めることにより、記録の統合に全力を傾けてまいります。

次に、社会保険庁の保有する記録と市町村の保有する記録との突合についてのお尋ねがございました。
市町村が国民年金保険料の収納業務を行っていた時期に備え付けていた国民年金被保険者名簿は、国民年金法に基づき社会保険庁が保管する国民年金原簿とは異なり、市町村が収納業務を遂行するに当たって納付状況を管理するための当座の帳簿として備え付けていたものでございます。

平成十四年四月、国民年金保険料の収納業務が社会保険庁に移管されたことに伴いその用途が廃止され、市町村に国民年金被保険者名簿の保存、管理の義務がなくなりました。そのため、その後、各市町村の判断によりこれを廃棄したところもあると承知をいたしております。

今回、未統合記録の把握の徹底のためオンライン記録の確認を行うこととしておりますが、これは必ずしも市町村の国民年金被保険者名簿と突合する必要があるものではなく、基本は、社会保険庁のマイクロフィルムや紙台帳との突合を行い、補完的に市町村の国民年金被保険者名簿と突合するものであります。現在、市町村には国民年金被保険者名簿の保存をお願いし、補完資料としてできる限り利用させていただくことといたしております。

保険料の納付に関する記録や証拠がない場合の取扱いについてお尋ねがありました。
政府としての基本的な姿勢は、領収書等がない場合であっても、まじめに保険料を払っていた方々の気持ちに立って、お話を丁寧にお伺いしながら、様々な資料に基づいて納付があったと認められる場合には記録の訂正を行うという姿勢で臨むことであります。
このため、年金記録の訂正の可否の判断に当たっては、社会保険庁だけの判断によるのではなく、外部の有識者等から成る第三者委員会を設置し、そこで御本人の申立てを十分に酌み取っていただいた上で公正な判断が行われる仕組みを設け、適切な対応を期することといたしております。現在、こうした趣旨を踏まえて、具体的な委員の人選や個別の事案について検討していただく際の手続等の詳細について検討を進めており、今月中に第三者委員会を設置いたしたいと考えております。

次に、時効特例法案についてのお尋ねがありました。
年金記録の訂正に伴って年金額が増額された場合、消滅時効により五年以上さかのぼっては給付することができないという問題がございます。この消滅時効を行政側が主張することについては、その主張が信義則に反して許されない場合もあるが、それは極めて例外的というのが判例の考え方であり、行政上の運用だけで多くの方の権利回復を図ることは難しいのでございます。

この問題の解決は、国民生活にとって大きな影響があり、特に年金受給者には高齢者の方が多いことから、緊急を要する課題であります。このため、今般、こうした事情を総合的に勘案し、与党が特別の立法措置を講ずるとの決断をされたものと承知しており、その内容については、政府といたしましても、必要な協力をいたしたところでございます。

次に、非公務員型の公法人の性格についてのお尋ねがありました。
第一に、日本年金機構と国会との関係については、その業務等について、厚生労働大臣が直接的に管理運営責任を負うため、引き続き国会の監視を受けることに変わりがありません。

第二は、機構から業務委託先に対する天下りについて、幹部職員に早期退職勧奨の慣行がある中央省庁とは異なり、まじめに働く職員はそれぞれの能力に応じて定年まで勤務できるようにすることによって、機構が押し付け的な天下りをする必要がないこととなると考えております。また、機構の発注契約について、競争入札や企画競争入札を原則とし、その業務の透明性を高めることにより、不明朗な天下りの土壌が生じないこととなると考えております。

第三に、機構の職員の給与総額につきましては、国からの交付金が国の予算で決められることから、その時点における公務員の給与水準などを参照しながら、適正に算定するものと考えております。

このようなことから、非公務員型の公法人になることで改革に逆行になるとの批判は当たらないと考えております。

年金保険料の無駄遣いがなくならないのではないかとのお尋ねがありました。
政府におきましては、平成十六年三月の与党合意を踏まえ、年金保険料は、年金給付及び年金給付に関連する年金相談等の事業費や事務費以外には充てないという考え方で対処いたしております。

今回の法案では、御批判のあった「必要な施設をすることができる。」旨の規定を廃止した上で、事業の範囲を限定し、年金相談、年金教育及び広報、情報提供など、真に必要なものを法案に限定的に列挙をいたしております。これにより、厚生年金会館等の施設は今後造られないことが法律上も明らかになっております。

また、年金事務費のうち、適用、徴収、給付など保険事業の運営に直接かかわる経費は年金給付と密接不可分なコストであり、受益と負担の明確化という観点からも、保険料を充てることとするものであります。これは、他の公的保険や諸外国の例から見ても妥当なものと考えます。

重要なことは無駄遣いをしないことであり、毎年度の予算を精査するとともに、調達に当たっても調達委員会により厳格な審査を行うなど、無駄の排除を徹底してまいります。また、今後、年金保険料の使途が国民の目に常に明らかになるように、ホームページで予算を公表してまいります。

日本年金機構の設立後における年金記録の調査、救済に関する責任についてのお尋ねがありました。
日本年金機構の設立後におきましても、国が公的年金の財政責任、管理運営責任を担うこととなっております。したがいまして、今回の年金記録問題への対応については、機構の設立後においても国が責任を持って対処する考えであり、機構設立により幕引きを図るなどということは毛頭考えておりません。

国民年金保険料の未納者に対する国民健康保険の短期被保険者証の発行についてのお尋ねがございました。
国民健康保険の短期被保険者証は、通常の被保険者証と比較して何ら受診の際のサービスが異なるものではなく、有効期間の短い被保険者証の発行を通じて市町村が保険料未納者との接触の機会を増やし、市町村の窓口で保険料納付などを直接働き掛けることを目的として設けられたものでございます。

今回の措置は、このような国民健康保険の短期被保険者証の機能に着目し、これと同様に、国民年金保険料の未納者に対しても市町村が接触して保険料納付を直接働き掛け、又は免除の案内により年金受給権の確保につなげることを目的として実施するものであります。したがいまして、今般の措置が国民健康保険の保険料の納付に影響を及ぼすことではないと考えております。

最後に、年金制度の持続可能性についてのお尋ねがありました。
年金制度につきましては、平成十六年の制度改正におきまして、長期的な給付と負担の均衡を確保し、制度を持続可能なものとするための見直しを行ったところでございます。また、本年二月に発表した暫定試算では、昨年末に公表された新人口推計の中位推計や近年の経済動向を織り込むと、全体として年金財政が好転しており、最終的な所得代替率は五一・六%と見通されたところでございます。

なお、年金記録の問題については、総理の御指示に基づき、政府、与党一体となって包括的かつ徹底的な対応を行い、国民の年金事業運営に対する信頼の回復を確保してまいる決意でございます。

年金財政につきましては、法律の規定に基づき、平成二十一年度までにしっかりと正規の財政検証を行うなど、国民の老後生活等の安心の確保に最善を尽くしてまいります。
以上でございます。(拍手)
〔国務大臣渡辺喜美君登壇、拍手〕

国務大臣(渡辺喜美君)
歴代幹部職員の責任問題についてのお尋ねがございました。
今回の改革で最も重要なことの一つは、かつての社会保険庁に見られたような無駄遣いは絶対にさせないということであります。そのための取組を徹底し、社会保険庁を抜本的に改革することにより、責任を果たすべきだと考えております。

また、総理も答弁申し上げているとおり、社会保険庁の年金記録問題については、基礎年金番号導入に当たっての設計段階から今日に至るまで、社会保険庁長官を含め、すべての関係者には大きな責任があると考えております。そこで、この問題に関する有識者から成る委員会を設けると承知しており、その場においてしっかりした調査、検証を行っていくことが重要であります。そして、具体的な責任の取り方の一例として、自主的な退職金の返納についても言及をいたしました。まずは、有識者委員会において事実関係を精査することが前提になると考えております。
次に、社会保険庁職員の雇用についてのお尋ねでございます。
私は、総理の指示により、日本年金機構の業務委託の推進と職員の採用に関する基本計画を定める際の学識経験者からの意見聴取について担当することになっております。様々なしがらみにとらわれることなく、国民の目線で、公的年金に対する国民の信頼を回復するため全力で取り組んでまいります。

次に、日本年金機構設立に際しての社会保険庁の職員の雇用についてのお尋ねでございます。私は、直接の所管ではございませんがお答えいたします。

まず、職員の引継ぎ規定を設けるかどうかについては、国家公務員法との関係の問題ではなく、政策判断の問題であります。本法案の制度設計に当たり、厚生労働大臣が適切に判断されたものと理解しております。また、具体の職員の採用に関しては、日本年金機構の設立委員が職員採用審査会の意見を聴いて、厳正な審査の上、決定する仕組みとなっております。新組織の職員としてふさわしくない者が、そのまま漫然と採用されることはないと考えております。

累次の国会決議との整合性についての御指摘は、どの決議を念頭に置かれているのか直ちに判然とはいたしませんが、社会保険庁職員の雇用については、国家公務員法や判例を踏まえ、任命権者である社会保険庁長官が適切に対応されるべきものと承知をいたしております。(拍手)
〔国務大臣尾身幸次君登壇、拍手〕

国務大臣(尾身幸次君)
山根議員からの御質問にお答えいたします。
民主党の歳入庁構想案についてのお尋ねがありました。

国民年金は、滞納額が平均約二十万円と少額多数の債権であり、自主的な納付に結び付けることが基本であります。他方、国税は一千万円超の滞納が滞納額全体の約六割を占めており、大口悪質な案件に重点を置いて対応をしているところであります。また、自営業者等の国民年金第一号被保険者約二千二百万人のうち、所得税を申告している者は約三百五十万人にとどまっております。したがいまして、全体として見れば国民年金と国税の徴収対象は大きく異なっていることを御理解いただきたいと考えております。こうしたことから、民主党の歳入庁構想案では、収納率の向上や徴収の効率化に必ずしもつながらないと考えております。

さらに、政府といたしましては、民主党案は様々な問題が生じた社会保険庁を公務員組織のまま温存するということにつながりかねないという問題があると考えております。
政府の社会保険庁改革法案におきましては、新たに非公務員型の新法人を設立いたします。さらに、総理の御指示を踏まえ、特に悪質な滞納者については、厚生労働大臣から委託を受けて国税庁が強制徴収を行う道も開かれているところであります。(拍手)

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