山根隆治君
 おはようございます。
 証券取引法についてお尋ねをさせていただきたいと思います。
 大臣の提案理由の説明によりますと、政府の、内外の経済金融情勢の変化に対応して、市場監視機能の強化及び有価証券の販売経路の拡充を行うなど、市場機能を中核とする金融システムを改善強化するためにこの法律案を提出したということでございますけれども、もう既に、様々な議論が衆議院あるいは本院においても既に行われているところでございますけれども、実際のところの本当のねらいが那辺にあるのかというところがいま一つ答弁の中から出てきていないような感じも受けざるを一つは得ません。

 一つのそんたくいたしますと、やはりこうした今回の改正案によって、中長期的に見た経済の回復というか、景気の浮揚というところに本当のねらいがあるようにも思いますし、また、かつてドイツで全盛を極めたユニバーサルバンキング体制というものを日本でも作ろうとしているのかなというふうに思えるほどに銀行の様々な機能の強化、中長期的には、このように私には思えてならないわけでございます。

 ドイツはユニバーサルバンキング体制ということにつきましては様々な検証が既に行われておりますし、必ずしもそれがすばらしいものだったというふうな評価に今現在なっていないと思いますけれども、こうした問題も含めて、本当のこの法案のねらい、改正しようとするところは那辺にあるのか、改めて大臣にお尋ねをいたしておきたいと思います。

国務大臣(竹中平蔵君)
 我々の願いは、根本的なといいますか、中長期的な観点からいいますと、あくまでもこれは私たちが持っている資源を最大限に活用して、それを更に発展させていくと。その意味では、委員おっしゃいますように、中長期的な経済の発展、活性化、これは私たちの当然のことながら念頭にあることでございます。

 しからば、そのために一体どういうことをやっていかなければいけないのか。これはやらなければいけないことは本当に多種多様、広範であり、また量も多いというふうに思います。

 この証券取引法等々の関連でやはり申し上げるならば、世界が非常に競争的な市場に向かっている中で、そうした中で市場の活力を活用しながら、リスクをきちっと取ってきちっとしたリターンをやる、その際の社会的なリスクをやはり分散をさせていく、そういうことをこの市場の中で、活力ある市場の中でやっていってもらわないと経済全体がやはり活性化していかないということなのだと思っております。

 そうした観点からいいますと、この証券二法に関していうと、そうすると、やはり今我々が貯蓄を持っている、その貯蓄が必ずしも十分リスクテークをしながらリスクマネーとして活用されていくような体制になっていないのではないか。家計の潜在的なニーズとしては、これをより健全な形でリスクテーク、リスクとリターンを反映したような形のポートフォリオに持っていくという潜在的ニーズがあるのではないだろうか。それを引き出す、そのためにはやはり市場の活力を利用しながら、アクセス、家計のこうしたリスク資産に対するアクセスの経路を拡大していく。取引を思い切り自由に行っていただきたい、できるだけ自由に行っていただきたい。しかし、それに伴って生じる懸念がある場合には、それを、穴をふさぐといいますか、それに対応するような措置も同時に取っていかなければいけない。今回の銀行における証券仲介業の仲介の解禁の話というのは、正にそういう、その一つの象徴であろうかというふうに思っております。

 これは、やはり、繰り返しになりますが、市場の活力をしっかりと活用していきたい。しかし、同時に、市場で自由な取引を行っていただくからこそ、それに対するしっかりとした監視の機構、場合によってはペナルティー等々も含めた市場の監視体制を強化していく、その両輪が必要だという思いで今回の法案を提出させていただいております。

山根隆治君
 よく、一応分かりました。
 この法案について、私どもは賛成という立場でございます。今大臣が言われたこと、もっともなところも多々あるんですけれども、今ふと私も思い浮かんだことで、ふと一つ不安になったことが急にちょっと思い浮かびました、事前には何の用意もしてなかったことなんですけれども。

 それは、欧米は狩猟民族というのはやっぱり社会的な背景としてあるだろうと、歴史に。ところが、遊牧民族でもなく、私たちは明らかに農耕民族であるわけで、社会的なマインドというか、そういう面からして本当にこうした金融市場の自由化、そして国民を巻き込んで一千四百兆ある資産をどう活用するかということについては、経済的な視点から見ると非常によく分かるんだけれども、それがどんどんどんどん競争原理というか、市場原理というものを国民の中にも、心の中にも浸透させていったときに、果たして社会的なマインドの面から見てどういうふうな影響が及ぼされていくのかということも少し考えておく必要もあるだろうというふうに思っています。それは、必ずしも欧米の一つの物差しだけですべて測っていくことについての危うさというものを若干感じないわけじゃないんです。この点についてはどんなお考えを持ちますか。

国務大臣(竹中平蔵君)
 経済社会の運営に当たっての非常に哲学的な、ある意味では根本的な問い掛けだと存じます。

 歴史等々、私、そんなに詳しいわけではありませんが、今、山根委員御紹介くださったように、やはりそこが狩猟社会と農耕社会の違いで、日本の特殊性があるという議論があるということは承知をしております。

 私なりの理解で申し上げると、狩猟民族とか遊牧民族というのは、例えばどちらの方向に行ったら草があるか分からない、そのときにやはりリスク管理をしっかりやらなきゃいけない。斥候を派遣して情報を収集して、最終的な意思決定は一人が行って、それによってリスクをしっかりと管理するシステムになる。それに対して農耕社会というのは、むしろリスクは天候からやってくるという外からギブンのものであって、むしろ重要なのは水をどのようにシェアするかということである。そのような基本的な考え方が農耕社会を作ってきたと。日本はかなり後者の典型の一つではなかろうかというふうに言われている。その議論は議論として大変興味深い議論だと思います。

 ただ、現実の今の経済を考えますと、狩猟社会か農耕社会かというダイコトミーというか、こちらかこちらかというゼロイチの社会ではやっぱりないということだと思います。私たちの社会も実は非常に市場活力を活用して、戦国時代の楽市楽座というのは、正にこれは市場活力を活用して大名が競って経済力を付けて、それを戦にも利用しようとしたわけでありますが、決してダイコトミーではない、二分法ではないということだと思っております。

 山根委員おっしゃいますように、我々がよって立つ社会の基盤というものには確かに配慮をしなければいけない、一方では決してない、そういうことも念頭に置きながら制度設計には努めているつもりでございます。

山根隆治君
 竹中大臣らしからぬと言ったらちょっと失礼ですけれども、非常にいいお話を聞かせていただき、ちょっと失礼ですね、これは。ちょっと今の取り消しますね。

 私の持っていたイメージとちょっと違っていたという意味で、そうした日本独特のやっぱり社会風土というか、そういうものも大事にしていこうというふうな思いも一部ちょっと聞かれたのは非常に良かったと思いますが、商取引にしても何にしても、やはりどうも経済とのかかわりの中では日本社会に合ったもっと何物かがあるんじゃないか、いつもそういう私は思いでこの経済社会というものを見ているんですけれども、是非そうした視点も今後ともお忘れなく、国の政策誤りなきようにひとつ御活躍もいただきたいと思います。

 さてそこで、具体的に銀行が証券の仲介業をやる場合のいろいろな弊害というか、懸念、疑問、不安、そういうものがたくさん各方面から出されております。

 日経金融新聞がインターネットによる個人投資家のアンケートを実施しております。これはかなりまとめられたものでございますので、それを少し孫引きですけれども引用させていただいてお尋ねに代えたいと思いますけれども、一般投資家の方が一番やはり不安に思っておられるというのが、その一つが、融資の見返りなどに株などの購入を強引に勧めたり、融資などを通じて得た顧客情報を利用して株の勧誘をするのではないか、これが非常に大きな、四五%ぐらいそうした不安を持っている方がおられます。次には、経営が悪化した融資先に株や債券を発行させて、それを銀行の店頭で販売して融資を回収しようとするのではないか、これが四〇%ぐらいですね。それから三つ目には、投資家に株を買うための資金を借金させて、必要以上に株を買わせようとするのではないか、これも三七、八%あります。それから、有価証券の公正な価格形成が銀行の参入により様々な形で阻害される懸念というのが大きな四つの不安のファクターになっているわけでございますけれども、事前にお話もさせていただいておりますので、これらについての政府の対応策なり物の考え方、こうした不安に対しての見解というものをお尋ねをさせていただきます。

 課徴金の問題についてはまた後ほどお尋ねもいたしますので、そのほかの視点から御答弁願います。

副大臣(伊藤達也君)
 まず、四点について委員から今御指摘をいただいたわけでありますが、その一点一点についてお答えをさせていただきたいと思います。

 まず第一点目でございますが、融資の見返りに株などの購入を強引に勧めたり、融資などを通じて得た顧客情報を利用して勧誘するのではないかということでございますが、融資の見返りに株式の購入を強引に勧める等の、いわゆるこれはもう優越的な地位の濫用の問題でありますが、この優越的地位の濫用の問題につきましては、現行法令において信用供与の条件として勧誘する行為を禁止をしているところでございます。融資先を通じて得た顧客情報を利用して勧誘する行為につきましても、証券仲介業部門と融資部門との間の情報の共有を禁止するということといたしているところでございます。

 それから二点目でございますが、この点につきましては、銀行等が融資先企業の発行する株式や社債の販売仲介を行う場合には、貸出金を回収する目的で貸出し先に有価証券を発行するといった利益相反行為が懸念されることから、これを防止するため、貸出し先が発行する有価証券についての手取り金が借入金返済に充当される場合に、当該事実を投資家へ開示せずに勧誘する行為を禁止することといたしているところでございます。

 それから三点目でございますが、投資家に株を買うための資金を借金させて、必要以上に株を買わせようとするのではないか、いわゆるバックファイナンスの問題でありますが、このバックファイナンスを条件に有価証券の売買の受託等をする行為は、これは法令において禁止することといたしているところでございます。

 それから最後、四点目でございますけれども、有価証券の公正な価格形成が銀行の参入により様々な形で阻害される懸念はないかという点でございますが、現行法令において銀行等が特定の銘柄を一斉かつ過度に勧誘する行為等を禁止しているところでございますが、このほか、取引の公正を確保する観点から、融資部門と証券仲介業務部門の情報の共有の禁止するなどの措置を講じているところでございます。

山根隆治君
 ということではあるんですけれども、しかし、現場に行きますと、恐らくこれが解禁されるということになってくると、様々なやはりトラブルというか、そういうものが非常に起きやすいなという気が非常に私としてはいたしております。それらについて、やはり現場を踏まえながら、対応策というものも少し修正加えて行政としては取っていただきたいというふうに思っております。

 つまり、ある意味では、密室とは言いませんけれども、ある種の一つの隔離されたところでの商取引というふうなことにもなってくるわけですから、なかなか目が行き届かない、あるいは違反、違法ぎりぎりのところでの、グレーゾーンでの取引というものが行われる可能性がかなりありますので、この点については、非常に懸念もたくさんございますけれども、是非厳しい目を持っていていただければ有り難いと思います。

 ところで、先般のこの委員会での質問の中にもございましたけれども、果たしてこれが、仲介を銀行で行うということになった場合に、個人の需要というものを、これどれぐらいに見込んでおられるのか。個人だけに限定せず、銀行での取引について、これどれぐらいの見込みを持っておられるのか、お尋ねします。

副大臣(伊藤達也君)
 個人の需要が今後どれぐらい起きてくるのかということにつきましては、現時点でどれぐらいかということを申し上げることは非常に困難であろうかというふうに思います。

 しかし、金融審議会の報告におきましても、顧客にとりましてはワンストップショッピングのニーズにこたえ、利便性が高まる、また投資経験のない銀行顧客層の市場参加を促して新たなすそ野の拡大が期待できること、また証券会社の店舗の少ない地域におけるアクセスの改善といったメリットがあるとの御指摘をいただいているところでございまして、こうしたことによりまして個人投資家の市場への参加を促すことにつながるというふうに考えているところでございます。

 我が国の家計資産に占める株式、投信の割合というのは一割弱でございまして、他の先進主要国に比べて低い状況にございます。当該施策によりまして、この証券の販売チャネルというものが拡充し、貯蓄から投資への流れが加速されることを期待をいたしているところでございます。

山根隆治君
 今具体的な数字を挙げて、現状では欧米は相当数個人の取引が多いということでございますけれども、こうした証券取引について個人で一割というのが日本の実態ということですが、これの見通しというか、希望というか、希望的観測というか、そうした目標設定というものはございますか。

副大臣(伊藤達也君)
 特に具体的に定量的にこういう数字を目指してというものがあるわけでありませんが、今委員からも御指摘がございましたように、日本の家計部門に占める株式、投信の割合というのは一割弱でございまして、アメリカの場合にはこれが大体五割近く、ドイツの場合には二割近くございますので、こうした現状から考えますと、日本の今の状況というのは大変低い状況にございますから、販売チャネルを拡充することによってこの市場機能というものを強化をして、そして日本の金融システムの強化、改善につなげていきたいというふうに考えているところでございます。

山根隆治君
 金融システムの強化、改善につなげていきたいということであれば、副大臣自身のお持ちになっていらっしゃる感覚で結構ですけれども、どの程度あれば国際的なレベルに合う、あるいはこうあるべきだというふうな個人的な見解をお聞かせください。個人的といったって、副大臣としてですからね。

副大臣(伊藤達也君)
 貯蓄から投資の流れを加速をさせていくということは私どもとしても大きな目標でございますし、先ほど委員が引用されましたアンケート調査の中にもやはり今回の措置というものを積極的にとらえていくと、そういう結果も出ているところでございます。

 こうした施策をすることによって、個人投資家の方々に積極的にこうした市場に参加をしていただけるようにということを私ども大きく期待をして今回の法律の改正を御審議をお願いしているところでございますので、こうした中で、販売チャネルというものを拡充をしながら、より多くの個人の方々に選択肢を広げながら、日本の金融システムの強化につなげていきたいというふうに考えているところでございます。

山根隆治君
 副大臣も随分国会で答弁されていらっしゃるから、非常にお上手になっていらっしゃるなと思いますけれども。

 それでは、ひとつ視点を変えてみますと、来年四月、ペイオフというふうなことになってまいります。そうなってくると、日本の今の預金の状況がどうなっているのかということを、これ日銀の統計から少しまとめたものでございますけれども。

 そちらに資料としてはないかと思いますけれども、個人の預金の内訳というのが、国内の銀行、国内銀行で見てみると、一千万円未満が、日本の人口は一億二千万か三千万だったと思いますけれども、その預金の口数が、八億約五千万口数がある。これは最初は私も何かの間違い、数字の間違いじゃないかと思ったんですけれども、それだけある。一人が赤ちゃんまで含めて八つの口座を持っているというふうなことになろうかと思います。

 一千万円以上ということで見ても五万四千ほどの口数があるということでございますが、金額でこれ見てみますと、一千万円未満が二百三十九兆三千五百億ということに相応する、数字ではそういうふうになっています。それから、一千万以上ということになりますと八十八兆四千百億あるわけでございます。このほか、個人でこの預金の金額というのは、一千万円未満が七三%で、一千万以上というのは二七%あるということが一つございます。それから、法人で見ると、圧倒的にこれはもう一千万円以上の預金が多いわけで、八九%、約九〇%を占めているということになるわけでございます。

 ペイオフによる戸惑い、預金者の戸惑いというものをこうした有価証券の仲介ということによってその流入というものを意図しているというふうな見方も一つできるわけでございますけれども、これらの、ペイオフへの対応ということについての物の考え方をお聞かせをいただきたいと思います。

国務大臣(竹中平蔵君)
 ペイオフについてのお尋ね、ペイオフとの関連で今回の法案がどう位置付けられるんだろうかというお尋ねかと存じます。

 ペイオフは、いつも申し上げていますとおり、やはり預金者と金融機関の間のある意味での建設的な緊張関係を保っていただくという観点から、これは私たちはやはり必要なことであると思っております。それに対する対応としては、もちろん金融機関自身に財務の健全性をしっかりと保って、更に強くしていっていただくことでございますけれども、個別の観点から申し上げても、我々としては、既に決済性の預金について、日本の場合、銀行を通した決済が非常にウエートが高いという特殊事情に勘案して、決済性の預金に制度を作らせていただいております。幾つかの銀行がそれに向けて既に動き出しております。

 さらには、個別に関しましては、やはり名寄せのシステムをしっかりと作っていくということが重要だというふうに思っておりますし、それにつきましても検査等々において我々も検証しておりまして、進捗をさせております。そして、何よりも国民全体に対するやはり広報、あまねくこの制度の本当の意味をしっかりと理解していただいて、混乱を避けるということが重要だと思います。これはこれとして、我々はペイオフを控えてしっかりと対応をしていっているところでございます。

 それと、後半のこの法案との関連でございますけれども、そこで何か不安があるから一気に銀行預金がどこかに動くと、そのようなことを我々は想定しているわけではございません。これはあくまでもより中長期的な観点から、千四百兆円、家計が資産を持っている、にもかかわらず、今副大臣が申し上げましたように、リスクアセットというのが、これは社債を含めてですけれども、一割とかそこらだと。アメリカは半分以上だ、ドイツは全体の三分の一だと。そういうことを考えますと、これはペイオフとは少し切り離して、中長期的な観点から正に貯蓄から投資への流れを作っていく、そういう動きの中でやはり対応策を講じていかなければいけない問題であるというふうに考えております。

 ペイオフ、それと今回の二法の趣旨、その意味で、ある意味で独立をしながら、しかし、ともに日本の金融を強化するという方向で我々としては是非実現をさせていただきたいと思っているところでございます。

山根隆治君
 法案作成の段階でペイオフを迎えたときの状況分析というものはされていなかったんですか。

国務大臣(竹中平蔵君)
 ペイオフはペイオフとして当然のことながら我々は常に念頭置いて行政をしておりますし、そのような議論もしておりますけれども、今回の法案との関連で、ペイオフというのが直接的な要因としてその中に入って議論に影響を与えたということではないというふうに理解をしております。

山根隆治君
 それでは、役所の中でそうした議論があったところでどのような、法案と直接的な関係がないということに仮にしておいて、どのような議論が行われて、ペイオフになった場合にどのような国民の選択が行われるというふうな予測をされておられるんですか。議論としてどんな議論が出ていたか、事務方でも結構ですけれども御紹介ください。

政府参考人(増井喜一郎君)
 お答え申し上げます。
 ペイオフの解禁の関係につきましては、先ほど大臣から御答弁申し上げましたように、いろいろな施策を取っております。決済用預金を創設をしたり、あるいは今の実際の実務上の名寄せのいろんな検査なども行っております。したがいまして、そういった意味での、これから、いろんな準備につきましてはいろんな議論をいたしております。

 ただし、実際、預金がどのように動くかというようなことについては、これはいろんなその時々の情勢もございますし、現在だんだん金融情勢も安定をしてきておりますので、特定なことの状況を想定して何か検討しているということはございません。

山根隆治君
 分かりました。
 それでは次に、もう既に四月から税理士や会計士の方が個人で証券仲介業をやっておられるわけでございます。四月、五月、今日は六月ですから、二か月間の実績というのは細かく数字で持っておられるかどうか分かりませんけれども、どのような実績になっているのか。そしてまた、そこから浮かび上がってきた数々の問題点、今回の法案とのかかわりの中でも学ぶところもあろうかと思いますけれども、どんな問題点が浮き彫りになっているか、御紹介ください。

政府参考人(増井喜一郎君)
 お答え申し上げます。
 この四月一日から新しく証券仲介業制度が施行されたわけでございますが、五月三十一日現在で八件の登録がなされております。この制度につきましては、いずれにしても施行直後でございますので、──失礼いたしました、九件の登録がなされております。この制度、施行直後でございますので、そういった状況、あるいはこれ元々いろんな登録をする際にも、証券仲介業者に委託を行う証券業者、証券会社などの当事者において、法令あるいは証券業協会の自主規制を踏まえて具体的な業務運営の検討が行われてきたものというふうに聞いておりまして、現時点で投資家保護に欠けるような問題点が特に指摘されているということは承知をしておりません。

 いずれにいたしましても、この制度に関しましては、参入しようとする各主体の創意工夫によって様々なビジネスモデルの構築が可能であるというふうに考えておりまして、多様で新しい担い手が証券の仲介業務に参加、参入することによりまして証券の販売チャネルが拡充されることを私ども期待をしているところでございます。

山根隆治君
 九件の内訳を教えていただけますか。

政府参考人(増井喜一郎君)
 今のところ、例えば保険の代理店をやっているところが五件ばかりございます。あるいは会計事務所、経営コンサルタントといったことをやっておられるところが二件。その他、そのほかのいろいろな事業をやっておられるところというような、そのほかのいろいろな事業をやっておられるところ、例えば不動産の投資顧問業などをやっておられる事業者、そんなような内訳になっております。

山根隆治君
 そうすると、税理士さんや公認会計士さんがやっておられるということはないんですね。

政府参考人(増井喜一郎君)
 先ほど経営コンサルタントと申し上げましたが、経営コンサルタントあるいは会計事務所をやっておられる方もいらっしゃいます。

山根隆治君
 税理士の資格を持っておられる方、公認会計士の免許を持っておられる方は何件になるんですか。

政府参考人(増井喜一郎君)
 税理士あるいは公認会計士の資格を持っているかどうかというところで実はデータを取っているわけではございませんが、今申し上げましたように、会計事務所をやっておられるということでございますので、そこの方は少なくともそういった資格を持っておられるというふうに、その方は今の段階では一件でございます。

山根隆治君
 意外に少ないのでびっくりいたしましたけれども、これから非常な、この法律が通ってくると様々な報道もなされていきますので、あるいは個人の方も増えていくのかなというふうな気もいたしますけれども、是非、まだスタートをしたばかりではございますけれども、様々なケースで、少しケーススタディーで様々な問題点、やっぱり逆に積極的に、何か最悪の事態になったときに初めて情報として入ってくるんじゃなくて、役所の方でも積極的にひとつ調査するなり、まあ九件ぐらいでどうかと思いますけれども、ある一定の時期に来たら調べて、ひとつ行政に是非反映をしていただくように、要望にこれはとどめておきたいと思います。

 そして、この証券取引法の一番議論が多い、かまびすしく行われていたところはやはり六十五条でございます。六十五条、いずれこれを改正して撤廃をするんじゃないか、仲介ということじゃなくて直接的な業務として銀行が行えるようになるのではないかというふうな指摘をする識者も非常に多いわけでございますけれども、この点についてはいかがですか。

国務大臣(竹中平蔵君)
 この問題についてはいろんな御議論があるということは承知をしておりますが、これはもう委員もよく御承知のとおり、今回の証券仲介業の解禁も、これは銀行等の金融機関が証券会社から委託を受けて投資家からの株式等の売買注文を証券会社に仲介するということを解禁しようというものなわけであります。これは、我々の明確なスタンスとして、証取法六十五条の基本的な考えを考えるものではありません。

 今回の改正においても、具体的に言いますと、株式や社債の引受業務というのはこれは銀行は当然禁止されているわけでありまして、その意味では、いろんな御議論があるということは承知しておりますけれども、我々は基本的な六十五条に対する考え方を変えるものではこれは一切ございません。

山根隆治君
 今の段階ではそういうふうな御答弁に当然なってくるだろうと思うんですけれども、様々なやっぱり憶測、揣摩憶測があるわけでございまして、やはり時間を追って時系列的に見てくると、銀行、証券、保険の規制緩和をめぐる動きというのは非常にテンポが速くなってきているわけでございます。

 例えば、保険の販売でも二〇〇五年から、これまた後ほど議論もさせていただきますけれども、全面解禁に向けた一歩を踏み出そうとしているというふうなこと等がございますし、あるいは六十五条が早く撤廃されるということを想定して、その先にあるものは今度は日本郵政公社への解禁ということもあるのではないかというふうな議論もあるわけでございまして、先ほど竹中大臣が言われたようなこの法案の趣旨からすると、それはよしとするというような結論にもなってくるのではないかというふうに思われてならないわけでございますけれども、こうした懸念というか、歓迎するというか、期待する、そういう声もあるわけですけれども、これらについてはどのようにお考えになりますか。

国務大臣(竹中平蔵君)
 今、郵政のお話も少し言及されましたが、この郵政の話はまた郵政の話として別の観点からしっかりと議論をしていかなければいけない側面を持っていると思います。

 ただ、いずれにしましても、昨年、金融審議会の第一部会で報告が取りまとめられております。御承知の「市場機能を中核とする金融システムに向けて」というものでございますけれども、ここでは基本的な考え方は私は明記されていると思います。

 この証取法六十五条の根拠となった利益相反でありますとか優越的地位の濫用の可能性はやはり今の重要な論点なんだということを明記している。銀行がその規模を問わず不良債権問題を解決して国民の信頼を回復していくことが先決となっている現在、業務範囲の根幹にかかわるような見直しを行う時期にはないのではないかというふうに考えられる。ここでの報告というのはやはり尊重されるべき当然のものでございます。

 今回のいわゆる証券仲介業務の解禁、これは証取法六十五条の見直しについてはやはり区別した内容であるということをこの報告の中にも私は精神として生かされているというふうに思っておりますので、我々もあくまでもそのような観点から、消費者の利便を高めながら、しかしこの六十五条の根幹を変えるものではない、そういう観点から行政を進めているところでございます。

山根隆治君
 銀行もすごくこれ忙しくなってきていますよね。貸しはがしをするのにも忙しいのかなというふうに思っていましたけれども。これで今度は株の仲介をやって、そして今お話ししたように、保険も全面解禁に向けた動きがあるというふうなことになっているわけでございますけれども、果たして銀行にそうしたものを受け入れていくだけの基礎体力というか、ノウハウというか、そうした蓄積というのは今あるというふうに判断なさっていらっしゃるんですか。この辺の見方をちょっと聞かせていただけますか。

政府参考人(増井喜一郎君)
 お答え申し上げます。
 今回の証券仲介業につきましては、いずれにしても金融機関それぞれの経営判断によってそういった業務を行うかどうかということが決まるわけでございます。したがいまして、当然のことでございますが、今回いろんな形での金融機関に対しても弊害防止措置を講ずることになっておりますので、それぞれの体制がそれなりに整っているということでないとなかなかその業務を始めるというわけにはいかないと思います。それぞれの金融機関がそういった観点から人員、体制等もしっかり整備をいたして業務を開始するというふうに考えております。

山根隆治君
 それは銀行自身が選ぶことですから、今の御答弁というのは当然でございますけれども、しかしバブル期にお金が余って、どんどんお金借りてくださいということで、ゴルフの会員権だとかも含めてどんどんお金借りてくださいと、お貸ししたいと、もう要らないと言っていても借りてくれって言っておいて、今度、バブルが崩壊したら、本当にもう貸しはがしで非常に塗炭の苦しみを預金者の方々、銀行取引してきた方、まだ記憶も非常に生々しいところもあると思うんですね。

 そういう中で、今回のこうした仲介ということに、仲介業に踏み切るというふうなことに当然いろいろな大きな目、大手なんかなってくるでしょうけれども、そうなったときに、一度失われた信頼を今取り戻す時期にあるのに、また非常に預金者に大きな損害を与えるようなことになってくると、非常に大きな深刻な問題が惹起される、そういう私は可能性も捨て切れないということを懸念を持つ一人でございます。

 本当にそうした、例えば社員の教育ですね、株価に対する教育は本当に施されていくのかどうか、そういうことも不安でございますが、これらの点についてはどのように見ますか。

政府参考人(増井喜一郎君)
 お答え申し上げます。
 大変、先生の御指摘のとおりだと思います。

 いずれにしても、金融機関というのは信頼というのが、信用、信頼というのが非常に大事だと思いますので、いやしくもそういった預金者の信頼にもとるようなことをやってはいけないということはそのとおりだと思います。

 そういった観点からも、今回の証券仲介業務につきましては、既にその販売を行っております投資信託などと同様に、顧客に対して勧誘等を行う者の証券外務員登録を要件といたしまして、その適格性を確保するというようなことにしてございます。さらに、その外務員登録の際には、自主規制機関でございます証券業協会等が定めました資格の取得が義務付けられるというようなことになっております。

 いずれにいたしましても、そういったしっかりした資格を持つ者がこういった業務に当たると同時に、今までも弊害防止のことをいろいろ申し上げましたが、不公正な勧誘等が行われないようにするということが重要かというふうに思っております。

山根隆治君
 今お話出た証券業協会というと、やはり金融庁、旧大蔵省の影響下に圧倒的にあるところですよね。ここの協会のことをちょっとお尋ねを、そうすると、いたしますけれども、そうした教育を施せるだけのやっぱり社会的な信頼というか、業界の中であるのか、それから人的な力というものもあるのか、その辺はどうですか。

政府参考人(増井喜一郎君)
 お答え申し上げます。
 証券業協会というのは、法律上、自主規制機関として位置付けられているしっかりした団体でございます。いずれにいたしましても、今の証券会社などがメンバーになっておりまして、現在のいろいろな証券業務についてはこの自主規制機関がいろんな形でのルールを定めているところでございます。

山根隆治君
 今、スタッフは何人ぐらいなんですか。

国務大臣(竹中平蔵君)
 大変申し訳ありません。ちょっとスタッフの数、今すぐには分からないもので。
 局長の答弁したとおりなんですけれども、我々の今のシステムというのはもちろん法律できっちりと縛るものがあります。政令で縛るものがあります。同時に、いわゆる自主規制、業界の自主規制機関というのがうまくそれとコーディネートして重要な役割を果たしている。東京証券取引所には東京証券取引所としての自主規制機関としての役割を果たしている。

 もう一つは、やっぱりこの証券業協会が大変重要になる。さっきから、こういう証券等を扱うのは外務員としての試験を受けていただく、資格試験があるというふうに申し上げましたけれども、この資格試験を行っているのは実はここの協会でございます。

 そういうことも含めて、御指摘のとおり、全部がやはりハーモナイズして整備されていかなければいけないという問題意識は我々も強く持っておりまして、そのような必要に応じた指導なり行政なりはしっかり行っているつもりでございます。

 数等々、概要につきましては別途また御報告をさせていただきたいと思います。

山根隆治君
 株取引等をしている方々が日本国民の一割ほどしかいないということのいろいろな要因というのはありますけれども、証券会社へ行って取引しても、もう損ばかりさせられて、手数料目当てにどんどんどんどんこれを買いなさい、これを借り換えなさいというような、売りだ買いだということを外務員、営業される方に引きずられてやって大体失敗するということで、そうした外務員に対する信頼性というのは非常に社会的にも低いものになっているかと思うんですね。これからは、やはり会社の側に立つんではなくて、消費者、一般のやはり市民の立場に立っていろいろとアドバイスする、そういう人材が非常に今養成されることが急務だと思うんですね。そうした意味で本当に、今言われた協会に、証券業協会ですか、にそうしたノウハウがあるのかということが非常に疑問なものですから、あえてお尋ねをしたわけですね、量的にどうなのか、質的にどうなのかということで。

 今までと絶対全く違った発想で、利用者の立場に立った外務員の指導というものを求められていると思うんで、その点が、今までと違った発想で、ただいろんな商品の紹介、仲介業ということでありますけれども、様々なトークの中で、単なる事実関係というか、客観的な状況だけを説明するということではなくて、やはり顧客のニーズに合っていると同時に、やっぱり利益を誘導するという、そこまで思い切ったことができ得る可能性のある外務員をやっぱり養成する必要があるので、その辺がどうなっているのかということを聞きたいわけで、もう一度御答弁。

国務大臣(竹中平蔵君)
 ちょっと詳細に全容を御説明する能力、今ちょっと私持っておりませんが、ここは、当然のことながら、先ほど言いましたように、東京証券取引所等々、証券取引所等々と並んで自主規制機関としては極めて重要な役割を担っております。そうした中で、そのいろんな意味でのクオリティーを高めるための努力、その規制についても専門家を集めて常にそれを見直すような努力は行っているというふうに承知をしております。

 最近でも、先ほど外務員の、証券外務員の資格試験の話をしましたけれども、そういう者についてもクオリティーを高めて、これをむしろ社会の中に定着していくというための一つの努力として、たまたま私は存じ上げていることを、非常に狭い範囲になりますけれども、この登録員というのは数年前までは外務員というのは証券会社の人しか受けられなかった。しかし、それがここ数年の間にそうじゃなくても受けられるようになっている。これはやはり社会全体にそういう一定の知識といいますか、を広げていこうと、それとともに自らの質も高めていこう、そういう努力の一つの表れであると思います。

 したがって、私の認識では、ここは決して業界の非常に閉ざされた組織ではなくて、その公的な役割を担うんだという自覚を持ってそれなりに努力もしておられるし、やっぱり実際に変化もしているというふうに認識をしております。改めて、我々としてはそういうところをうまく指導して、金融システム全体をうまく稼働させる立場にありますので、そこには改めて、委員の御指摘も受けて、配意しながら進めていきたいと思います。

山根隆治君
 少し話が飛びますけれども、保険の外交員さんが三十万人弱いるというような統計も見たことがございます。年々保険の外交員が数が減ってきているわけでございます。銀行業務、窓口業務の中で、この保険がどんどん解禁されていくということになると、他の既存の保険会社への影響も非常に大きいものがありますけれども、こうした人たちの雇用の問題についてはどのように把握なさっていらっしゃいますか。

国務大臣(竹中平蔵君)
 今、委員御指摘してくださいましたように、登録営業職員、保険の、かなり低下傾向にあるということは私たちも認識をしております。今回、銀行等による保険販売規制の見直しにつきましては、金融審議会の第二部会のワーキンググループにおいて、こうした観点からもいろいろな検討をしていただきました。つまり、既存の販売チャンネルに与える影響についても御議論をいただいたということでございます。
 この報告では、この販売チャンネルの多様化は、各販売チャンネルの特性を反映した利用者のニーズに適合する商品開発の促進につながり、市場の発展にも資するだろうという議論がある。少子高齢化など保険業を取り巻く環境が変化している中で、保険会社においても、国民のニーズに適合した商品開発、効率的な販売体制の確立等、変化に対応したビジネスモデルの構築が求められているんだと。そうした観点からも販売チャンネルの多様化が必要であるというふうな指摘がなされている。

 その一方で、新たな販売チャンネルが既存の販売チャンネルに与えることとなる影響についても考慮する必要があるということ、これはもう先ほど申し上げましたように議論をされているわけでございます。

 また、この報告におきましては、既存の販売チャンネルに及ぼす影響等の懸念について、いわゆる圧力販売につながるような販売、保険販売を禁止する措置を講ずる等々により相当程度緩和されるのではないかと考えられるというふうに指摘されていますとともに、実施についてやはり準備期間を置くべきだということが示されているわけでございます。
 御承知のように、例えば一年後から段階的に行う、少なくとも本報告後三年には商品が扱えるようにする。こういう形でバランスをしっかりとそれなりに取っていこうというような議論はされている。我々もそれを受けて制度を作っているつもりでございます。

 こうした議論を踏まえまして、今どのようにやっていくのか、速やかに結論を得るように努めているところでございます。

山根隆治君
 厚生労働省の方でちょっと御答弁いただきたいと思うんですが、私がちょっとお尋ねしたのは保険の外交員の方々の雇用の問題です。この実情がどうなって、これからどのような展望を持っておられるのか、そしてその生活実態というものがどのように、末端の外交員の方あるいはその家族に経済的な影響を及ぼしているのかということを、把握されている範囲でお尋ねをいたします。

政府参考人(青木功君)
 生保業界の営業職員その他皆さん方の雇用の状況でございますけれども、私ども承知しておる範囲で、生命保険で平成五年の年度末には約四十二万人の登録営業職員の方がおられたと。これが平成十四年では二十八万人になっているということでありまして、様々な状況がございますが、趨勢的に営業職員の方、減っております。

 これらの方々は、いろいろの仕事の形態によりまして、給与を受け取っているいわゆる労働者の方々、それから御自分で言わば自営業的に活動されている方、様々な方が形態でおられるわけでありますけれども、いずれにしましても、こういうふうに環境や経済社会の変化の中で転業を余儀なくされる、あるいは廃業を余儀なくされる、こういった方々、様々な手段を尽くしまして、できるだけスムーズに労働移動ができるようにお手伝いをするのが私どもの任務だなというふうに思っておりまして、ハローワークでも様々な需給調整の仕組みを取りまして、仕事をしながらインターネットその他を使って求職情報を取れるとか、あるいは拠点によっては土曜日なんかにも、あるいは夜間にも御相談を応ずるというような形の体制を取りまして、いろんな御相談を細かく聞きまして、スムーズに次のところに転換できるということを目指して活動をしているところでございます。

山根隆治君
 保険業界の再編がある中で、その保険の外務員、外交員の、特に女性が圧倒的に多いですけれども、方々の悲惨な状況というか、かなり深刻な状況を聞くわけですね。今、四十二万人が二十八万人に平成十四年なってきたということですけれども、この中でも特に給与労働者、給与をもらっている方の就職というのは非常に難しい状況があるだろうかと思います。

 一定の生活は例えば連れ合いによって守られているけれども、それプラスの生活をという場合にはいいんですけれども、それが、外交員の方の収入が即家庭の大きな柱となっているという場合には非常に深刻な問題がたくさんあるわけで、特に外資系の会社と一緒になったりいたしますと、今までの慣習というものが一気に崩されていって、ノルマが、もう本当に過酷なノルマを課されて離職を余儀なくされる、そういう悲惨な状況もかなりあるわけでございまして、この辺なかなか厚生労働省の方でも把握されていないようなことも今の御答弁の中からニュアンスとして私は感じ取るわけですけれども、できるだけ私は把握して、本当に困り抜いた方々については再就職についてケアをして、会社に対してもその辺の要請をしていく、そういうきめの細かな私は措置が行政としても必要だと思うので、その点についてはどうでしょうか。

政府参考人(青木功君)
 業界の雇用とか仕事の在り方、これはむしろ労働条件とか働き方の問題になりますけれども、地方労働局等も通じまして状況は承知していきたいというふうに思います。

 それから、お一人お一人の環境につきましては、先ほども申し上げましたとおり、離職から再就職の活動まで、これはお一人お一人の実情を聞きながら、その方に一番適切な対応を取るというのが私どものサービスの仕組みでありますので、御理解をいただきたいと存じます。

山根隆治君
 時間も迫ってまいりましたので、先に進みます。

 課徴金の問題でございます。
 仲介業に乗り出していかれる中で、法的な様々な規制もありますけれども、それがなかなか遵守されにくいというか、懸念される状況もあるわけでございます。今回、課徴金ということで決められているわけでございますけれども、課徴金と制裁金、意味合いが違うと思いますけれども、これらについて、制裁金についても検討はされた中で、あえてやっぱり課徴金ということにされたのかどうか、その辺の御議論を聞かせてください。

政府参考人(増井喜一郎君)
 お答え申し上げます。
 今回の課徴金制度を御提案をする際にはいろんな形での検討を行いました。制裁金という先生御指摘のそういった形もあろうかと思いますが、いろんな観点から、この規制の実効性を確保するために欧米等のいろんな制度も勉強いたしましたが、この課徴金制度を導入することが適当であろうということで今回御提案申し上げたものでございます。

山根隆治君
 何で適当なのかよく分からないんですけれども、私は、違反行為によって得た利益、それにふさわしいというか、ほぼ同額を課徴金として取り立てるということだろうかと思うんですけれども、しかし、実際に、逆に言うと発生を、そうした行為によって発生した損害を含めても徴収すべきじゃないか、こういう議論も当然あるわけでございまして、これらについてはどのような議論の末に課徴金ということに踏み切ったのか、もう少し詳しくお聞かせください。

政府参考人(増井喜一郎君)
 お答え申し上げます。
 これまでの証券取引法では、不公正ないろいろ取引などに対しては主として刑事罰によって規制の実効性の確保を図ってきたわけでございます。刑事罰でございますから、非常にある意味では重いものでございまして、これにつきましては、刑事罰自体は元々謙抑性の原則というのがございまして、相当、何といいますか、対応の悪いものについて、そういったものに対してそういう処罰をするといった形になっております。

 したがいまして、今回、私どもはこの違反行為の抑止のためにこういった金銭的な負担を課す行政上の措置である課徴金制度というのを設けて、ある意味では刑事罰ではカバーできない部分につきまして更に実効性を確保したいという考え方から新しい制度を設けようということでございます。

山根隆治君
 まあ分かりましたが、そうしますと、独占禁止法とか証券取引法百九十二条の条項もございますけれども、これら行政処分と課徴金との関係については二重罰というか、そういう見方もできようかと思います。これらについての議論はどうでした。

政府参考人(増井喜一郎君)
 お答え申し上げます。
 行政上の処分と刑事罰につきましては私どもいろんな検討の過程で議論をいたしました。いずれにいたしましても、私どもの考え方といたしましては、行政上の処分と刑事上の処分といいますか、刑事罰というのは、それぞれ別々の目的で成されているものでございますので、それぞれが別々だということで、二重罰というか、そういった関係にはないというふうに考えております。

山根隆治君
 じゃ、憲法三十九条はクリアしているという見解ですか。

政府参考人(増井喜一郎君)
 そのとおりでございます。

山根隆治君
 ただ、様々な議論があるということだけは一つ、御承知でしょうけれども、一言申し上げておきたいと思います。

 それでは次に、実は教育の問題についてお尋ねをしておきたいと思います。
 学校教育について、社会科の中では当然経済の問題も学校教育の中に取り入れているわけでございますけれども、証券取引などの実体経済、実経済の学校教育への導入ということについて、金融庁は全国の小中高校五百校に、小中高各五百校ですか、計千五百校程度を対象に二〇〇四年度中に投資教育に関するアンケート調査を実施するということでございますけれども、文部科学省とも、文科省ともこれは協議した上でのことなんでしょうか。

政府参考人(増井喜一郎君)
 お答え申し上げます。
 文科省とも十分協議をしておるところでございます。

山根隆治君
 それで、私自身は、本当にやはり学問というのは、実際の生活に直接すぐ役に立つもの、あるいはまた役に立たずとも将来的に役に立つかもしれないもの、あるいはさらにそうした価値を超えて人間が求めてやまない何かある種のもの、そういうようなことが言えるかと思うんですけれども、私は、当面、今この経済の問題については実際の社会の中で役立つ教育というものを早急にやはり導入していくべきだろうというふうに思っています。

 福沢諭吉の「学問のすすめ」も非常にそろばんとか実際的なものに、特にあの時代ですから、時代背景もございますけれども、「学問のすすめ」を実社会に適応したものを求めていたわけですね。

 ですから、今教育も非常に大きな曲がり角に来ているところで、こうした実際の教育というものも大事だろうというふうに私自身は思っております。そして、例えばこれは中学校の、私自身は小学校では早いのかなというふうには思いますけれども、中学生くらいから、いろいろなソフトも民間で開発したものがございます。お金とは一体何なのかというものを遊びの中で理解できるような、そうしたソフトが開発されたりしているわけでございます。

 いうことで、今アンケートは文科省等ともいろいろと協議しているということでございます。今日、文科省来ておられるんでしたかね。これらについて私は積極的に取り入れていくべきだろうというふうに考えますけれども、中学生から、あるいはそして高校生くらいで解決させてやっていくことがいいのかなと思いますが、この点について今の実情どうなっているか、お聞かせください。

政府参考人(金森越哉君)
 お答え申し上げます。
 社会の変化を踏まえ、学校教育において生徒が金融に関する基本的な知識を身に付けることは重要と考えております。このため、例えば中学校の社会科や高等学校の公民科では証券を含めた金融の働きや金融機関の役割などについて理解させることといたしております。また、証券など金融機関の働きについて指導する際には、生徒が実感を持って理解できるようにすることが大切でございまして、証券取引などの投資を具体例として取り上げている学校も見られるところでございます。

 例えば、ある高等学校では、証券取引所が実施するインターネット上の投資シミュレーションゲームを利用いたしまして、生徒が株式投資に模擬参加をいたしまして、どの企業を有望と判断するか、有望企業を探す上で新聞等をどのように活用したか、また投資結果はどうであったかなどをレポートにまとめて発表するといった学習活動も行われているところでございます。

 今後とも、このような学校の創意工夫を生かし、証券等を含めた金融に関する教育が適切に行われるよう努めてまいりたいと存じます。

山根隆治君
 どのように適切に努めていくのか、もうちょっとその将来展望を聞かせていただけますか。アクションプログラムというか、そういうものもありますか。

政府参考人(金森越哉君)
 お答えを申し上げます。
 学校教育におきましては、生徒が証券を含め金融の基本的な働きを理解するとともに、主体的に判断し、責任を持って行動できる力の基盤を育てるということが重要と考えております。このため、例えば中学校の社会科や高等学校の公民科では、ただいま申し上げましたように、証券を含めた金融の働きや金融機関の役割などについて理解させることといたしておりますほか、高等学校の家庭科では、主体的な家計管理と家庭の経済計画でございますとか、消費者の責任や生活情報の収集、選択と活用について理解させることといたしているところでございます。

 例えば、高等学校の公民科の教科書などを見ますと、教科書によりましては、金融の自由化が進むと預金者や投資家には自分の判断で金融機関や金融商品を選択する責任が求められるということ、また、一般には高い収益を得られるような預金や投資には大きな損失を被る危険が伴うハイリスク・ハイリターン、逆に危険を避けたいならば低い収益しか得られないローリスク・ローリターン、預金者が適切な資金運用計画を立てるに当たってはこうしたことも踏まえる必要があるというような記述でございますとか、あるいは高等学校の家庭科でございますけれども、貯蓄の方法としては預貯金や株券、債券、投資信託などの金融商品の購入などがございますけれども、各種の金融商品の安全性や収益性、換金性などについてよく検討して学ぶことが大切であるというような記述も見られるところでございます。

 私どもといたしましては、今後とも、各学校で経済活動や金融に関する指導及び消費者としての主体的な判断や行動に関する指導が適切に行われるように努めてまいりたいと考えているところでございます。

山根隆治君
 教科書の中でいろいろと教えるというのも大事ですけれども、ちょっととっぴで余り整合性のない話かも分かりませんけれども、例えば高校にゼミを置くということで、学校が終わったところで、放課後でもいいし、あるいはゼミの位置付けというものもちょっと高校の中で考えてもらって、そうした証券取引、証券投資についての勉強を、講師、学校の先生がやるというのもちょっと難しいかも分かりませんけれども、外部から導入してきてそういうものを設けるとか、何かちょっと特別な工夫を少しして、教科書の中でばっと流れるように、あるだけではとても刺激にならないですね。人間、やっぱり刺激を受けると花開くのが早くなるということがあると思うんです。

 例えば、大学生になったらいきなり、別に金もうけばかりするということじゃないんですけれども、いろいろな多様な選択ができるように、やはりそうした授業に早く目覚める子供については早くからいろいろなことを教育していく必要もあるということで私は申し上げるわけでございますけれども、外部講師の導入とか、そういうことも含めてやはりもっと刺激的な措置というものを私取らないと、単に教科書で公民の中でやっていますよということだけでは、とても人間の心を動かすというところまでいかないと思うんですね。心を動かすほどまでに教育を施すというのがこれからの私は大事な教育だろうと思うんですけれども、この点について、文部省というよりも竹中大臣の考え方をちょっと聞かせていただけますか。文部省とぶつかってもいいですよ。

国務大臣(竹中平蔵君)
 山根委員、大変重要な御指摘をしてくださったと思っております。
 私自身、経済を専門に勉強してきましたけれども、勉強すればするほど何でこんな大事なことを私が小学校や中学校のときに教えてくれなかったんだと、私個人としては正直そういう思いを持っております。

 これ、たまたま個人的になんですけれども、NHKの番組で私の小学校に参りまして、経済を教えるという番組を撮らせていただいたことがございました。そのときに改めて感じたのは、教材がない。何とこれが難しいのか。最近も品川の中学、高校等々でそういう機会を持たせていただきましたが、これまたやはり一般的な積み上げがないところでどこから入っていったらよいのか。

 これ、文部省は文部省で、文部科学省は大変御苦労してくださっていると思うんですが、最大のポイントは、私自身は次のような点にあると思います。

 それは、アメリカやイギリス、特にイギリスなんかへ行くと、マクロ経済学、金融論、財政論、そういう専門分野の中に経済学の社会教育という専門分野があるんです。で、専門家がいらっしゃるんです。私の知る限り、日本にそういう専門家はいません。やはりそこは社会全体での対応がもう根本的に後れていると。文部省のその担当課で考えるだけではなかなか解決できない問題が多いのかなと思っております。そこは少しいろいろ先生方にも知恵を出していただいて、専門家も集めてそういうことをやっていきたいと。

 実は、そういう問題意識を持って、先般、金融庁としては初めて金融・投資教育のシンポジウムを開きました。そこには福井総裁も飛び入りでおいでをいただきまして、実際に高校でやった成功事例なんかも集めて、ベストプラクティスを共有しようではないかという試みを持ちました。

 当面、こういうことを広げていきながら、委員がおっしゃったような問題意識をちょっと社会として、全体としてレベルアップしていく工夫が必要であると。文部科学省とも協力しながら是非やっていきたいと思っております。

山根隆治君
 やっぱり日本は、これから世界の中で活躍していくのには経済とそれから文化だろうと思います。やっぱり経済ということで考えると、もう本当にたくさん才能を持った方がたくさんいらっしゃる。物づくりでもそうでございますけれども、金融や証券ということでもそうでございますので、たくさんのやっぱり知恵というものを皆さん持っている子供たちもたくさんいるわけで、それをどう花開かせる環境を作るかというのは非常に大事なことだろうと思います。

 今日は非常に、竹中さん、いいお話をいただきまして良かったと思います。これで質問を終わります。ありがとうございました。