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■2004年1月22日発行号
▼「吉田 茂 の自問」小倉 和夫 著を読んで( 1月16日)
2003年4月に外務省から公表された、「日本外交の過誤」という封印されていた秘密文書を元に、著者が戦前から戦後における日本外交を分析したものが本著である。恐らく本のタイトルは編集者が付けたものだろうが、吉田茂に焦点を当てたものでなく、内容を的確に表現したものとは言えず、少し狡猾だったと思う。ただ、この文書を戦後間もなく、若手官僚に作成を命じたのが、当時の総理・吉田 茂であったのだから、タイトルの付け方としては必ずしも誤りではないという事はできようが。
先輩官僚の批判になる「日本外交の過誤」という文書の作成は、ある種の小気味良さがあったかもしれないが、それでも若手エリート達にとっては辛い作業であったことは想像に難くない。外務官僚出身で、絶対的権力者だった吉田 茂だったからこそ命じられ、まとめ上げられたものだろう。各国大使を歴任し、何冊も著書を持つ人だから、著者の論述は重く、自信を持った筆運びになっている。
戦後、国の重要な政策決定が政治家でなく官僚により行われてきたのは事実で、だからこそ、その国策の適否を国益の為、検証しておく義務が官僚の側にあると思う。外交は特にその必要を感じるが、防衛や経済についても同様である。例えば、日米繊維交渉、北朝鮮政策、バブル経済の問題はしっかり分析してまとめ上げておくべきだろう。もちろん、当時の担当官僚のコメントや反論を同時に載せることがあっても私は構わないと思うし、むしろその方が客観性が保てると思う。
▼西川きよしさんの引退( 1月19日)
本当に腰の低い人で、西川さんの悪口を聞いた事はない。勇退の弁で「地元 大阪の為にも働かせてもらった」と述べていたが、素直に頷ける。詳細は知らないが、地元要望に真剣に取り組んでいたであろう事は想像に難くない。
「突然の勇退」という報道のされ方をしていたが、政治家の出処進退は、周りからは大抵、突然に見られる。西川さんの場合、ずっと考え続けていたというが、本当だろう。
今日、国会開会式の後、院内の廊下を歩いている姿をお見かけしたが、護衛役の衛視さんにも「どうもどうも」と相変わらず腰を低く会釈していた。
▼再会( 1月20日)
30数年ぶりに、私が勤めていた出版社の先輩とお会いし歓談したが、あまり変わらない風貌でビックリした。若い時から老けて見えた、というより落ち着いた風情があったので、こういうタイプの人は年を取らないのかもしれない。30年という年月は想像だにできなかった激変が、会社や社員の人々に当然、起こっていたのだが、若く元気だった人も定年退職し、病み、そして数多の方々が物故していったという。社内結婚し、幸福な人生を歩み続けている人もいるが、人生悲喜こもごもは時や所を超えて、免れない人の宿命(さだめ)なのだろう。
今、この会社は出版界で1、2を争う待遇を社員が享受していて、全員が超高給とりであるようだ。私が在職していた時も日本の全企業でボーナスの支給額はBEST30に入っていた。私が20代で政治家を志し、秘書へ転職した時は年収が半減した事を今でもよく憶えている。
優良企業で高給をとる人々は、飲み過ぎや栄養過多で健康を損ねることも多いというが、自愛され、これからも社会の発展に大いに貢献して頂ければと願わずにいられない。
▼「ニッポン人には、日本が足りない。」藤ジニー著( 1月21日)
タイトルからして少し押しつけがましいものではないか、と思って読んだが、内容は全く違っていた。旅館の女将としての日本での奮闘記、といったものだ。
アメリカ生まれの著者が、老舗旅館の長男と恋愛し、結婚してからの苦労話が載せられている。アメリカ人らしさと、日本文化への傾倒ぶりが著されている。本書は彼女へのインタビューを女流作家がまとめたものであるが、医師志望だった著者の知性は随所に滲み出ている。
叔母、姉、義姉とわが親類にも国際結婚は多いが、日本女性が外国人の妻となる例は多くても、その逆例は少ない。それでも最近ではアジア女性との結婚は増えてきてはいるようだが、異文化との違いから感覚的違いを克服するには、相手を思いやる気持ちが大事なのだろう。
国際結婚は賛成であり、私の2人の子供達が希望した時、外国人由の反対を私はしないつもりだ。
▼拉致特別委員会の設置について( 1月22日)
北朝鮮による拉致問題の解決には、様々なアプローチが必要で、衆・参両院で特別委員会を設置することは、喫緊の課題である。民主党の主張に自民党は、言を左右にしている。他の委員会で関連する問題を、それぞれ取り扱えば良い、といった具合だ。
特別委員会の委員長ポストが、次の次は共産党にまわってくる順番だからマズイのだ、という与党内での話も仄聞(そくぶん)する。仮に、年金などの問題で特別委員会を設置せざるを得なくなった場合、共産党委員長では困るという考えだ。
しかし、拉致は国益や主権の問題である。党利党略のレベルの話ではない。私は、党内参院役員会で敢えて、「自民党との交渉では、特別委員会の設置そのものが北朝鮮への圧力になる、という視点で改めて交渉して欲しい」と、幹部に要請させて頂いた。
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