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■2003年12月24日発行号
▼人間の盾(12月19日)
イラク関連の報道が又、増えてきたので思い出したのだが、平和愛好家の人々がアメリカのイラク攻撃に抗議して、人間の盾となって攻撃を阻止しようとした事があった。それらの人々は、恐らく全く予期していなかっただろうが、フセイン大統領が是幸いと、人間の盾となる人々に、攻撃を受け易い軍事施設等に行ってもらうよう要請した事があった。そして、アメリカは、もし人間の盾を配置しても計画の変更はない、と言明した。善意の人々は今度は、危険度があまりに高いと言って、それぞれの国へ帰国していったという。
流れ弾や誤爆程度の危険度なら受け入れるが、それを越えた確率での盾にはなれなかったのだとすると、彼らの行為は善意であり偽善だとは思わないが、少なくとも死を賭するまでの覚悟はなかった、との批判もあったが、私は、何とかイラク攻撃をアメリカに思い止まってほしいとの心の発露を評価したいと思った。
翻って、派遣される自衛隊員の不安と覚悟を思うといたたまれない。
▼失くした本(12月20日)
ガルブレイスの近著を3分の2程、読んだところで紛失してしまった。多分、どこかの居酒屋にでも置き忘れたのだろうが思い出せない。書店でパッと見て購入してくることが多いので、書名さえ憶えていないが、経済学史といった趣の本で、所々囲み欄を設け、日本政府の経済の舵取りに警告を発していた。赤のサイドラインを引いてしっかりと読み込んでいたのでガッカリだが、又どこかの書店で見つけて読んでみようと思う。
著者は確かもう90才を越えた年齢に達していると思うが、世界と日本の経済の在り方に、依然として熱い思いを抱き続けている。高名なこの学者の情熱には頭が下がる思いだ。晩年に至り尚、人類の行く末に不安と心配を抱き続けた“歴史の研究”の著者、アーノルド・トインビー博士とどこかでイメージが重なる。
私も自分の死期を前にした時、個人的な苦痛や恐怖を離れ、家族の行く末についての心配も無く、国家や人類の未来に思いを抱き続けられる自分で在りたいと思う。
▼欧州事情視察 その2 英国=TUC、IPPR訪問(12月22日)
11月23日(日)、ロンドンに到着したのは午後4時頃だったが、陽も落ち、夜の闇が既に訪れかけていた。昨年、中東訪問の折、ロンドンに立ち寄っているが、その時、種々お世話になった大使館の三橋さんが、日曜にも拘わらず、空港に態々出迎えてくれたのは嬉しかった。彼は今でも私のメルマガを、異国に在っても読んでいると言ってくれた。
空港からホテルへ直行したが、イギリスらしく頑固に部屋の仕様は昔ながらの造りで、部屋全体もそして浴室も狭い。エアコンは数字的な温度設定はできず、CoolとWarmをそれぞれ2〜3段階の中から選定するといった調子だ。決して市内でも悪いホテルではない筈だが、他のヨーロッパのホテルとの比較など全くお構いなしといった自信というより頑なさがご立派だ。
翌日、英国日本大使館へ出向き、イギリスの政治経済等々、全般の状況について説明を受けた。議員の視察というのは日本国内の視察でも先ず、役所へ行って説明を受けた後、目的地を見学したりするというパターンになるが、役所は情報の収集量が圧倒的に多く、体系立てた話が聞けるという利点が大きい。
わが民主党本部は、本部の書記局員を労働党に派遣して、マニフェストの作り方や党運営などを調査してきたりしていて、多くの共通項を持っているが、与野党の違いもあり、採り入れきれていない事柄も多い。国会では日本も党首間討論の場を設けられるようになったが、イギリスでは演技過剰で実質的な議論になっていない、という批判が強く、週1回30分というこのクエスチョン・タイムへの評価は低くなっているという。
イラク問題はこの国でも最大関心事の1つだが、アメリカへの対応の仕方として、先ず「賛成」と挙手しておいてからアメリカの懐に深く入り込んで、譲歩を引き出すという手法。これに対し、フランスは、先ず「違うよ」と言ってから交渉に入るという手法で、両国のスタンスの違いがおもしろい。アメリカ独立戦争時の英仏の立場として、英国はアメリカと闘い、仏国は最初に合衆国を承認したという歴史が、どこでどう関わっているのか私には興味深いが、追って勉強してみたいと思う。
英国の労働組合、ナショナルセンターであるTUCは、労働党を支える立場であり、ブレア政権には好意的な評価をしていた。しかし、イラク問題や公共サービス部門での主張には違いも生じていて、必ずしも歯切れの良い説明は聞けなかった。更に事実上、労働党のシンクタンクとなっているIPPRでは、ブレア政権の政策面での弱点を聞いてみたら、保健、教育、交通の3部門にあるが、漸進的に改善されてきている、という説明があった。しかし、一般市民の方からの話を聞く機会があったが、全く違った見解を持っていた。
▼公明党・神崎代表のイラク訪問(12月23日)
イラクが危険だということ、自衛隊派遣を諌めるための情報なら幾らだって集められただろうが、派遣を是とする材料など見つかる訳もないだろうに何故、イラクへ行ったのか政治的に私は理解できない。公明党への実質的に唯一最大の支援組織である創価学会内では恐らく自衛隊派遣は否定的空気が強いに違いなく、支援組織を説得するためのネタ探しが最大の目的だったと思うが、成果が本当にあったのだろうか。
これで公明党は一気に党内をまとめ上げて党内手続きを完結するのだろうが、私とて起こってはほしくないが、仮にわが国内や派遣自衛隊部隊、在外公館などでテロなどが発生した時、公党の最高指導者としての責任は免れられなくなるのではないか。解っていながら、そうせざるを得ない立場だったのかもしれないが、私が側近なら少なくとも止める立場を選んだことだろう。
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都合により、発行を1日早めさせて頂きました。
本年の配信は、これで終わります。
来年は 1月 8日からの配信予定となります。
1年間、ご愛読ありがとうございました。
良いお年をお迎え下さい。
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