山根隆治君
 今日は、国民生活に限定した議論の場でございます。昨年の予算委員会で、私は総理に、これからの日本をどのような国にされていこうとするのか、その具体的なイメージをお聞かせいただきたいという御質問をいたしましたところ、なかなか明確なお答えをいただけませんでした。

 五年半ほど前、小泉純一郎衆議院議員がさっそうと内閣総理大臣として登場をされました。国民の目には、まばゆいほど改革の旗手というふうに当時映っていたものであります。しかし、あれから五年半たちまして、今、辻議員からも御議論ございましたけれども、ここで顕著になってきたのは国民のいろいろな格差、これが明らかに私はなってきたと思っております。所得の格差、地域の格差、そして企業の格差、土地の値段、地価の格差、こうしたものが顕著になってきているわけでありますけれども、小泉総理が目指してきた国の形あるいは国の心というのは現下の日本のこのような姿を想定していたものかどうか、この点について御見解をお聞かせください。

内閣総理大臣(小泉純一郎君)
 現在の日本の社会におきましては様々なひずみもあります。是正されるべき点も多々あります。しかし、現在の状況、全般的に眺めて総括すれば、歴史始まって以来の豊かな社会になっていると思います。

 そういう中で、衣食足って礼節を知るという言葉がありますが、必ずしもそうではないなという最近の風潮を考えてみますと、人間社会というのは極めて難しいもんだなと。

 世界一長生きできる社会にしようと、戦後、目標を立てて一生懸命頑張ってまいりました。現実に世界一長生きできる社会になった。そういう中にあっても、必ずしもああいい世の中だと思っている人ばかりじゃない。いや、昔の方が良かったと、ますます世の中悪くなったと思っている人も出てくる。これほど医療が進歩した中でもなかなか病気もなくならないし、難病を抱えている方も、困難を余儀なくされる方もたくさんおられる。世の中は、どんな進歩があっても、どのような制度が整備されても、やはり苦しく、困難な面があるんだなと。

 そういう中でも、いいところは伸ばしながら悪い点を直していく。そして、多くの方々ができるだけ意欲を持って独り立ちできるような社会にしていく。そして、独り立ちできない方々に対してはお互い支え合って、この世の中、助け合いながら平和のうちに豊かな社会にしていこうという、そういうことが政治の場におります我々にとってはますます重要ではないかなと。

 ともかく、六十年間一度も戦争を経験することのなかったこの平和の有り難さをかみしめて、より良い社会に、豊かな社会に、そして多くの方々が助け合いながら、支え合いながら、活発に自らの希望なりを実現できるような社会にしていきたいと思っております。

山根隆治君
 私は、総理のこの五年半の言動、行い、そういうものを見てきますと、総理が漠然と目指していたのはやはりアメリカ型の社会を目指していたのかなというふうな私は感想を持っております。アメリカも非常に懐の深いところですし、明るい、活力に満ちた魅力のある国であります。しかし、他面、CEO、経営最高責任者、仮に社長といたしますと、社長と労働者との報酬の差というのは、実は一九九〇年には百七対一でありました。そして、それが二〇〇三年になると三百一対一、そして二〇〇四年では四百三十一対一、ますます個人の所得の格差というのがこのように、アメリカ社会はですよ、広がっているということであります。

 日本はそこまで行きませんで、民間の調査機関の数字見ますと、大体、社長と一般従業員、初任給比べると、四倍から六倍ほどの格差ということになっております。これはそれほど大きな形で顕著にはなっておりませんけれども、そういう社会であります。

 ところで、一九一八年にシュペングラーの「西洋の没落」というのが、名著ができました。そして、一九七九年にはエズラ・ヴォーゲルの「ジャパン・アズ・ナンバーワン」が出版をされ、一九八三年には大平元総理が構想をされていたものを後から有識者等がまとめられた「近代を超えて」という本が上梓をされたわけでございます。

 ここで私何を申し上げたいかというと、市場原理信奉する小泉総理の経済政策等について、本当にそれが日本の社会にかなったものなのかどうかと、そういう疑問を私は実は抱いているところでございます。やはり、今申し上げましたような歴史的な流れからすると、私はもう既に近代合理主義というものは行き詰まってきているというふうに思えてならないわけであります。総理がやはり学ぶべき、習うべきものは、アメリカにあったのではなく、欧米にあるのではなく、日本の営々として築かれた日本の文化、伝統、人のことを思いやったり、そして気遣い合う、そういう私は和の心というか、大きく和する大和の心というか、そういうものに総理は習うべきだったというふうに思えてなりません。いろいろな識者の方から私もそんな御意見等もいただいておりますので、そういう多くの国民の声がある、国民の声があるということを是非この際総理にもお伝えをさせていただきたいと思います。

 それでは、通告をさせていただいております統合医療の問題につきまして御質問をさせていただきたいと思います。(資料提示)

 総理は統合医療という言葉、余り耳慣れないものだと思いますけれども、実は、統合医療というのは西洋の医学だけではなく、東洋医学あるいはそのほか伝統的な四千年、五千年世界で続いた医療技術というものがあるわけでございますけれども、そういう技術を、医療技術というものを融和させて、国民の健康、個人の健康というものを守っていこうと、こういうふうな考え方で実はございます。

 この中には、例えば日本でいいますと、はりであるとかきゅうであるとか、あんまであるとかマッサージであるとか、そういうふうなものも、分野のものも入ってくるんですけれども、総理は、そうした代替医療というもの、これには掛かられたことがございますか。

内閣総理大臣(小泉純一郎君
 私も、はり治療とかマッサージとかカイロプラクティックとか、いい治療だと思っておりますし、たまにお願いしてやっております。もとより、お医者さんの中にも腕の違いがありますが、そのお医者さんを選ぶことも大事だと思います。

山根隆治君
 実は、患者の方の側から非常に今、総理も経験されている。私自身も、実はテニスをやっていまして、ひじを痛めたり腰を痛めたりいたします。そんなときに、もう歩けないような状態のときでも、はり治療でもう一時間後には歩いて帰ってこられる、そんなふうに非常に即効性もあるということで、私も非常に重宝いたしております。

 先日、ある御婦人からこんな話を聞きました。国会でこんなこと質問するということを実は申し上げましたらば、実は自分自身も病気で切開手術をして縫製をしてそこがうんでしまったり、あるいは痛みがずっと続くということで、はり治療に行ったら本当にそれが見る見るうちに全快をしていった、痛みもなくなったと、こんなふうなお話を聞きました。

 あるいはまた、これもアメリカで研究所ではっきり科学的な立証もされておりますけれども、がんにかかられて副作用、当然いろんな治療の中で副作用が多くて、吐き気であるとか痛みであるとかだるさだとか、そういうふうな副作用がどうしても避けられないときに、はり治療が非常にこれは有効だということを科学的にもこれも立証はされたということで、その研究所では発表も実はされているわけであります。

 我が国におきましては、なかなか西洋医術を持ったお医者さんと国民の一種の意識のギャップというものがあって、なかなかまだ東洋医術というものが日の目を見ないというところありますけれども、欧米では、一九八〇年以降非常に研究が活発になってきまして、例えば米国では、一九九八年時点ではアメリカ国民の四二%がそうした代替医療というものを経験をしているということであります。そして、一九九九年には、ブッシュ大統領の肝いりで国立CAMセンター、代替医療の研究のセンターができまして、十三の大学にそうした代替医療の、統合医療の研究をする、そうした学科が開設をされたりしているというふうな状況で、かなりアメリカ、そしてヨーロッパでも、イギリス、スコットランドではもう研究施設も造られておりますし、ヨーロッパ、ミュンヘン、ロンドンでは国際会議も開かれている、こういうふうな状況になってきているわけでありますけれども、日本国としてはこうした統合医療に対しましてどのように評価して取り組んでおられるのか。そして、来年度予算で一億円の予算が計上されているということでありますけれども、今後どのように予算措置をされようとしているのか、厚生労働大臣、お尋ねをいたします。

国務大臣(川崎二郎君)
 今るる御説明いただきましたように、西洋医学に含まれない医療領域、相補・代替医療、それと現代西洋医療と効果的に組み合わせる、それに対する国民の関心は今委員が御指摘のように高まってきていると、このように考えております。

 厚生労働省においても、あん摩マッサージ指圧師を国家資格として位置付けさせていただきました。さらに、平成十八年度からは、統合医療に関し内外における普及の状況や経済効果、西洋医学に相補・代替医療を併用することにより具体的に高まる効果などについて研究を実施するために、一億円の予算を組ませていただいて統合医療を推進するための土台づくりを図ろうと、このように考えております。

 こうした研究によって得られた成果等を踏まえ、国民や医療関係者等に対し情報提供を行うとともに、医療現場において適切な取扱いがなされるよう努めてまいりたいと考えております。

山根隆治君
 アメリカの国立衛生研究所の二〇〇五年度の相補、お互いに補う、代替医療の研究費というのは、日本円にしますと三百五十億円になっているわけであります。そして、今大臣から御答弁ありましたように、日本では来年度予算で一億円ということで、三百五十対一の比率と、アメリカと比べて、そういうふうになっているわけであります。日本統合医療学術連合というところから遠慮がちに、日本のこの予算、関係予算というのは、五年間で百億、年間二十億、予算要望をしたいんだというふうなお話を実は聞かせていただいておるところであります。

 やはり、この統合医療について我が国が欧米に比べてかなりの後れを取っているということにかんがみて、私は来年度以降も思い切った予算措置というものが必要だと思うんですけれども、この点についてもう一度厚生労働大臣の方から踏み込んだちょっと御答弁をお願いいたします。

国務大臣(川崎二郎君)
 欧米に比較して後れているという御発言もありました。一つの側面ではそうだろうと。しかし一方で、東洋医学を取り入れているということについては我が国はかなり進んでおるという認識をしております。現実に、今申し上げたように国家資格として位置付けてやっているわけですから、そういう意味では、今申し上げたような研究をしっかりさせていただいて、医療とこのもの、相補・代替医療を組み合わせることによってどう効果が得られるかと、これはきちっと出していかなきゃならぬと、こう思っております。

山根隆治君
 国家試験があるから、制度として確立しているから、それでしっかり担保されているということは少し、国民がそれでどのぐらいそれでは治療を受けているかということからすると、東洋医学でありながらアメリカ人はよっぽど、数倍の患者数というか、持っているということをこの際御指摘をしておきたいと思います。

 国民の医療費の今後はトータルでどのように推移されると想定しているのか、お尋ねいたします。

政府参考人(水田邦雄君)
 国民医療費の将来見通しについてのお尋ねでございますけれども、まず今回の医療制度改革実施前の見通しについて申し上げますと、二〇〇六年度、平成十八年度は三十四兆円、二〇一五年度は四十七兆円、二〇二五年度、平成三十七年度は六十五兆円という見通しを立ててございます。

 これに対しまして、平成十八年度の診療報酬改定、それから健康保険法等の改正の効果を織り込んだ国民医療費について申し上げますと、二〇〇六年度につきましては三十三兆円で一兆円の減、二〇一五年度は四十四兆円で三兆円の減、二〇二五年度は五十六兆円ということで八兆円の減との見通しを立ててございます。

山根隆治君
 欧米では、この統合医療を導入させることによって医療費というものを見直して、そして大幅な削減計画というものを立てているわけですね。

 日本も、今見直しをされて、当初予定よりもかなり削減するということでありますけれども、膨大する医療費、まあGDPに比べてどうかという議論はありますけれども、これを、私は統合医療というものを積極的に導入することによって、これは特にやっぱり予防医学の面からも非常に画期的な手法が、たくさん蓄積というものがあるわけですから、私は、もう大胆にこれを取り入れることによって医療費の削減というのはもっと可能だと思いますし、また関係者、この統合医療学会の役員の方々も、もっと大きく削減できるはずだということを口を酸っぱく私にもそんな話を聞かせていただいたり、読ませていただくことが多いんですけれども、これについて、もっと大胆に導入することによって削減計画というものをもっと大きくできるのではないでしょうか。厚生労働大臣。

国務大臣(川崎二郎君)
 ここにお示しいただきましたように、既に老人医療それから介護の現場に東洋医学等入っていることは事実でございます。また、これから予防重視というものが、これは医療の面、それから介護の面、両面で必要であります。

 そういった意味では、先ほども申し上げておるとおり、予算面どうのということについてはすぐ答えられませんけれども、組合せをして、いい医療をつくり上げるということについてはしっかり考えてまいりたいと思います。

山根隆治君
 私、冒頭、はり治療のお話をさせていただきました。これは自分の実体験でございました。しかし、このはり治療についても、先ほど制度のお話、大臣されましたけれども、例えば柔道整復師さんですと、その先生のところに行くについて、保険の適用については医師の許可が必要でなく、そして患者さんが柔道整復師の病院、医院に行きまして、保険の分以外のものを、保険適用以外の部分のお金をお支払をして通院するという形が行われております。そして、保険の請求については、保険者に対する請求は柔道整復師の先生がされるということになっております。

 ところが、まあどういう、いろいろな経過があるようでありますけれども、はりの先生、鍼灸の先生についてはそうしたことが実は行われておりませんで、私はそこのところ、受領委任払いというその制度というものを、やはり私はしっかりと適用をすべきもう時期にそろそろ来ているのではないか。

 つまり、患者、今のままですと患者さんがお医者さんから許可を受けて、そしてその鍼灸の治療院に行って、行っても保険の支払については自分で、例えば国民健康保険であると市町村の方に行って保険の請求をするという手続を患者さん自身が取らなくてはいけないという煩わしさがあって、もう保険の適用、事実上なかなかできないと、こんなふうな状況があるわけでありますけれども、もうそろそろこの点見直すべき時期に来ていると思いますが、厚生労働大臣、いかがですか。

政府参考人(水田邦雄君)
 お答え申し上げます。
 健康保険法等に基づきます保険給付は、保険医療機関等からの現物給付ということで療養の給付を行うことが原則とされてございます。それが困難である場合で、保険者がやむを得ないと認める場合に、療養の給付に代えて現金給付として療養費払いを行うことが認められているところでございます。

 お話のありました柔道整復師が行った施術に係る療養費についてでございますけれども、これは特例的に受領委任払いが認められてございますけれども、その理由といたしましては、整形外科医が不足していた時代に患者さんが治療を受ける機会の確保を図る必要があったというまず経緯がございます。

 それからもう一つ、法律上応急手当ての場合には、医師の同意なく、柔道整復師さんの場合には医師の同意なく施術ができるということが定められておりまして、言ってみますと医師の代替機能というものを有しているという特性がございます。このようなことから特例的な扱いが認められているわけであります。

 一方、マッサージ及びはり、きゅうに係る療養費の対象疾患についてでございますけれども、これは外傷性の疾患でございませんで、発生原因が不明確で治療と疲労回復等の境界が不明確であるということから、受領委任払いは認めていないと、こういう現状でございます。

山根隆治君
 今大臣、現状をお話しされたんですが、これはもう政府参考人の立場から仕方がないことだと思うんですけれども、私が申し上げているのは、もう時代が大きく変わってきている、統合医療というものが見直されている、厚生労働省でももう踏み切っている時代に来ている、そうした歴史の大きな転換点なので、政治判断でこれは改革をすべきだという私は提案をいたしているわけであります。

 総理はいかがでしょうか。御答弁いただけますか、政治決断ですから。

内閣総理大臣(小泉純一郎君)
 私も厚生大臣経験していますから、はり治療とかあんまさん、指圧、マッサージ、カイロプラクティックの良さ、普通の掛かったことのない人に比べればはるかに効果、効能はわきまえているつもりなんです。保険が利かないのに、カイロプラクティックにしてもはり治療にしても、なぜあれだけ多くの人が引きも切らず高いお金を払って行くのか。これは効果があるからなんですよね。

 しかし、今、水田局長言われたように、これが治療なのか予防なのか疲れを取るなのか分からない。本来は、治療より予防ということを考えると、病気になる前に疲れを取るということは非常に大事なことなんですよね。生活習慣病もこれは大事です。ですから、それを実際保険の点数にどう組み入れていくか。あるいは、お医者さん同士の境界争いがあります、自らの、これがまた複雑なんですよ。

 だから、そういう点についてはずっと私検討しろ検討しろと言ってるんですよ。それがなかなか、そのお互いの縄張争いと言っちゃちょっと語弊があるかもしれないけれども、これは難しいんですよね、この許可を与えたら、私たちの職業、仕事が減っちゃう。ここが何か政治家とは違ったまた争いがあるんです。そういう点は、今後十分、人間の体全部を考えて健康を考えると、この統合医療というのは私は大変重要だと思っていますよ。

山根隆治君
 いい答弁だったと思います。あとは実行ということで、厚生大臣に強くひとつおっしゃっていただきたい、指示していただきたいと思います。

 私は、この際、今はお医者さんの指示の中でというところでの受領委任払いのお話をいたしましたけれども、私は、例えばがん治療、がんの手術をした後の回復期に、多くの方が総理のようにはりに行かれたりなんかして非常に助かっていらっしゃるということがあるんですね。ですから、そうした私は限定をした中でも、医師の指導ということで必ずしもなくとも、そうした限定した中での行為として、私はこの際保険の適用ということに踏み切ることも私は大事だろうというふうに思いますけれども、この点について短く端的に御答弁、総理の方からお願いできますか。

国務大臣(川崎二郎君)
 総理からもお話ございますし、党内にもいろいろな議論がございます。今日は、委員の御意見として受け止めさしていただきます。

山根隆治君
 今年の二月に、実は国際シンポジウム「日中韓で統合医療を考える」というものが日本で開催を実はされました。

 今、中国、韓国との関係がいろいろなファクターに、要因によってぎくしゃくした関係にあるということは多分総理もお認めになるんだろうというふうに思っておりますけれども、私はこの際、中国、韓国、日本と、三国による統合医療の研究所というようなものをつくって、そして日本の健康、アジアの健康、世界の健康のやっぱり発信基地というものを日本が主導的な役割を果たしてつくるということで、これが一つのアジア、東アジアにおける平和構築の第一歩にすることも私は可能だろうと思うんですけれども、こうした発想について総理の御所見お聞かせください。

内閣総理大臣(小泉純一郎君)
 そのような東洋医学の研究がどの程度今進んでいるかというのは定かではありませんけれども、その発想というのは大変いいことだと思っております。

山根隆治君
 是非ひとつ御検討いただいて、今すぐ御答弁いただけるような話ではありませんけれども、厚生労働大臣と御協議いただきたいと思います。

 次に、大学入試センターのリスニングテストのことでお尋ねをいたします。
 国立大学受験をされる方が大学入試センターのリスニングテストを今年から受けました。一月二十一日、三百一の会場で行われたわけでありますけれども、英語の聞き取り試験について、実はICプレーヤーが不具合で四百六十一名の方がもう一回テストを行うというふうなことになりました。一人ずつの方がプレーヤーを聞いて、そこから音を聞くということでやられたわけでありますけれども、一つの会場で、いろいろな検討がされた結果だとは思うんですけれども、私はやっぱり館内放送で一斉にリスニングテストを行うという方法をなぜ取らなかったのか疑問であります。お聞かせください。

国務大臣(小坂憲次君)
 英語のヒアリングテストの実施に際しましては、今おっしゃったような一斉方式あるいは個別音源方式等が検討されました。一斉方式は各会場のスピーカーを使ってやるわけでございますけれども、そのスピーカー、新しいスピーカーを全部供給するというようなわけにいきませんので、備付けのスピーカーが、まあその会場によっては音が割れたり、あるいは窓際に座っている人とスピーカーに近い人で音の状況が違う。特に、窓際の人の外を大きな音をした街宣車のようなものが通れば聞き損ねてしまう。もうやり返しが、やり直しが利かないわけですね。そういったような点から、これは大学関係者、高等学校の関係者、有識者等の意見も十分にお聞きした上で、慎重に検討してこのICプレーヤーによる個別音源方式が採用されたところでございます。

 平成十六年の九月に同方式によるテストが行われまして、三万六千名の皆さんにトライアルをやっていただきました。その結果、十八名の方から不具合の申出がありました。〇・〇五%という不具合率でございますが、今回の実施に際しましては、四十九万人受けられたうち四百五十人から不具合が申出がありまして、これは〇・〇九%に当たるわけでございますけれども、この四百五十名の方々の中には、高い試験の緊張から実際の操作を誤ったというようなものも含まれているというふうに考えられますので、現在、入試センターがメーカーとともに検証中であるわけでございます。

 いずれにいたしましても、こういった個別音源方式を使ってやった方式というものは御理解をいただきたいと思いますが、四百五十名の受験生の皆さんが不具合によって多大な御迷惑を被ったということでございまして、心から遺憾だと思っておるわけでございます。

山根隆治君
 今、遺憾の表明がありましたけれども、昨年テストをやってみて、〇・〇五の事故率というか不具合の具合、そして本番になってみたらまたそれが増えているということですね。これはもう仕方のないという、想定の範囲というふうに考えておられたのかなというふうにも思います。

 時間がないので先に行きますけれども、これは一台当たり二千六百円でございまして、五十万人ほどの方が受験生、受けられておりまして、一台ずつ配られて、十六億円実はこれ掛かっているわけですね。しかし、これはもう使い捨てになっているわけであります。

 例えば、民間でもこのことを想定して、いろいろな塾、予備校などではいろいろなテストをやっています。これは年間四回使って、そしてそれを三年繰り返し使うと、これは代々木ゼミの話ですけれども、そういうことをやっておられる。一回で駄目で、お持ち帰りでどうぞと。これは、今、国民の生活がまだまだ不安定な中で、これ許されるんでしょうか。そして受験生にも負担がいくということで、こんな無駄なことはない。どう考えますか。

国務大臣(小坂憲次君)
 そのことにつきましてはいろいろ検討されたようでございますけれども、持ち帰って、そして検証するということも踏まえて持ち帰りということを考えて、そのような方式を取ったということでございます。

山根隆治君
 いや、だから、それが無駄でしょう、もったいないでしょう、なぜそういうことをするのかということを聞いているんです。

国務大臣(小坂憲次君)
 仮に次年度使うといたしますと、一年間保管をするわけでございます。約五十万台のものを保管して、電池を全部交換して、その不具合を全部チェックして、メモリーとの整合性等も全部チェックしなきゃなりません。その費用は製作の費用よりもはるかに上回るというふうに計算されたというふうに聞いております。

山根隆治君
 心の問題ですね。国民の負担というもの、先ほど定率減税の話、辻委員からもございましたけれども、そういうメンタルの面はどう考えるんですか。

国務大臣(小坂憲次君)
 物を大切にするということは大変重要なことでございますから、私も物を大切にする心というものは尊重いたしたいと思います。

 しかしながら、その保管の結果、また新たな不具合が発生するという危険性を考えますと、新たな機器を生産して、それを十分にチェックをして、そして試験に適用するという方が現実的という判断があったというふうに私は考えております。

山根隆治君
 それでしたら、私はやはり、個々にプレーヤーをお渡しするということではなくて、一斉にその教室で聞かせる、リスニングテストをさせるということをもう一回私は検討すべきだと思います。
 時間です。終わります。