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■2004年11月25日発行号
▼拉致議連 経済制裁・拉致家族支援法改正作業部会 第1回会合
(11月19日)
あまりテレビを見ないので、ニュースで放映されたか否か分からないが、会議の始まる直前、取材でテレビカメラが入っていた。会議がヤマを越えたところで平沼会長は、官房長官への拉致問題に関しての申し入れで席を立ったが、少人数での中味の濃い議論、協議ができたように思う。会議の詳細は機密事項だから書けないが、メンバーのそれぞれが積極的で具体的提案をしていた。
今回の実務者協議により、北朝鮮からもたらされた証拠品とされるものの信憑性は、早くも横田めぐみさんの写真が合成されたものである事が専門家から指摘されて揺らいでいる。もう、この国とはまともな交渉を期待する方が無理というものではないか。時間稼ぎの為だけのインチキなカードを次々と切っているに過ぎない感じだ。小泉総理は独裁者にいいように手玉に取られているのではないか。私はそんな気がしてならない。“国交正常化”という美名に酔い、功名心からの拙速は避けて欲しいと思う。
▼ハマコーさんのライバル(11月21日)
埼玉で日本再生フォーラム主催の講演会があり、拉致問題がテーマだったので私も参加して挨拶させてもらった。10分前に会場に入ると1番前の席に案内され座ったら、顔見知りの人が隣にいた。評論家というか、元・日本共産党本部で書記をしていた兵本達吉さんである。今、雑誌“正論”に「日本共産党の戦後秘史」を連載中だが、なかなか読み応えのある内容だ。共産党を除名された人々からしっかり取材しているのだろう。
その兵本さんと、ほんの数分、拉致問題で意見交換したが、ギョロッとした眼で正視しながらの話だったので、私も目をそらさずに正面から受け止めていた。その時、全く関わりのない事だが、『この人なら、バラエティ番組でハマコーさんと対峙しても、テレビ画面から決して敗けないだろうな』との考えが頭に浮かんだ。知力、経験、そして何よりも胆力が備わっている人だ。
▼「負け犬の遠吠え」酒井順子著を読んで(11月22日)
未婚、子ども無し、30代以上の女性のことを負け犬と定義して自嘲的に35才である自分の思いを書いたこの本は、大変売れているそうである。読んでみて、売れ具合が解るような気がした。同じ状況の女性達がたくさん購入したと思うが、男性が見てもとても興味深く読めるものだから、お薦め商品である。
ここまで書いて大丈夫?と思える程、赤裸々に中年独身女性の心の奥を書ききっている。私は冗談に「俺は前世、女性だったから女性の気持ちはよく解る」などと人に言ったりしてきたが、とてもとても肝心なところが解ってなんかいなかった事がよく解った。恋愛小説で登場人物に女性の心をズバリ語らせる個所は、大抵数頁にしか過ぎないが、本書は277頁にわたって書いてくれたのだから、女心の解らない男だって、本書で少し位は理解できるようになるのではないか。
若い時、モテたくてスタンダールの恋愛論を一生懸命読んだけれど、効果なんて全くなかった。後で知った事だが、彼は女性にぜんぜんもてなかったそうで、だからこそ、あんなに理屈っぽいものを書いたのだろう。そこへいくと、本書の著者の写真は見たことはないが、本から伝わってくる空気はちょっとモテそうな人に思えるので、説得力を感じる。
▼秀作の風格(11月23日)
今朝の新聞に、“反時代的密語 円空の語るもの”という梅原猛さんの一文が載っていた。書き出しに「もしも私に多少でもふつうの人のもたない能力があるとすれば、乗り移る霊を受け止める能力であろう。かつて聖徳太子や柿本人麻呂の霊が乗り移り、『隠された十字架』や『水底の歌』などの著書を書かせた。そして今また、円空の霊が乗り移ろうとしている。」とあった。すごい事だなと素直に感動した。
三島由紀夫が“英霊の声”を書いていた時も『処刑された青年将校が降りてきて、こう書くようにとうるさかった』といった意味のことを雑誌で語っていたが、歴史に残る秀作というのはこういったレベルに在るものかと、教えられたような気がする。
自分の思惟や能力を超えて「書かされている」という感覚を味わった事はないが、自我で書いている間は本物でない、という事なのだろうか。心血を注いだ畢生の大作というものは神韻縹渺とした趣のあるものだろうが、私も人生後半、時にはじっくりと第一級の書物を繙いてみたいと思う。
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