山根隆治君
 今朝の朝刊で誠に残念なニュースが出ておりまして、魚住議員が国土交通省の幹部を恫喝したという新聞記事が躍りました。同じ院の議員として非常につらいといいましょうか残念な報道でございましたけれども、これらの報道につきましては、事実関係をお答えを大臣の方からいただけますか。

国務大臣(冬柴鐵三君)
 私も、今朝のその朝刊の記事を見て書かれていることは承知いたしておりますので、直ちに海事局長に調査を申しまして、先ほど来聞いているところでございます。
 
 概括的には、本件の問題について、当時の北側大臣とかあるいは海事局長、もうこれ二代前の局長です、あるいは整備機構の理事長等に対して、対応が悪いと、政府のですね、その趣旨の発言があったという事実は認めておりますが、しかしそれについて、具体の事案につきましては、魚住議員にはそれだけの申し分もあるんでしょうから、私が事実が、一方的に調べただけのことで論評するのは差し控えたいと思います。

 しかしながら、そういう魚住議員のそのようなクレームと申しますか、あったことは事実のようですけれども、債権債務関係については一切影響なく、現在の社長、すなわち先代はもう亡くなっているようですけれども、その息子さんが社長をやっていらっしゃいますが、その方がリスケジュールに基づきまして、要するに債務の支払の支払条件変えてやっているわけですけれども、順調に支払を今月もずっとやっていらっしゃるということでございまして、結果的には何の影響もなかったと、こういうことでございます。

山根隆治君
 この問題につきましては、事実関係だけ今確認させていただきましたので、質疑に移らさせていただきたいと思います。
 
 一九六〇年、昭和三十五年にある政党が結党をいたしまして、その政党は、これからの日本の国のあるべき姿というのは福祉国家だということを明確に打ち出したことがございました。当時の福祉という概念が非常に狭義なものとして受け取られている時代でございまして、極貧にある方とやらとか大きなハンディキャップを負っておられる方、そういう方々をサポートする、それが社会保障、福祉というふうな概念が一般的でございましたけれども、しかしその後、福祉とは何なのかという論議が国会でも活発になるに従いまして、福祉はもう国民がひとしく、年金、医療という当時の二つの社会保障の概念だけではなくて、雇用であるとかあるいは教育、そうした各般の分野にわたる福祉というものを国が保障すべきだと、そういうふうな感覚というものが国民の間にも定着をしたんだと思うんです。

 私は今こそ、今、格差社会というふうにいろいろと論じられているわけでありますけれども、今こそ福祉というものが改めて脚光を浴びる、見直されなくてはいけない、国民が求めているものだと思うんですが、この点につきまして総理の御見解お聞かせをいただきたいと思います。

内閣総理大臣(安倍晋三君)
 社会福祉を含めてこの社会保障制度というのは私どもにとっては正にセーフティーネットであって、普通に生活をしていても病気になるというリスクもございますし、頑張っても生活の基盤が崩れてしまうという不幸に見舞われることもあるわけでございまして、そうした際に最低限の生活が保障されるというこのセーフティーネット、社会保障の仕組みをしっかりと我々、維持また堅固な構築をしていかなければならないと、このように思います。年金の仕組みもそうでありますが。それは今世界がグローバル化を、経済がグローバル化をしている中で競争が激しい時代になったからこそ私はその重要性も高まっていると、このように思います。
 
 私は、今後ともこの社会保障制度の仕組みを堅持をし、またさらに安心なものとして発展させていきたいと考えております。

山根隆治君
 今、総理からまずお話ございました言葉として、分野として年金の問題が今、お話ございました。年金の問題について担当大臣にお尋ねをさせていただきたいと思います。
 
 年金の制度は五年に一遍、財政再計算を行っているわけでございます。それに伴って大きな制度の改正というのが毎回行われてきているんですけれども、その制度の改正をするたびに保険料が、保険料率が上がってきている、これはなぜでしょうか。

国務大臣(柳澤伯夫君)
 山根委員今おっしゃられましたように、年金は一番最近、国民の関心の深い福祉の分野あるいは社会保障の分野ということでございます。五年に一回、財政について検討するわけですが、最近、平成十六年度の改正以後は、いわゆる財政の再計算をしてそれで給付と負担をどうするかという観点からの検討をするという制度は改められたわけでございます。
 
 で、従来はそういうことで財政再計算ということを五年ごとに行うという制度でございましたが、十六年度改正でこれを改めまして、そして上限を決めた保険料を徐々に上げていくということと、それから給付につきましては、マクロ経済スライドということで、被保険者の数であるとか、あるいは賃金の上昇率であるとかというようなことで、マクロ的にその給付を調整していく、それで結果においては給付と負担とのバランスを常に維持できるようにすると、こういう制度になりました。

 しかし、そういう制度の下でも、本当に予定どおりうまくいっているのかという検証はしなきゃいけないということで、財政再計算ということに代えまして五年ごとに財政の検証をする、財政検証をすると、こういう制度に変わっているわけでございます。一番直近では平成二十一年度に財政検証を行うという、そういうスケジュールになっているわけでございます。

山根隆治君
 長期の年金はどのようにあるべきかということを政府の方で試算されるときに、人口の推計というものを行っていらっしゃると思うんですね。ところが、この人口推計というのは、政府の推計がいつも外れてきているということが一つございます。民間の、日本大学であるとか民間の会社でやっている推計、これが結構当たる、当たっているということは事実あります。一昔前の天気予報みたいに、外れていても、しっかりとした論理的に説明をされたとしても、やはり外れは外れでございます。
 
 この人口推計、外れるということが、非常に年金の保険料の国民が負担するについて大きな私は不安というもの、不信というものを生んでいるのではないかというふうに思えてなりません。

 これはまあ年金ばかりではなく、人口推計によって、例えば公共事業でも、人口が増えるからこのように道路整備をしなくてはいけない、あるいは橋を、ダムをと、いろんなふうな公共事業に出てくる、影響してくるわけでありますけれども、これなぜ人口推計というのが、政府のやつ、毎回のように違っているのか。

国務大臣(柳澤伯夫君)
 前回、平成の十六年度の財政の改革、年金の改革におきましては、二〇五〇年度の合計特殊出生率が一・三九になるだろうと、こういうふうに想定、予想をしたわけでございますが、それが今回、二〇五五年度に向けての、向けてというか二〇五五年度時点での合計特殊出生率を、これはまあ正式の財政検証ではありませんが、まあ暫定的な財政試算と、こういうことで、失礼しました、試算として推計をしたところ、これが一・二六になったと。やはり、これ中位の推計ですけれども、やや合計特殊出生率は予定よりも低下をしたと、こういうことでございます。
 
 これはなぜであるかと、こういうことでございますが、この人口推計と申しますのは、国民の結婚や出生行動につきまして推計をするわけですが、これは国際的にも確立した人口学の手法というものがあるということでございます。それに基づきまして、これはまあそういう手法だということなんですが、過去のトレンドを将来に延ばすという手法、これはかなり厳格な手法だそうでございまして、これでもって作成している。ところが、過去の将来人口推計を私どもの国の実勢と比較をいたしますと、御指摘のとおりと申しますか、今私が申したとおり、合計特殊出生率は見通しを下回った。それはどうしてかと。このような少子化の進行の要因としては、晩婚化、それから非婚化の進行と夫婦の間の子供の数の低下ということがあるということで、いずれも過去のトレンドを越えて加速度的に推移してきたために実勢と推計のずれが生じたものだと、このように考えております。
 以上です。

山根隆治君
 やはり政治家でございますので、やっぱり結果責任ということですよね。国際的にも通用する手法を取っているからということであれば、やはり日本がもっと国際的にリーダーシップを発揮して、このような推計というものを取れば、方式を取れば現実に当たるんだということを示す、そういう必要性あるのではないか、そういうふうにも感じます。
 
 とにかく、推計が外れることによって国民の負担、不安というものを増大させるようなことがあってはいけないということを、この点について一言申し上げておきたいと思います。

 さて、この四月から年金の分割制度が実施をされます。つまり、御夫婦が訳あって離婚をされたりするというふうな場合に、夫婦で話合いをされて最大五割の分割ということが奥様の方にされると、こういうことでございます。

 それで、今この数年間の数値を厚生労働省の方からいただいて見てみますと、離婚率というのは低下をしております。いろいろな識者の見解が発表されておりますけれども、それによりますと、この四月からのそういう分割制度というものがあるから少し低下しているのではないかというふうな意見もあるように聞きますけど、大臣はどのような御見解を持っていらっしゃいますか。

国務大臣(柳澤伯夫君)
 御指摘のとおり、平成十八年の人口動態統計というものを見ますと、確かに離婚の件数というものが平成十四年をピークとしてずっとトレンド的に下がっておるわけでございます。
 
 この理由をどのように考えるかということでございますけれども、私としてこれを論評するだけの用意はございませんが、今委員の御指摘のような年金制度の離婚の際の改正というようなものも、まあ本当に一つの要因としてもしあるとすればあるのかなあという感じで見ております。

山根隆治君
 具体的に、大臣、お尋ねをいたします。
 標準的な御夫婦が熟年離婚をされた場合、夫の厚生年金を半分という上限いったとしまして、夫婦それぞれどれぐらいの収入となるのか、お尋ねをしたいと思います。これ単純に二で割るということではなくて、基礎年金の部分が引かれたり、いろいろと複雑な要因もありますけれども、これの試算についてお尋ねをしたいと思います。

副大臣(石田祝稔君)
 お答えをいたしたいと思います。
 この四月から離婚時の厚生年金の分割制度が施行されるわけでありますけれども、基本的な仕組みにつきましては、今委員もあらかた御説明になりましたので省略さしていただきたいと思いますが、基本的には、一概にはこれはもちろんいろんなケースがありますけれども、仮に夫が四十年間平均的な賃金で働き、その期間すべて専業主婦であった夫婦について見れば、その厚生年金額は、これは基礎年金を除きますけれども、月約十万円となると。そして、分割割合の上限が五割でありますため、分割後の厚生年金額は最大で月約五万円となります。

 なお、これは夫婦という形でともに稼得したという前提でありますので、婚姻期間が四十年の場合、十万円で、半額の五万円と。これは、例えば二十年ということでありましたら、おのずと金額は半分になって二・五万円になると、こういうことでございます。

山根隆治君
 企業年金入れてないですね、全然。

副大臣(石田祝稔君)
 これ、入れておりません。

山根隆治君
 団塊の世代が今年から定年を迎える。私、今、団塊の世代の真っただ中にいる人間ではございますけれども、やっぱりこの年金に対しての非常に関心といいましょうか、御自身の生活設計の中で問い合わせが殺到して、それになかなか出先の機関が答えられていないというふうな状態があるというふうに今報道もされているわけでございます。特にこの今の年金の夫婦の分割の問題につきまして非常に誤解をされている方もたくさん国民の間であるような気がしてなりませんので、この点、是非周知徹底されるように、役所としても政府としてもひとつ責任持ってPR活動といいましょうか、実際はこうなんだということを御説明されるような工夫を是非この際お願いをしておきたいと思います。
 
 さて、少しまた戻りますけれども、人口推計のことでございますけれども、先ほど未婚化というものを一つの原因だというふうなことで大臣の方からもお話がございました。その未婚の背景には雇用の問題というのもあります。非正規社員化ということが、これも大きな問題としてございます。

 実は、大きく今、社会が変動をしているというふうに私は思うんですけれども、例えば、ある学者の推計ですと、二十歳になる青年が結婚される割合が、細かな数字は忘れましたけれども、結婚しない方が四分の一くらい、そして結婚するけれども離婚をされるという方がこれまた四分の一ぐらいいる。つまり、結婚をして生涯添い遂げるといいましょうか、女の方ですと、男の人ですと一緒に御夫婦仲よくされて一生を終わるという方が大体半分ぐらいになるだろうと、こういう一つの推計があるんですね。あるいはまた、結婚式場に行きますと、できちゃった結婚という、今、四分の一ぐらいのペアがあるんだそうですけれども、その結婚式場にはもうマタニティードレスが全部どこでもやっぱり用意されている。

 そういう、一時代前ではもう考えられないような社会状況が今現出しつつあるということでございまして、私は、社会のいろいろな仕組みをつくっていくのにも、私はもうそうした現実というもの、善しあしではなくて、そうした現実というものもしっかりと受け止めて社会の制度設計というものも考えていかなくてはいけない、そういう時代に一面なっていると思いますが、こういう点について、総理の方、御見解ありましたらお聞かせいただけますか。

内閣総理大臣(安倍晋三君)
 社会の在り方については、あるべき姿というのも当然あるわけでありまして、そうしたあるべき姿を我々追い求めていきたいとは思うわけでありますが、現実の変化に対しては、政治がその現実の変化の中において諸制度等については常に現実の変化をよく見ながら検討していく、あるいはもう一度よく見直しをしていくという姿勢は大切ではないかと思います。

山根隆治君
 総理のおっしゃるように、私自身もあるべき姿というものをやはり追うということが大事だと思います。それを根本として現実に対してどう対応するか、それが政治の行うべき道だろうと思っております。
 
 そこで、厚生労働大臣にお伺いをさせていただきますけれども、私は、現実にどう対応するかということについては、具体的に例えば、一定の企業には、企業の一定の規模のあるところについては託児所というものを義務化するであるとか、あるいはまた端的に言うと、母子家庭でも食べていける、そして教育も十分に施せる、そうしたシステムといいましょうか、制度の設計ということ、あるいはまた少子化の問題がございますけれども、独身でいるよりも結婚をして子供をもうけていくということの方が生きやすい、生活しやすい、そういうふうな制度設計というのは私はあり得るんだろうと思うんですけれども、こうした点について厚生労働省としてのお考え、大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。

国務大臣(柳澤伯夫君)
 まず、働き方の問題でもあるわけですけれども、働く場合の仕事と生活とのバランス、こういうものについても真剣に考えていかなければ、なかなか、今委員が最初に取り上げられた人口の動向に対しても私どもなかなか的確な手だてを講じていけないということだろうと思います。
 
 そういう場合に、事業所において託児所を設けるということを今委員は御提案なられましたけれども、私も実は非常に大きな要素だというふうに考えております。

 もちろん、託児所あるいは保育所というものを地域に置くというような考え方もあるわけですけれども、特に母親が勤めている場合なぞについて、自分の勤め場に近いところに自分の子供がいるということの親子双方への安心感、これはもう非常に大事な点だと思います。ただ、ネックは何かというと、東京のような場合には通勤をどういうふうに確保するかということだろうと思いますけれども、いずれにせよ、私どもこれからはワーク・ライフ・バランスというのをトータルに変えていくぐらいの気構えで臨んでいくということを考えたときに、この事業所における託児所の問題というのは非常に大きなファクターだろうと、私はそのように考えております。

 それから、母子家庭の問題でございますけれども、今回、私ども、母子家庭というか、その家庭における、特に生活保護費における母子加算というものを縮減させていただく方向で改正を考えておるわけでございますが、これは生活保護以外の母子家庭、受けていらっしゃらない方の母子家庭の皆さんとのバランス上、そうしたことを考えさせていただくということでございまして、これはこれで御理解を賜りたいわけでございますが、私どもやはり母子家庭における子供さんの健やかな成長ということを常に頭に置いて考えていかなければならない問題である、このように考えます。

 それから、結婚でございますけれども、結婚につきましては、実は今独身の男女を取って調査をいたしますと、ほぼ九割の男性女性が、いずれ結婚をするつもりだというふうに非常に前向きに考えてくれております。一生結婚するつもりはないというのはかなり例外的な比率の方々ということになっておりまして、私どもとしては、こうした若い独身の男女の生涯の結婚の意思というものをできるだけ実現するようにこの環境の整備に努めてまいりたいと、このように考えております。

山根隆治君
 私は、中期的な施策も大事ですけれども、長期的あるいは超長期的な施策というものを具体的にやはりこれから考えていかなくてはいけないだろうというふうに思っております。
 
 例えば、私、議員であればだれしもいろいろな相談を国民の皆さん、地域の皆さんから受けるかと思うんですけれども、やはりだんなさんで暴力的なだんなさん、あるいはまた働かない、お金を家に入れない、そういうだんなさんと一緒に、結婚が縁があってしたという方も結構いらっしゃって、なかなかしかし経済や生活を考えると踏み切れないというふうな御相談もたくさんあるわけでございます。

 そうした方々が、最低限度というよりも人並みな生活がどうできるかということをやはり政治は考えていかなくてはいけない。そういうことは長期的あるいは超長期的かも分かりませんけれども、是非具体的に、今大臣が就任されている間にそれを御指示なさっていただければというふうに思います。

 それでは、次に移らせていただきます。
 若年者の雇用問題についてお伺いをさせていただきたいと思いますけれども、厚生労働省のホームページによりますと、ホームレスの数の調査というものは目視による、つまり目で確認をするということとなっております。そうなりますと、漫画喫茶やネットカフェを寝床にして狭い個室に入っている若者ですね、そういう方々は恐らくこのホームレスの中にカウントされないんだろうと、つまり見えるわけがありませんから、だろうというふうに思っております。そういう方々はインターネットや携帯で日雇の仕事を探して、そして翌朝働きに出て、またそこに帰ってくると、こういう生活をされている方がかなりおられるというふうに見受けられるわけです。そういうふうな報道もあります。

 これらの状況ということで、例えばホームレスの特別措置法の十四条では調査義務というのが政府に課せられているわけでございますけれども、直ちにこの調査というものを行うべきだと思いますが、どのようになっているのかお尋ねをいたします。

副大臣(武見敬三君)
 現状についてどう把握しているかという点についての御説明をさせていただきたいと思います。
 
 お尋ねの漫画喫茶及びインターネットカフェの数や利用人数というものについては把握はできておりません。そして、この食品衛生法という法律に基づいて、公衆衛生に与える影響が著しい営業については、条例で定められた施設基準を満たし、許可を受けなければ営業をしてはならないと、こういうことになっているわけでありまして、この食品衛生法の観点からは、インターネットカフェであるか漫画喫茶であるかなど営業の形態によってこの公衆衛生の見地から施設基準が変わるものではないために形態別に分類する必要がなく、それぞれの許可件数を把握していないというのが実態でございます。

山根隆治君
 こういう若者は、派遣会社に登録しておきますと、携帯に仕事の日雇の内容であるとか時間、集合場所等が送られてきて、そして働きに出るということですけれども、こういう雇用の形態というのもモバイル派遣あるいはスポット派遣というふうに言っているそうでございます。しかし、過酷な肉体労働でありますし、保険も適用を恐らくされておりません。交通費もないということで、最低賃金以下の仕事になっているやに聞くわけでございます。いわゆるワーキングプアというふうなことになっております。
 
 先ほど私申し上げましたように、ホームレス特別措置法の十四条には調査義務というものがはっきりと明記されているわけですけれども、それは人数どれぐらいいるかという調査だけではなくて、実際の雇用の形態がどうなっているのか、あるいは保険の適用はどうなっているのか、賃金がどうなっていくのか、そうしたことも私は義務として課されていると思うんですけれどもね。是非、そういう点についても調査をしていただきたいというふうに思います。

 そして、私は、今政府がなすべきことは、こういうふうな若者、こういった若者に貧困の連鎖を断ち切るために、住居を提供したり、丁寧にやはりカウンセリングをする、職業訓練を施す、そういう私は施策が是非必要だというふうに思うわけですけれども、この点についてはいかがお考えでしょうか。

国務大臣(柳澤伯夫君)
 ただいま山根委員がおっしゃられたように、正に、そうしたところに今寝泊まりをしている若者が携帯電話の連絡でもって派遣労働に出掛けていくという、そういうことであれば、私どもといたしましても、やはりこれは全く望ましいと思えない仕事のやり方でございますので、この派遣元ですね、派遣元を調査することによってできるだけその実態を明らかにして、もっとこうした若者が正規雇用と申しますか、そういったところに働きに出掛けられるような、そうした職業訓練なりあるいは就業のあっせんというものをしなければいけない。また、そのための、そうした若者がしっかり把握できれば、そうしたところにいざなうことのできる制度的な措置を私どもはいろいろと今持っているということでございますので、一番そうした若者に適合した施策を結び付けるように努めてまいりたいと、このように考えます。

山根隆治君
 総理も、今の若者の雇用の実情というものをお聞きになっていて心を痛めていらっしゃると思うんですけれども、そういう若者の雇用についてのこうした実情についての御見解、お聞かせいただけますか。

内閣総理大臣(安倍晋三君)
 今の若い人たちの働き方は、かつての日本人の平均的な働き方とは随分変わってきているのも事実だろうと、このように思います。
 
 そういう働き方の変化に対応した働き方の仕組み、ルールを構築をしていくことが重要ではないかと、こう思っているわけでありますが、しかし、若い人たちが将来に向かって働くことに生きがいを持てるように、働くことに誇りを持てるようにしていくことも大切だろうと思いますし、また、若いですから、将来自分の収入が増えていくように、自分の技術や能力を向上さしていくことができるように、そういう仕組みもつくっていかなければならないと。今あるこの格差、置かれている状況を変えることができない、そういう絶望の中に若者を置いてはならないと、このように思います。

 そういう意味におきまして、我々、再チャレンジの支援のための総合プランを二百三十七施策、今つくっているわけでありますが、その中でも、若い人たちのための再チャレンジの道を開いていく施策、予算を付けて実施をしていきたいと、こう思うわけでございますが、言わばフリーアルバイターと言われる方々やニートと言われる人たちがこれからなるべく正規の職業に就いていくことができるように、二十五万人の常用化プラン等も推進をしていきたいと思っております。

山根隆治君
 次に、介護の問題について、大臣、お尋ねをさせていただきたいと思います。
 今、介護の現場というのは大変なことになっているというのは、大臣もあるいは御認識あるかと思うんです。非常に重労働であって、そして低賃金ということで非常に苦しんでおられる方が多いということでございます。

 ある調査によりますと、職員の方の腰痛で悩んでいらっしゃる方の数というのは、自覚症状を持っている方だけで五割、そしてコルセットを使用している方が三割というふうなことでございます。恐らく、こうした方々が逆に御自分が老後、将来は必ずこうした介護を受けなくてはいけないという、非常に矛盾といいましょうか、というものも散見ができるわけでございますけれども、こうした介護の現場の状況について大臣の御見解をお聞かせください。どのような御認識を持っていますか。

国務大臣(柳澤伯夫君)
 高齢化が進む中で、介護の需要と申しますか、そういうことを必要とする高齢者の方々がいやが上にも多くなってくるという状況でありまして、だれかがその介護を担うということが必要になります。その人材の確保というのは、その意味で極めて重要な課題だというふうな認識を持っております。
 
 そして、介護に当たる職員ですけれども、これは元々この制度がスタートをしてからまだ間もないというようなこともありまして、いろいろと多くの問題を抱えているというのが実情であろうかと思います。勤続年数が比較的短いとか、あるいは離職率が比較的高いとかいうことがあるほかに、今この意識調査をいたしますと、介護の従業員の方々にはやっぱり賃金が安いという回答をされることも比較的多いことも事実でございます。そういう状況のほかに、今委員がおっしゃるとおり、なかなか労働というのも正直言って厳しいものがあるだろうと思いますし、私が聞くところでは人間関係の取扱いもなかなか難しいと、こういったことも聞かせていただいております。

山根隆治君
 私は、実際に今介護の現場で働いておられる方の実態というもの、数字的なものではなくて御意向、これを是非ひとつ聞いていただきたいと思うんですね。
 
 例えば、女性で四十代、五十代の方が非常に多くお勤めになっている方がいらっしゃいます。そういう方々に、さらに、今度は資格をレベル高く取りなさいというのが今政府の方針になっておりますけれども、しかし資格を取ろうとすると、時間がない、そして研修を受けるお金がない、そういうふうな実態があるわけで、それを無視して、単なる現実というものを見ないで理想にばかり走ると、介護に働いている方がどんどんどんどん離れていく。例の看護師さんの問題でもそういう失敗を厚生労働省はしたと思うんですが、そういうことではあってはいけない。私は、現場の方々の意見をしっかり聞くということが必要と思います。

 そしてもう一つ、給与というものについて、大臣はどの程度の給与をこういった方々に保障をするというのが現実に合う、そして理想だというふうに考えますか。今、賃金が低いということを自らおっしゃいましたので、どの程度のことをお考えですか。

国務大臣(柳澤伯夫君)
 賃金につきましては、平成十七年の調査によって試算をいたしますと、ホームヘルパーの平均年収が約二百六十万、福祉施設介護員が二百九十一万ということでございます。ただ、私が申し上げたのは、先ほども申しましたとおり、意識調査によりますと賃金が安いという回答をされる方がいらっしゃる、比較的多くいらっしゃるということでございます。
 
 この点に関しまして、職員の賃金等の財源となるのはもちろん介護報酬でございまして、昨年の改定におきましても、実はサービスの質を確保するということから、サービスの種類ごとの利益率、施設の利益率等を勘案した上で報酬等の設定を行いました。また、現場のかなめとなる介護福祉士の配置を評価するというようなことで、その加算を訪問介護において設けたところでございます。

 二十一年度に、次回の改定になるわけですけれども、事業所の経営や従事者の処遇の実態等を十分に把握して、また国民が負担している介護保険料の水準にも当然片方で留意しなければなりませんけれども、いずれにいたしましても、社会保障審議会の介護給付費分科会におきまして十分御議論をいただいて、介護に当たる人材の確保ができるように適切な報酬を設定してまいりたいと、このように考えております。

山根隆治君
 その大臣の適切なというのは、生活が十分に立ち行く、そしてこうした介護を目指されている方々、就いておられる方は、非常に純粋な気持ちで人のために尽くしたいというふうな思いがあるわけですから、それを裏切るような給料ではないということだけは是非この際お願いをしておきたいと思います。
 
 医療問題に移させていただきます。
 医療保険制度の目的というのは何でしょうか。

国務大臣(柳澤伯夫君)
 これはもう国民がひとしくいつでも自分の体の具合の悪いときにお医者さんにアクセスできるということが基本で、国民皆保険制度というのは私ども世界に誇る制度と考えておりまして、これを維持するということが私どもの最も大事だと考えているところでございます。
 
 そして、中身ですけれども、やはり国民が安心して良質な医療を受けられるということが大事だというふうに考えておりまして、先般の医療法の改正等におきましても、情報の公開、あるいは医療の安全を確保するための職員の配置、あるいは機能の分化、病院と診療所の機能の分化とその連携、こういったようなことで安心して良質な医療が確保されるということを今着々と実現しようという方向にあるということでございます。

 最後にちょっと申し上げたいのは、そうは言い条、やはりこれ保険制度の下で行っております関係で、重複であるとかあるいは過剰であるとかということに対しては、一定の留意をしながらその改善に努めていかなければならないと、このように考えております。

山根隆治君
 冒頭といいましょうか、前半の部分のお話、全くそのとおりでございますけれども、しかし、実際の結果といいましょうか、やっておられること、言っていることとやっていることは違ってきているという実情があると思うんです。つまり、医療費の抑制が自己目的化してしまって、経済、財政というものを中心としていろいろな施策というものを打ち出してきてしまっている。ですから、現場でいろんな混乱が起きているということだと思うんですね。看護師さんの問題もいろいろな社会問題にもなっておりますし、介護の現場でも私はそうだと思うんです。
 
 例えば、今病院の数が全国で百六十三万床あるというふうに言われていますけれども、医療制度改革で計算上では四分の一が不要になってくる、不要にするという、そういうふうなことを厚生労働省の幹部の方も言っておられますね。そうすると、病院が減るということはどういうことかといいますと、今のを私なりに計算しますと、大体四万人から五万人の地域で病院がなくなるということですね。全国レベルで見ると大変なことですね。

 例えば、地方では、今まで公の病院、市立の病院だとかそういったところがどんどんどんどん民間に売却したりというふうな事態が起きている。それでは、都会は大丈夫なのか。私は今埼玉県ですけれども、埼玉県、首都圏、大都会でも、例えば病院の廊下が一・五メートル以上なくちゃいけない、それを二メートル以上にしなさいというふうな指導があったりする。そうすると、病院を建て替えなくてはいけないけれども、廊下を広げなくてはいけない。廊下を広げるということはどういうことかというと、病床を減らさなくてはいけない。病床は二百床以上ないとなかなか経営が成り立たないという実態というものもあるということで、大都市の病院というものもどんどんどんどん廃業したりしていってしまっているわけですね。そうして、大病院にどんどんどんどん、医大であるとか大きい公立の病院であるとか、そういうところに大都市の場合には逆に集中をしているということで、様々な矛盾が出ております。

 ですから、病院がそういうふうに追い詰められてくると、患者さんにもいろいろな負担というものが強いられてきている。例えば、私の方にインターネットでいろいろと情報が、いただきましたけれども、これも非常に悲惨なことがたくさんあります。同じ病院の中で、外科に掛かっていたけど内科に行ってくださいと、内科のそれでは紹介状を書きますからといって紹介料を取られるとか、例えば薬の説明書がある、説明書を七十円取られるけれども、もうその説明書は二回目はいいですと言っても、今度は一括してそれを取られる。

 これも病院ばかり責められませんけれども、そういう負担というのが実は逆に国民の間に押し付けられてくる、こういうふうな実態があるわけでございまして、この辺のところについて是非ひとつ大臣としても現実の御認識をいただきまして、どのようにいろんな支障が現場で出ているかということをつぶさに私は調査をして、今からでも遅くはない、対応策を是非練っていただきたいというふうに思います。

国務大臣(柳澤伯夫君)
 医療保険を制度として持続可能なものにするということのためには、その内容を、利用者あるいは国民あるいは患者の皆さんに安心、安全であると同時に、非常に質の良いものを保障するということが必要である一方、やはりいろいろ制度を運用していく上で見落としがちな重複であるとかあるいは過剰であるとかというようなことの適正化も図っていかなければならない、これはもうお認めいただけるだろうと思うわけでございます。
 
 しかし、私どもがその医療費の適正化を図るということのためにいろいろと、例えば在院日数を短縮するとか病床数を、療養病床について一定の再編をさせていただくとかというような施策をしていく場合に、やはり非常に利用者に思ってもみないような御負担を掛けるというようなことも我々全く否定しているわけではないわけでございまして、そうしたものが見付かった場合にはその是正のためにいろいろとまた検証の上に改善をしていく、こういうような姿勢でいるわけでございます。

山根隆治君
 私、最後の質問をさせていただきたいと思います。
 私、昨年の予算委員会でも小泉総理にお尋ねをしまして、統合医療の問題というものを質問をさせていただきました。西洋医学だけでは国民の健康を守り切れない、そこで伝統医療たるはり、きゅう、マッサージ、指圧、そうした柔道整復、そうした日本の伝統医療というものをもっと生かすべきだということを御質問させていただきました。

 そして、今年度予算では一億円の予算が付いておりますけれども、来年度、お伺いするところによると、一億円を若干欠けるような予算だというふうに聞いて、非常にこの点は残念でありますけれども、是非これからの統合医療というものを評価して、この点についての措置というものを是非していただきたい、前向きにしていただきたいと、今後というふうに思います。

 そして、そうした実は平成二十年の四月に施行されます後期医療保険制度、ここに私は鍼灸、あんま、マッサージ、指圧の積極的な活用がその第一歩となるんではないかと、こういうふうに考えておりますけれども、この当事者の方々のお話を聞かせていただきますと、一番深刻なお訴えが、被保険者が一部負担金のみで受療できるような措置をとってもらいたい、あるいはまた柔道整復師さんのように受領委任制度というものを是非導入してもらいたいと、こういう声が非常に強いんでございますけれども、統合医療推進という観点から、この点についての御見解、前向きな御見解、今資料がお役所から渡されたようですけれども、それを超えて、ひとつ大臣の御見解、前向きな御見解、お示しをいただきたいと思います。

 そしてまた、総理からもこの統合医療の推進についての御見解、お聞かせいただきたいと思います。

国務大臣(柳澤伯夫君)
 西洋医学に対して我々の伝統的な東洋医学と申しますか、そういうものを統合して適用していくということの意義は非常に大きなものがあろうというふうに思います。ただ、現実に私どもの医療保険制度におきましてはやや扱いを異にしておるのは、今委員の御指摘のとおりでございます。
 
 一つは、これは現物給付ということで、通常の、西洋医学の通常のお医者さんに掛かればそういうことになるわけでございますけれども、この東洋医学の方、あんま、はり、きゅうなどの支払についてはそういうことになっていませんで、実際、現金でお払いする、患者さんにお払いする。したがって、患者さんとしてはその医療機関に対しては自分でお支払いされると、こういうことになっておるわけですが、ただ唯一例外は柔道整復師の関係でございます。

 この関係をほかのあんま、はり、きゅうにも適用したらどうかというのが委員の御意見でございますけれども、この柔道整復師にかかわるいわゆる受領委任払いというものにつきましてはかなり経緯的なものを背景といたしておりまして、なかなか私どもの今の健康保険法や老人保健法の法の体系の下ではこれ以上にこの特例的な受領委任払いを拡大するということは極めて困難であると、このように申し上げざるを得ないと思います。(発言する者あり)長期的にはいろいろ勉強させていただきます。

内閣総理大臣(安倍晋三君)
 私は、はり、きゅう、あんま、マッサージ、大体よくみんな試してみるわけでありますが、例えば腰が痛いときとかには確実に効能があるんだろうと、このように思いますし、また、長期的に、慢性的に胃腸が弱いという方にとっては、はりやきゅうが言わば西洋医学よりも効能が顕著だという人もおりますが、しかし、科学的な根拠、個人においての科学的な根拠等々をまた検討をしながら、この柔道整復と同じ扱いという委員の御指摘でございますが、結果としてこれがうまくいけば医療費全体についてはいい効果が出てくるかもしれないということもあるのではないかと、このように思いますが、こうした科学的な根拠等をよく検討を見ながら考えていきたいと、このように思います。