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■2005年6月23日発行号
▼超真面目な人の無意識発言( 6月17日)
会期延長問題が大詰めを迎えた17日、参院民主党の議員総会が張り詰めた空気の中で行われた。冒頭、江田五月議員会長が挨拶を始めたが、いきなりほとんどの議員が「ウォ〜」という声を発し、総会場は騒然となった。日頃「知性の人」「真面目人間」「堅物」と言われる人が、『昨日、地元の女房から電話がありまして…』と発言した為だ。ご本人は、その発言に何故議員が過剰反応し、ウケてしまったのか、全く気付けずに絶句したまま立ち尽くしていたが、隣の確か今泉国対委員長だったと思うが、耳打ちされ漸く事態が理解できたような様子で、顔を崩して照れ笑いしていた。
大方の読者はここまで書けば理解頂けると思うが、超真面目人間の方々の為に解説させていただくと、「地元の女房」という表現は、それでは東京などに“他の女房(女性)”がいたとして、その方と区別するための言い回しなのだろうかと普通なら勘ぐられますよ、という事なのだ。超真面目な政治家が、無防備に無意識にした発言だったから、素直に皆笑えたのだろう。
さて、江田会長が、気を取り直しての発言は、郵政民営化についてで、「昨日、地元に電話がかかってきて、“女房”がとったら『今でさえ私たち離島に住む者は、不便な生活を余儀なくされている。民営化になったら、将来はきっと郵便局はなくなることが眼に見えている。是非民営化反対のため、頑張って欲しい。』と激励されました。廃案に向けて最後まで戦い抜きましょう。」と気合いの入った挨拶だったのだが、冒頭の発言で、肩に力が入ってガチガチになりかけた我々に、適度な緩和剤を注入してくれたと言えるだろう。
▼結果オーライ( 6月20日)
岡田代表の肝いりで、党に「日本の近現代史調査会」が発足した。代表は挨拶の中で、「設立の趣旨は、会長と若干意見の違いはあったが…」と言われた。それは何かと気になったが、続いて挨拶に立った、本調査会の会長に就任した藤井裕久代表代行が、「代表からは、8月15日前に靖国問題などで党として何かまとめたアピールを出す作業をして欲しい、との要請を頂いた。しかし、目先のことではなく、“戦後”を皆で勉強してはどうかと、逆提案させて頂いた。私としては、昭和を正しく省みるには、明治維新から学ばなくてはならないとかねてより考えていたので、それで良ければ会長をお引き受けするとお話しさせて頂いた訳です。」と述べられ、岡田代表の「主旨は若干異なりましたが」という発言の意味を、私としては理解することができた。
事務局が想定した人数より多かったのだろうか、党本部の比較的広い会議室も座る席が足りなくなる程の盛況ぶりであった。近現代史の泰斗である、東京大学名誉教授・坂野潤治先生の講演を、我々議員は熱心に聞かせて頂いた。講義の後、先生から、「質問をどうぞ」と言われ、2人の議員が「CHINAとシナという呼称について」や「明治天皇が明治初期に果たされた役割」についてお尋ねすると、質問に答えると言うより「見解は種々あるだろうが、私はこう考える」という話し方をされていたので、これからは率直にもっと意見交換できる空気がつくられていくような気がする。
党として最後にどう取りまとめていくのか前途遼遠だが、こういった試みは、今迄多分、他党にもなかったのではないだろうか。
▼日韓首脳会談( 6月21日)
完全に受け身の形での会談だった。小泉首相にとっては、手詰まり状態にある東アジア外交で、先ずは韓国とこじれた関係を修復しておきたい、という思いだったのだろう。靖国について、「話せば解ってもらえる筈」と度々繰り返してきたのだから、盧武鉉大統領が一定の理解を示さなかったら、逆にこの会談は失敗と見られないだろうか。大統領の一連の発言からして、とても靖国参拝について肯んじる事など考えられず、何のための訪韓だったのだろう。「低レベルの合意」「日本が歴史を反省し行動で示すこと」「少しでもきっかけがあれば、両国関係が爆発する余地がある」これらの盧武鉉大統領の発言を、我々日本の代表である小泉総理は、一方的に聞かされる為の訪韓だったのだろうか。国の威信が傷つけられて尚、黙り続けなければならない屈辱に、国民はいつまで耐えられるだろうか。
対中韓外交は、腫れ物に触るように慎重に積み上げ、経済問題を中心に深化させてきたといえるだろう。しかし、これからの外交戦略は、相手国の指導者がどう変わろうと対日関係を重視し、尊重せざるを得ないような環境を創り上げることに、力を注いでいかなくてはならない。つまり、反日的な言動、戦術は決してその国にとって利益とならないばかりか、国益を損ねるのだということを理解してもらえるような影響力を、仕組みを、日本の国家戦略として樹立すべきだと私は思う。逆に親日的な行為を重ねて下さる国々には、手厚く支援するという明確な国家意志も内外にはっきり示すべきだろう。
一番やっかいな心配は、中国である。どのみち共産主義政権は立ちゆかなくなってくるだろうが、その時どう次の体制に軟着陸させ得るかだ。これを中国の心ある指導者は既に考え始めていると思うが、我々が警戒しておかなければならないのは、中国の歴史上の常套手段である、混乱期・困難期には国内向けに外に敵をつくるという事である。効果があり、反撃もなく、使い勝手の良い標的として、又日本が狙われる危惧を私は拭いきれない。
自民党政権でも、民主党政権でも変わることのない超長期・長期の国家戦略を、わが国の政治家はもう共有すべき時代になってきているのではないだろうか。当面、参議院の国際問題調査会が多少ともその役割を担えるように私自身も努めたいとは思うが、次世代の人々にも継承できるような権威ある調査会への進展に尽力したい。
▼官僚国家への風穴( 6月22日)
党の公務員制度改革プロジェクト会議で、伊藤忠商事の丹羽宇一郎会長を招き“開かれた公務員制度の構築を”と題し、30〜40分程話しをして頂き、その後20分質疑応答があった。
省庁の再編、道路公団民営化、すべて形は変わったが、中味は全く相変わらずで、日本の役人支配と役人天国は一向に改革されてこなかった。恐らく郵政民営化も同じことだろうと丹羽会長は指摘された。公務員の待遇についても、給与は人事院給与局で勧告を行い、給与全般は財務省主計局の扱いとなっている。そして、退職手当制度は総務省人事・恩給局が取り扱い、定員管理は総務省行政管理局扱いとなっていて、公務員の給与等に関わる全体像が、敢えて解りにくくされていると述べられた。
これらを民間では当たり前となっている体系に改めるには…と具体的な提言をされたが、私は敢えて「公務員の持つ宿痾のように引きずった負の遺産を、完全に払拭するのは可能だと思うか」と質問させて頂いた。「(国会など監視機関が)痛みを与え続けることが大切」と私に答えられたが、(公務員に)今日まで、経済同友会役員として政府の審議機関の委員をされてきた経験から、中央官僚機構に対して、かなり厳しい評価を下されていた。『民間の苦労を少しでも学びなさい』といった、ほとんど憤りに近い思いから、言葉は溢れるように淀みなかった。
▼カツサンドの場合( 6月23日)
党の昼に行われる種々の会議では、皆一様に次の日程も詰まっている為、会議を進めながらお弁当を口にすることとなる。中身は色々だが、野菜の煮付けや肉などがバランス良く詰められている場合が多い。私はもう牛と豚は食べないようにしているが、お弁当なら肉ばかりということはほとんどない。
しかし、先日のある会合では、主催者の方が「カツ丼でも出そうと思って…」と言われたので、「あ〜そうですか、私は肉を食べませんので、一つ注文を減らしておいて下さい。」とお断りしたら、「いや、今のは冗談で本当は軽食ですよ」と教えてくれた。若い人なら“カツ丼”といっても、その意味合いは解らないかもしれないが、私の世代から年配の方々にとっては、“ごちそう”といったニュアンスで『カツ丼でも…』などと言ったりするのだ。
私は軽食というので、カレーライスなどをイメージしていたが、果たしてサンドイッチで、カツサンドなどが入っていた。中途半端な菜食主義の私としては、もう食の一大事で、カツやチーズ、ハムを除くとほとんどおかずの類といえるものはなく、サンドイッチのパンだけを口に放り込むしかなかった。しかも、変わり者と思われたくないので、他人の眼に目立たぬように肉を外すことに気を使わなければならず、とても食事を楽しむどころではなかった。
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