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■2004年2月5日発行号
▼お弁当( 1月30日)
国会が始まり、国対役員会などで昼にお弁当が出るが、大抵食べ終わるのは私が1番遅い。いつものろいので意識して早くしているが、結果はそう変わらない。全部食べようとするのが原因なのかとも考え、少し残すようにしてみたが、やはり遅い。そこで、会議の始まる少し前に到着して早めに食べるようにした。しかし、あまり早過ぎて卑しく見えても困るので、そこの辺の兼ね合いが難しい。
私は異母兄弟が6人いたが、実際には1人っ子で育っているから、兄姉で競うように食事をしたという経験がない。母に「男は黙って、しっかり噛んで、早く食べなさい」といつも言われ続けたが、「何でしゃべってはいけないの」としつこく聞いたりしていた。「話しながら、楽しく、ゆっくり食べた方がいいのに」とずっと私は母に主張してきた。私の理屈っぽさに半分諦めて、私の好きなようにいつの間にかさせてくれたが、食べるのが遅いのは幼少年期の経験が後を引いているのかもしれない。
▼故・岡沢完治代議士の陰徳( 1月31日)
かつて岡沢先生の議員会館の部屋は、周囲の空気と隔絶されていた。いつ臨戦となるか判らない、同じ衆院議員の不安と苛立ちからは離れた空間の中に在った。これで選挙は大丈夫なのだろうかと考えることさえ、どこか気恥ずかしいと思わせてしまうような気高さがあの部屋にはあった。
先般、その岡沢事務所で秘書をしていた森野さんと30数年ぶりにお会いした。森野さんは今、弁護士として活躍している。岡沢先生は人を育てる事を生きがいの1つにされていたように当初から私には思えたが、森野さんは議員会館にいても、ほとんど秘書の仕事はせず、ひたすら司法試験の為に時間を過ごしていた。その事をご本人に聞いてみたら、「全くその通り」と率直な答えが返ってきた。
恩師がそんな人柄だったからこそ、亡くなられた後も森野さんは、“岡沢法律事務所”の看板をずっとそのままにしていたのだろう。森野さんの他にも文筆家として斯界では高名となった塩田潮氏も、岡沢事務所から巣立っている。
私も岡沢先生の如く在りたいと思う。
▼洗脳( 2月 1日)
テレビでアメリカプロレス業界の報道がされていた。徹底した演出、ストーリーをつくり上げてWWEは急成長し、株式会社として成功、上場を果たした。会社の運営を巡り家族内に亀裂が走り、2人ともプロレスラーである父娘がリング上で罵り合うという、現実にあり得るかもしれない事態を思い起こさせる演出までもしていた。
現実と虚構のスレスレの所で観客は興奮し、酔うのだという経営者の洞察はすごいが、恐ろしくもある。私の眼からは、それは洗脳と映る。政治や宗教の世界で数限りなく行われてきた、洗脳をもって為された数々の歴史の実際は、人を陶酔はさせたが、必ずしも人々の幸福をもたらしはしなかった。
卑近な例では、オウム真理教の多くの幹部は、麻原教祖の説法に酔っていただろうし、当時のドイツ国民の多くもヒットラーを信奉し、陶酔していた。どんな時代であれ、『少し変だな』という心の奥にある疑念は、しっかりと大切にしておかなければ、いつの間にか全体主義をはびこらせることになる。全体主義が大きくなってからでは、とても個々人の良心では立ち向かえるものではない。
▼“外交とは何か”小和田 恒著を読んで( 2月 2日)
著者は、皇太子妃、雅子様の実父だが、もちろんそんな記述はどこにもない。本書は、テレビインタビューを2年後に、加筆して本にしたもので、要領よくまとめられている。国家公務員法100条にある「職員は職務上知り得た秘密を漏らしてはいけない。その職を退いた後も」という縛りがある中での話だから難しさもあったと思うが、ギリギリのところで語られているので、とても勉強になった。
政治家の立場から言わせてもらえば、こういう人格と意欲、洞察力を持った裏方をどれだけ持てるか、又、能吏を活かしきれる能力を、自分自身がどれ程持ち得るのかが問われているという感じがした。少なくとも政治家は、役人を超える信念や理念の持ち主でなければならないし、人格的なスケールや歴史観に裏打ちされた幅広い視野を持たなければならないだろう。
外交下手と言われ続けてきた日本でもアジア、アフリカを始め、サミットに於いても、私達の知らないところで少しずつ着実に世界平和に向けた成果をあげつつあることを知り、嬉しい思いでこの本を読了した。
▼川口順子外相のジョーク( 2月 4日)
院内の廊下で、私の前を大きなバックを持って歩く大臣秘書官がいたので「国家機密がずっしりと入っているんですね」と声をかけたら、秘書官から2〜3メートル先を歩いていた川口外相が振り返って態々「すごい機密書類が入っているんですよ」と軽口で応じ、「冗談ですよ。過去の大臣答弁を持ち歩いているんです」と語ってくれた。
テレビからの印象では、クールにとりすました人、という印象を持たれる方も多いように思うが、知的ではあるが極く普通のおだやかな女性だ。国会論戦の中で笑顔を忘れかけているのかもしれないが、フッと気を抜いた時の笑顔を見てみたいものだ。
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