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■2003年6月5日発行号
▼櫻井よしこさんの傍聴( 5月29日)
国立大学法人化法案について、私の所属する文教科学委員会で審議が始まった。
傍聴席がほぼ満席になりかけた頃、急に周囲がパァ〜っと華やいだと思ったら、評論家の櫻井よしこさんが委員会室に入ってこられた。黒いシャツの上に心なしか襟を立てて着込んだ白いスーツが眩しいように輝き、美しい知性の人は、テーブルの上に指を絡ませて両の手を置いた。トップバッターの有馬先生の質問には、時折、メモを走らせていたが、政府側の答弁に何度か「心強い答弁だと思います」との有馬先生の発言に苦笑したりしていた。
元文部大臣の有馬・西岡両先生が先ずは論陣を切った。いよいよ今日からこの法案の本格的審議のスタートである。
▼住宅金融公庫の廃止( 5月31日)
国民は小泉さんに騙されていると思える事がいくつもある。評判の悪かった自民党に在って、自党を厳しく批判することで“改革者”のイメージを創り上げ、総理の座にまで昇り詰めたが、国民の生活を守ることには全く成功していない。そればかりか、自分の政治活動を資金的に援助してもらってきた銀行業界には、まるでご恩返しでもするかのように、国民の税金を注ぎ込み続けている。郵政の民営化にもその真意は奈辺にあるのか、私は疑問に思っている。
又、先般、代理出席した国土交通委員会での住宅金融公庫(以下 公庫)を廃止する為の法案審議では、出席した自民党推薦の参考人でさえ、廃止には疑問符を付けていた。つまり、公庫を無くせば国民の行く先は、銀行になってくるのだ。銀行は今、企業融資でも見られるように、安心のできる、今すぐにでも儲けさせてくれる企業にしか融資していない。企業を育てるとか、社会的責任を果たすとかいった感覚はもうない。若い人が住宅を購入しようとしても、優良企業に勤めているような人にしか融資しなくなることは眼に見えている。住宅建設は波及効果が依然として大きいが、公庫が果たしてきた社会的責任をとても今の銀行が果たす意志と自覚があるとは思えない。
公庫の廃止は経済の足を引っ張ることになりはしないか。行革の名の下に行う、国民を真に支えてきた公庫を血祭りに上げるという安易な発想は歴史の汚点になると思う。時代の応援はなかったが、この25年間ずっと地方議会にあっても一貫して行革の推進を叫び続けてきたという自負を持つ私の立場からでさえ、公式な党の判断とは異なってしまうが、公庫の廃止はあまりにも安易な選択だと思う。
▼大臣の自由時間( 6月 2日)
資料だけではなく、自分で選んだ好きな本を読んだり、思索したり瞑想したりする自由な時間が少なくとも1日に2〜3時間、トップリーダーは確保した方が良いと思う。
決算委員会の論議の中で塩川財相は、「総理と話し合いたいと申し入れても、3回に1回位しか実現しない」と嘆いて見せたが、「本当かいな」と思う。財政の舵取り役と総理との連携は、国民の生活にも直結するのだから、密にして欲しいものだ。「総理はとても多忙なので・・・」と塩川さんは答えていたが、総理や大臣は国会最優先で、次に外国要人との対外交渉、国際会議といった優先順位だろう。しかし、国内にいる時のスケジュールでは、形式的な式典などの参加は副大臣等に任せれば良い。自由な時間で思いきり頭と心をリラックスさせて正しい政策決定をして欲しいと思う。
国民にとっては、多忙で働き者の大臣よりも、とにかく正しい選択で国益の果実を生んでくれる政治家が必要なのだから。
▼パネルの値段( 6月 3日)
テレビ中継の入る予算委員会などで、よくパネルを使う議員がいる。資料等を読み上げるよりも、テレビを通じ国民にも直接、視覚に訴えることの効果は大きい。私が代議士の秘書となった頃から使われ始めたから、もう30年以上にもなっているのは明確だが、事務局に問い合わせてみたが分からないという。
先日、わが党の川橋幸子議員がパネルを使う際、「このパネルは前にも使わせてもらっていますが、とても高いものですから、もう1度使いますけど・・・」と女性らしい細やかな気遣いが思わず口に出て、笑いで議場が包まれたことがあった。質疑が終わってから、「いくらかかっているんですか」と聞いてみたら5万円だという。精々、5千〜1万円位だと思っていたので意外と高いのにはビックリした。「個人負担ですか」と更に下世話な興味が抜けない私は聞いてみたら、「党の負担なんです」とのこと。
民主党は図体が大きい割にお金は淋しい政党。5万円は政党として大きな負担ではないだろうが、多用はしづらい。少なくとも1年生議員のうちは無理だろうな、と思う。
▼工作船の視察( 6月 4日)
拉致議連で北朝鮮の工作船を視察してきた。議員は7〜8人しか来られなかったが、マスコミの取材がすごいのには驚いた。テレビ、新聞などマスコミ関係者は20〜30人はいた。
先ず、海上保安庁が撮影した生々しく干戈を交えた(かんか/交戦した)模様を伝えるビデオを見せてもらったが、射撃までのプロセスがいかにも日本らしく、丁寧に重畳(ちょうじょう/幾重にも重なること)な手順を踏まえていった事が印象深かった。雨中で、一般の方々も傘を差して長蛇の列を作っていたが、2〜3年前までは、考えられなかった国民の関心の高さだ。地道に運動されてきた人々に心より改めて敬意を表したい。
議連の会長は石破さん(現・防衛庁長官)から中川昭一さん(元・農水相)にバトンタッチされたが、中川さんの御尊父、中川一郎先生には生前、何度も謦咳に接して(けいがい/尊敬する人に直接会うこと)きたので、昭一議員にも少なからぬ関心を私は個人的に寄せていた。マスコミに乗じて、おもねるかの様に少しでも自分を売り込みたがる議員が多い中で、全くテレビカメラなども意識せずに丹念に工作船内にあった武器等の展示品を見て回る姿は、私の眼には清々しく映った。議連会長なのだから、先頭を歩く説明員に次いで歩いていれば、テレビカメラがずっと追ってくれるし、新聞社のカメラにも被写体として入り易い筈なのだが、そういった計算はどうやら全くない人のようで、私が「先頭を歩かれた方が良いですよ」と何度も促したが、「ええ」と返事はするものの、全く無頓着だった。
翻って工作船。私が想像していたよりずっと船体が大きかった。全長29.68M、幅4.66Mで、速力は33ノット(61KM)出ていたという。15人乗りで寝床は5人分しか用意されていない、というのは、いかにも北朝鮮船らしい気がした。説明してくれた元・工作員の話は、自らも同様の船で訓練を重ねてきた経験を基にしたものだから、生々しく迫ってくるものがあった。「ハッチの開いているところが拉致した日本人を入れておく場所」との説明にギクッとさせられたが、同行した蓮池さんのお兄さんは、どんな思いだったろうか。北朝鮮では工作員に対し、決して日本人は攻撃してこない、と教え込まれていたという。仮に今後、更に工作活動を続けてくるとしたら、今度はかなりの重武装をするか、潜水艇を使ってくる可能性が高いと見ておく必要があるだろうと、説明員の話を聞きながら私は感じた。
工作船は、東京 お台場の「船の科学館」に於いて、9月30日まで無料で一般公開されている。
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