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■2002年10月10日発行号
▼海外視察報告(1)(10月 5日)
8月25日から9月7日までの2週間、私は参議院の「国際問題に関する調査会」から、特定事項調査のためトルコ、シリア、レバノン、エジプトの中東4ヶ国とイギリスへ派遣された。イギリスを除けば初めて訪れる国々で、アメリカによるイラク攻撃が準備される中でもあり、この視察は私にとり緊張に包まれながらのものであった。
団長(自民)、自民、民主、公明、共産、自由の各党から1名ずつ6名の団構成であったが、関谷団長(自民党、愛媛県選出、元郵政・建設大臣)の大らかな人柄で、最後までチームワーク良く仕事できた事は幸いであった。個性の強い人達の集まりでもある政界の国会議員が2週間も行動を共にするのだから、若干のトラブルは覚悟していたが、むしろ互いを理解し合い、信頼関係を深められた事は望外の収穫だった。
埼玉県議会では、以前、1ヶ月間に及ぶ海外視察でいくつものトラブルが起こっていたと先輩議員から聞かされた事があった。同室同志で殴り合いの喧嘩となったり、自分の思い通りとならずに1人、帰国してしまったりといったことが起こったそうで、それから、視察期間を2週間に短縮したり、1人1室にしたりといった措置がとられた。国会議員として初めての海外視察がチームワーク良く、所期の目的を達成できたことは幸いだった。
先ず第1回のレポートとして、団員のプロフィールとエピソードを簡単に紹介することとしたい。
団長の関谷勝嗣さんは、大臣も2回経験されたベテランの先生で、現在、山崎(拓)派の会長代行をされている大物政治家。各国首脳との会談での振る舞いや発言をじっくり見させて頂き、本当に多くのことを学ばせて頂いた。又、山崎拓幹事長の人となりも週刊誌とは別の角度から、聞かせて頂いたりもした。
山崎 力さん(自民党)は、読売新聞記者の出身で、私と同年輩でなかなか博識の人だが、マスコミ界の様々な話を聞くことができた。
沢たまきさん(公明党)からは、テレビの“プレイガール”時代の、楽しい思い出話を聞かせてもらった。海外で日本人の経営するレストランでは、オーナー一家が沢さんのオールドファンで、記念写真などを撮られていたりした。
井上哲士さん(共産党)は、実家が農家で元々は政治的には保守だったようで、周りからは共産党への入党に驚かれたようだ。おっとりしたところもある好青年で、昔の共産党員とは一味も二味も違っていた。
広野ただしさん(自由党)は通産省出身の人だが、官僚臭のない人で「もう14年(?)も前に辞めているんですから」と、「元官僚」という団長の他の人への紹介を必ずしも喜んでいないように見えた。
帰国後、何人かの方と院内(国会内)で偶然出会って握手を交わしたりしたが、それぞれに強い絆ができたように思う。
▼議員総会での発言(10月 6日)
去る10月1日と3日の2日間に亘り、党本部人事を決する為の民主党両院議員総会が開かれ、代表、幹事長提案が満場一致で議決された。
2日目の総会終了後、急遽、議員懇談会がその場で引き続き開催されたが、先の代表選に対する様々な提案や議論がなされ、その中に民社協会と労働組合への批判があった。
私は、民社協会は地方議員中心の組織であること、民主党入党の地方議員は3割程度にしか過ぎないこと、同協会のメンバーには自由党員も含まれていること、だからこそ今回の党首選で民社協会としての組織的展開はあり得ない、という意味の発言をさせて頂いた。恐らくマスコミを通じて得た情報のイメージを膨らませての発言だったが、事実誤認があったように思い、若干、質疑者へ反論させて頂いた。更に、1つの政治団体(政党-民主党)が他の政治団体の解散を求めることは、独裁国家ならいざ知らず、民主国家では有ってはいけない事、という主旨の発言もさせて頂いた。
又、労組とは一線を引くべきだという主張は、質疑者が本来の在るべき労組と政党の関わり方を述べてはいなかったので、その真意がよく解らないが、鳩山代表が一方の主張を大勢だと誤解されないよう私からも意見を述べさせてもらった。それは、経済団体、利益団体と政党、政治家とのつながりは、利権構造を成すもので、政党と労組との関係も同様という話は、私から言わせて頂ければ、労組への理解不足ということになる。つまり、勤労者(サラリーマン)の組織率は、わずか2割にしか過ぎないが、勤労者の数は7割を占め、その方々の生活向上の要求は国民生活向上を求めることに直結している事を発言させてもらった。したがって、利益団体と労組との関係を同一レベルで論じることは理不尽な主張ではないか、というのが私の反論だった。
意見の相違と論議は、双方にとって新しい事実の発見や知的触発ともなり歓迎されることだと思うので、仲間との前向きな論議には今後、積極的に参画していきたいと思う。
▼民主党・新緑風会 研修会(10月 7日)
軽井沢での研修なので、私は大宮から新幹線に乗り込んだが、車中はまるで同窓生の集まりのように、関係者が多く既に乗り込んでいた。ちょうど昼時だったので、私はホームで弁当を買い座席でパクついていたが、広中和歌子さんが手作りサンドウィッチでも持参したのだろうか、何人かの議員に盛んに食されるよう勧めていたが「今、ダイエット中なので・・・」と数人の声が私の耳に届いた。私も今、挑戦中なので思わず発言者の方に眼を向けてみたが、皆一様にとてもダイエットの成功者には見えなかった。気持ちと結果が大きく乖離している。
研修会では、テレビ朝日で解説委員長等をされてきた今村千秋さんの「臨時国会に向けて民主党に望むこと」を聞いたが、テレビ界の実情についても触れられ、講演後、第4の権力ともいわれるマスコミの社会的責務について2人の出席議員から質問がなされた。より質の高い報道を2人とも求めた訳だが、「テレビ界では、やはり視聴率に方向性が左右され、忸怩たる思いがあるが・・・」と苦しい胸の内を吐露された。
又、「参議院改革について」参議院の阿部隆洋議事部長から講義を受けた。事務方からの話なので実務的な内容だったが、歴史的に俯瞰して、少しずつ改革が果たされた事を改めて確認することができた。先の国会で参議院改革協議会が発足し、各党の幹事長がメンバーに入り、今国会では、議論から実行を果たす事が各党で合議されているので、何らかの改革が遂げられていくと思う。効率の良い国策の推進という立場から、よく参議院の不要論がマスコミで取り上げられているが、参議院自らが自己否定する事などあり得ず、存置を前提とした議論となる筈だ。しかし、本当に必要なら一院制も真摯に論議していくべきだろう。但し、その時、現実的な論議としては、参議院の廃止からの議論でなく、衆・参両院を廃止し、改めて一院制をスタートさせるという手法を前提にすれば、皆、本気で議論する気になれるのではないか。
▼田嶋陽子さんの社民党離党(10月 8日)
私への話とは違った。田嶋さんとは内閣委員会で一緒だったので、けっこう仲良しで色々な話をしてきた。差し障りもないと思うので、2人の会話の一部をご紹介させて頂く。
「自民党の舛添さんは、テレビでの発言もかなり党を意識しているようで、私にはマスコミの寵児という立場と地位を棄てて、少々国民的人気が下がっても、党内で力を得てその権力で日本を変えようとしているように思える。田嶋さんはマスコミを通じての発言力で男女共同参画社会づくりをやろうとするの?それとも、舛添さんみたいに種々の束縛に我慢しながら、党という組織権力を通じて国を変える道を選ぶの?」と聞いたことがあった。
彼女は躊躇なく「後の方ですよ」と私に答えた。しかし、それでもなお党組織に在って窮屈な思いも吐露されていたので、私は「党を離脱するとか、党を移るとかいうようなことは、政界再編など大きな時代のうねりの中で、誰しもが容認できるような大義名分がある時でないとやるべきでないと思う。唐突感を抱かれるような行動は長い目で見た時、決してプラスになることはないから」とアドバイスしたことがあった。「私は素人なので何も解らないから、山根さんのアドバイスは有難いわ。これからも宜しくね。どうもありがとう。」と言ってくれた。
今回の彼女の選択は、本人の心の中では様々な葛藤の末の結論だったとは思うのだが・・・。
▼「人間学のすすめ」安岡 正篤著 を読んで(10月 9日)
近代の政治家を触れることで、政治における徳の重要性を語っている。例えば、先の国会で話題となったが、機密費について、原 敬のエピソードを紹介している。同氏が亡くなった時、遺書があり100万円の預金は党の機密費だから党に返すように書いてあった。それから、別に15万円を原田二郎氏(派閥の番頭役)に返すように書き記されていた。原田氏のところへ持参すると、「これは選挙費用として持っていったものだが、もう準備は終わったから要らない」と言われたが暫くして「この金は選挙費以外に使っても良いか」と聞かれたという。「ご自由にお使い下さい」と答えたが、「自分の内閣が倒れたら1人だけ食うに困る大臣がいるので、その者の為にとっておきたい」と語ったという。その者とは床次竹二郎氏だったが、その15万円を同氏のところへ持っていったところ感激し、その金は派閥と国の為に使われたという話が記されていた。
こういった幾つものエピソードが綴られているので、本書でハッとさせられる事が何カ所もあった。肩の凝らない良書だと思う。
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