山根隆治君
 御通告をしております三点について順次お尋ねをしておきたいと思います。

 まず、人工乳房の問題でございます。
 現在までこの人工乳房の問題ということについて、平成十三年度にいろいろな要望書を厚生労働省にも各団体の方が出されてもおられるわけでもございますが、そういう経過の中でこの決算の中で取り上げさせていただくわけでありますけれども、乳がんの手術を受けられた方あるいは乳房を摘出された方々というのはどれぐらいおられるのか、年間、御承知になっている範囲でお尋ねしたいと思います。

政府参考人(高原亮治君)
 患者数でございますが、厚生労働省が三年に一度実施しております患者調査の平成十一年によりますと、全国の医療施設を利用した乳房の悪性新生物の総患者数は十六万九千名と推計されております。

山根隆治君
 約十七万名の方ということになります。
 平成十三年の実は六月の二十二日に埼玉県所沢市こぶし町の乳癌体験者所沢こぶし虹の会というところから、実は議会に、国会に請願書が出されました。実際の扱いとしては審議未了ということになったわけでございますけれども、実はそれに先立ちます平成十三年の五月の二十四日に厚生労働省の方にこれは要望書という形で提出をされております。

 その内容というのは、現在の医療制度の中では、保険制度の中では人工乳房については保険が適用されないということで、保険の適用方の要請、要望、そしていま一つは補助制度の要請ということでの内容になっているわけでありますけれども、これらの扱いについてはどのように扱いになっておられたかお尋ねをいたします。

政府参考人(真野章君)
 乳がんで手術した患者さんの場合でございますが、乳房の再建や乳頭の形成のための手術料が設けられておりまして、自己の組織を用いた乳房再建等は保険の適用となっております。これは平成十二年の改定からそのような適用となっております。

 しかしながら、今御指摘のシリコン製等の人工乳房を埋め込む場合には、安全性に問題があるとの指摘もあることから、保険適用には慎重な判断が必要ではないかというふうに考えております。

 引き続き、関係団体の御意見も詳しくお聞きしながら、更に検討してまいりたいというふうに考えております。

山根隆治君
 今お話ございましたように、自分の体の部位、腹部であるとかおしりの肉を移植する方法については確かに保険の適用になっているわけでございますけれども、シリコンや食塩水を埋め込むような方法についてはこれは適用外ということになっております。

 それで、アメリカの場合を例に取りますと、これは一気で行う。つまり、摘出をして、その場で、その日のうちに新たに再建の手術を行うということが通例になっておりますけれども、我が国ではそうした方法、ほとんど余り普及しておらないで、五%か一〇%ぐらいの比率でしか実はないということになっております。それはなぜかということを考えてみると、まだまだ啓蒙が盛んでないということで別々に行われているということもあろうかと思いますけれども、これについては、人工乳房でも保険の適用というものが行われないということで、これはなかなか普及が遅いというふうなことになっているかと思うんです。

 それでは、義手とか義足については保険の適用になっておりますけれども、もう一つ、義眼ですね、これも保険の適用に実はなっているわけです。厚生労働省の資料を見てみますと、眼球の摘出のための義眼については治療材料の範囲として療養費を支給することになっておりますし、またこれが一つ寿命を終えたときでも、さらに本人の故意による破損、紛失等の場合を除いて再度給付して差し支えないということで、義眼についてはかなり手厚いというか、手厚いというか当然なことでありますけれども、保険の適用になっているということから考えると、この辺の整合性ということは少し取れないんじゃないかという気がいたしますけれども、人工乳房の場合とこの義眼の場合、どこが根本的な違いがあるのかお尋ねします。

政府参考人(真野章君)
 義眼の場合も、眼球摘出後の眼窩保護のために装用した場合に認められるということでございます。

 先ほど申し上げましたように、自己の組織を用いた乳房再建は保険適用となっておりますが、シリコン製等の人工乳房につきましては、先生も御案内のとおり安全性に問題があるというような御指摘もありまして、また私どもの知っている限りでは、薬事法上の治療用具としての承認を日本の場合に受けていないんではないかということもございます。

 そういうようなことも勘案いたしまして、慎重に検討したいというふうに思っております。

山根隆治君
 シリコンについて、一時マスコミ等でも報道され、アメリカでも問題になったことがございまして、これはむしろいろいろな害があるのではないかということで報道もされたことがございました。しかし、その後、アメリカのいろいろな研究機関でこれは人体に全く問題ないということで、アメリカにおいては普及がしてきているという実態がございます。

 シリコン、薬事法上適用がされないということについて、この面についての検討も私は改めてしておいて、シリコンの安全性というものについて確認をしていく必要があるかと思いますけれども、この点についてはどうですか。

政府参考人(真野章君)
 シリコンそのものの安全性は、今申し上げましたように薬事法上の問題かと存じますので、医薬局の方にその旨申し伝えますが、私どもとしては、やはり保険の採用ということになりますと、薬事法上の承認を受けて、流通可能な状態という状況でいろんな検討を行うというふうに考えております。

山根隆治君
 実は、平成五年の十月に、福祉用具の研究開発及び普及の促進に関する法律というものが施行をされました。この法律は、福祉用具の研究開発と普及の促進を図る上で必要な基盤整備を進めるために、厚生省と通産省、当時ですね、共同提案したものだということで、この普及促進を進めるべしということでございまして、研究、国のいろいろなリハビリセンター等の機関もございますけれども、こういうところで新製品の開発あるいは普及に積極的に取り組め、こういうものだろうと思います。

 そこで、お尋ねをさせていただきたいと思いますのは、この人工乳房について、非常にその開発についてはもう既にある一定の段階には達しておりますけれども、非常に細やかなところでの製造ということで、私は日本人の技術あるいは知恵というものに非常に合った開発になるんじゃないかというふうに思っております。そういう意味では、積極的に私はこの人工乳房の開発というものももっと日本独自のものでも開発していく必要がある、それを全面的に国としてもバックアップする必要があるというふうに思うわけです。

 今、既に開発されている製品を見ても、本当に、例えば右の胸が摘出された場合に、左の胸と全く同様なものが作れる、見た目では全く分からないようなものになっているわけでありますけれども、さらにそれがぬくみだとか、そういった面でも私は、日本人の手になる研究の開発ということで進めていけば、かなりこれは普及促進ということになるかと思いますけれども、この面についての国としての考え方についてお尋ねします。

政府参考人(篠崎英夫君)
 御指摘の人工乳房の開発助成についてでございますけれども、先ほど来保険局長からも申し上げましたように、乳房の再建術ですとか、あるいは形成術などというものは非常に大きな研究課題というふうに認識をいたしております。

 ただ、今御指摘のことにつきましては、直接その診断ですとか、あるいは治療に結び付くものではございませんけれども、今後専門家の御意見も聞きながら、その人工乳房の研究助成の必要性について検討していきたいというふうに思っております。

山根隆治君
 今後、研究、検討したいということですが、時期的な設定というのはされていますか。見通しはいかがですか。

政府参考人(篠崎英夫君)
 専門家の御意見を聞いてからということでございますので、今のところ、先生が御指摘のように、見通しとか時期というようなものは定めてはおりません。

山根隆治君
 それでは、保険の適用はさておくとしまして、その検討にゆだねざるを得ませんけれども、その間のつなぎとしての助成制度というものは考えられませんか。

国務大臣(坂口力君)
 だれも答えぬようでございますから私から答えさせていただきたいというふうに思いますが、やはりがんのできる場所にもよりますけれども、最近は乳房を残す手術もかなり進んでまいりました。しかし、過去におきましてはそうしたことは余り考慮をせずに手術が行われてきたことも事実でございます。今いろいろ御指摘をいただきましたように、がんを摘出することを非常に重視をする余り、摘出をしました後のことを十分に配慮した医療が行われてきたかどうかといえば、それはやはり今から考えれば問題なしとしないだろうというふうに、率直にそう思っております。

 いろいろ御指摘をいただきましたことも踏まえて、よくその皆さん方の状況というものも一度調査をさせていただいて、そしてそれに対して対応をさせていただきたいというふうに思います。

山根隆治君
 ありがとうございました。さすが人情派の大臣のお答えだというふうにも思いました。
 今日、その会の皆さんも傍聴に来ておられますので、非常にうれしい思いで聞かれたと思います。また次の機会の答弁ではもっと前向きに、いつから適用しますよと、こういう答弁を期待したいと思いますが。

 やはり、非常に今はどこでもなるべく乳房を生かすという考え方で、手術もいろいろな手術が行われているということは私も承知しておりますけれども、もう既に摘出してしまったものはもう人工乳房で代えていくしかないということが実はございます。いろいろ胸の大きさ等もありますけれども、特に乳房の大きかった方については、非常に体のバランスが取れなくなって、肩凝りだとか腰痛を引き起こしたりという問題等も実は起きていますね。そういう健康上の問題もあるので、単なる美容上の観点からこの保険の適用の問題を考えるのではなくて、もうちょっと幅広く私は是非考えていただきたいと思います。

 それと、これは保険の適用の理由には直接ならないかも分かりませんけれども、非常に精神的な負担というものがございまして、中には自殺をされた方も随分これもおられますね。それはなかなか統計上では出てきませんけれども、夫婦関係がおかしくなったり、それからお孫さんをおふろに入れていたときに、子供というのはある意味では残酷な部分がありますから、子供の発する言葉で傷付いたりしたというふうなこと等がございまして、なかなか深刻な問題。しかも、これは同じ乳房を取った方でも、患者同士でもなかなか話ができない、御近所にも内緒にしているということ等があって、非常にいわく言い難い苦しみというものがかなりあるんだろうというふうに思いますね。

 ですから、したがって、大臣の今の段階でのお答えとしては精一杯お答えいただいたかと思いますけれども、単なる美容整形ということではないんだということを是非御理解いただいて、前向きにこの問題について、御研究というよりも御検討を是非お願いしたいと思います。

 谷さんは栃木県でしたが、私も埼玉県でございますけれども、北関東ばっかりあれですけれども、私の父親は栃木県出身ですから栃木県も関係がありますし、増田さんが、副大臣がかつて新進党で埼玉県で代表されていて、最後の新進党の代表が中野政務官だったりと。いろんな御縁もある方ばっかりいらっしゃいますので是非、法務省と直接は関係ありませんけれども、併せて何か関係が出たら御支援をいただければありがたいと思います。是非、この点については大臣のひとつすばらしい判断を期待をしておきたいと思います。

 それでは、続きましてサービス残業についてお尋ねをさせていただきたいと思います。
 サービス残業というのは公式な言葉ということではございませんけれども、マスコミに再三登場する言葉ですからイメージは出ていると思います。つまり、残業の、給料には出ない、給料は出ないけれども、残業手当出ないけれども仕事をしていると、こういうことで、サービスしているという意味での残業、サービス残業ということでございますが、これも平成十三年の四月六日付けで、厚生労働省もやはりサービス残業はなくしていかなくてはいけないという考えから、厚生労働省の労働基準局長通達というのを出されているわけでございますね。

 これは、労働時間の適切な把握のために使用者が講ずべき措置に関する基準ということで出されているんですけれども、この基準を出したことによってサービス残業というのは減少はされているのかどうか、いかがでしょうか。

政府参考人(松崎朗君)
 御指摘のいわゆるサービス残業でございますけれども、これは労働基準法に照らしますと賃金不払残業ということで基準法に違反するものでございます。したがって、これはあってはならないものということで、これを解消することは私どもの最大の課題であるというふうに認識しております。

 それで、御指摘のように、十三年四月に労働時間の把握のために使用者が講ずべき措置に関する基準というものを策定いたしまして、その後、個別の監督指導でございますとか、また集団指導等、いろんな場を通じましてその周知徹底を図ってきております。

 具体的には、この通達を出しました直後、平成十三年の四月から九月まで半年間を使いまして、全国で約四千回の集団指導、延べ三十万事業所に対して集団指導を行い、またその後におきましても、この通達の周知徹底、周知の状況というもの、こういったものを把握するために一斉監督を実施するといったようなことをしております。

 その結果、発表いたしました、平成十三年の四月から十四年の九月まで一年半にわたりますこの監督指導の状況を発表させていただいたところでございますけれども、これによりますと、大口のところでございますけれども、百万円以上いわゆる未払賃金を支払った企業は六百十三、またその割増し賃金を受け取った労働者は七万人強、また総額は約八十一億円という状況でございまして、こういう実績も上げておるところでございます。

 しかしながら、これでもって今現在いわゆるサービス残業というものが一掃されたということは残念ながら申し上げられない状況でございまして、今後とも、私どもといたしましては、こういった措置を通じまして改善が図られつつあるところでありますので、更に一層この監督指導等をきちんと実施するということによりまして、いわゆるサービス残業の解消というものに努めていきたいというふうに考えております。

山根隆治君
 国の調査によっても、これは二月に入ってから新聞でも報道されていたわけでございますけれども、全国の三千の事業所調べたところが、かなりの事業所が依然としてサービス残業が行われているということが実は発見がされたということでございます。対象の約二割の事業所で全く賃金を払っていないところがあったという報道が実はございます。

 これ、連合の方でも調査独自にいたしましたけれども、これはもっと厳しい実態というものが明らかになっておりますけれども、つまり、サービス残業をしているところは、サラリーマンの半数が経験をしたということでございます。しかも、この平均時間が月に二十九・六時間だというふうな実態が明らかになってきたわけでございます。

 今、何とか努力をというふうなお話もございましたけれども、今後、実際に今の陣容の中で果たしてどれほどのことができるのかというちょっと不安もあるわけでございますけれども、今後どのような対策を取ってこのサービス残業というものをなくされていくおつもりなのか、お尋ねします。

政府参考人(松崎朗君)
 まず、繰り返しになるかもしれませんけれども、いわゆるサービス残業の解消につきましては、まず第一といたしましては、使用者が、先ほど御指摘ございました通達にございますように、使用者が個々の労働者一人一人につきまして労働時間管理をきちんと行わなければならないということを自覚していただき、実行していただくということが第一でございます。

 そこで、こればっかりでなかなかできませんわけでして、これに加えまして、特に、サービス残業といいますか、その前提であります残業を、残業というものを労働基準法上、適法に行うためには二つ条件ございまして、一つは労使の協定によります、いわゆる三六協定といっておりますけれども、時間外労働の協定を結んで、その範囲内で初めて行えるというのが一点でございます。さらには、基準法で定められております以上の割増し賃金を払うと、二つ条件ございます。

 したがいまして、各事業場の中で行われておりますいわゆるサービス残業につきましても、その前提になります残業協定、こういうものがあるわけでございますので、時間外労働協定の遵守状況、こういったものにつきましても、協定の当事者であります使用者はもちろんでございますけれども、労働組合等の方々にも、やはりそうやってきちんとその都度その都度ある程度把握をしていただくと。さらには、時間外労働協定の範囲内できちんと行われているということと、もう一つそれに伴います先ほど申し上げたちゃんと時間外労働の手当というものを払われているということを、やはりまずは事業場の中できちんと確認していただくということにも是非御努力いただきたいと思っております。

 こういった労使の取組というものが相まって初めて労働環境といいますか職場環境というものが、サービス残業のない環境というものにいっていくんじゃないかというふうに私ども考えておりまして、今後、使用者に対します指導はもちろんでございますけれども、今後はやはり、今も申し上げましたように、労働組合等の役割にも非常に大きな期待をしているところでございます。

山根隆治君
 警察庁の統計にも実は出ているんですけれども、非常に悲惨な状況がたくさんございます。

 自殺者が三万人という話、よく聞かれているかと思いますけれども、このうちに、労働の勤務時間等の問題で自殺した人が千七百五十六人だという統計、これは警察庁の発表でございます。それから、過労死をされた方、これ循環器系の疾患による死者が年間三十万人ですけれども、仕事からの原因では数万人が推計されるというふうなことが実はございまして、本当に対策がこれはもう急がれるわけでございます。サービス残業もそうですし、残業そのものの問題というのも実はあるわけですね。

 連合の方では、実は駅頭活動として全国で展開していて、労働問題のいろんな緊急一一〇番というのを窓口を設けて、ビラを配っています。そこに寄せられる意見というのは本当に、意見なり報告というのは悲惨なものがたくさんありまして、月に百時間労働するという方がかなりの数に実は上っています。

 御本人からのお電話もありますし、実は特徴的なのは、御家族の方が非常に心配して電話してくるということでございます。例えば、奥さんから電話があって、うちの主人は毎日夜十二時、一時の帰宅になってもうへとへとになっているけれども、大丈夫なんだろうかということ等の御相談多いわけですね。

 そうすると、日本、欧米と違って、まだまだ労使が一緒に企業を守り立てていこうという、そういう感覚が強いですし、そういうものに乗じた経営者もかなりまだまだ後を絶たないということで、本人からはなかなか会社に言いにくい、言ってしまったら雇用の問題に、直接リストラに遭うんじゃないかと、そういう不安もあって本人は言えないけれども、家族が心配して電話してくるという状況が非常にあるわけですね。

 これはある統計、シミュレーションしますと、そのサービス残業をもし雇用創出ということで考えてみるとどれぐらいカウントできるかというと、九十万人の雇用創出が可能だろう、それから残業時間をゼロにした場合には百七十万人の雇用が創出されるというぐらいにすさまじいいわゆるサービス残業あるいは残業という実態があるわけでございまして、非常に対策がこれは急がれるわけでございますけれども、こうした統計というか試算というのは労働省、厚生労働省の方にはございますか。なければないで結構ですが。

政府参考人(松崎朗君)
 正直申しまして、そういう試算はしておりません。

国務大臣(坂口力君)
 今いろいろサービス残業につきましてのお話ございました。大変憂うべき状況になりつつあるというふうに私も認識をいたしております。経済が非常に厳しい状況でございますが、その厳しい中で企業もそれなりにどう乗り切ろうかというふうにしておることは私もよく理解ができるわけでございますけれども、しかし少ない人数で、そしてその人たちに長時間の労働を強いるという形にそれが余りなり切ってしまいますと、これは問題が生じるわけでございます。

 今お話しのように、ましてやサービス残業という形でそれが行われるということになりますと、これは法律違反でございますから、ここはまず直さなければならない。サービス残業をまず直して、そしてその一人一人の労働者の時間数がいかにそれが大きいかということになりますと、それは限界があるわけでございますから、それ以上のことが行われないようにどう対応をするかということになってくるというふうに思っております。

 まずは、そうした意味で、これは労使もよくお話合いをいただきたいし、私たちも頑張らなければいけませんが、労使の方もよくお話をいただいて、これはサービス残業がなくなるようにどうするかということを御努力もいただきたいというふうに思っているところでございます。そして、その上で、この問題に私たちも更に積極的に取り組みたいというふうに思っております。

山根隆治君
 先ほどの連合の調査によりますと、これはある自動車部品の販売店の方から寄せられたお話でしたけれども、これは月百時間ぐらいの残業をしているけれども十六時間の手当しか支給されないということで、労働組合の方に訴えて、労働組合の方で腰を上げてくれるとしばらくはいいんだけれども、すぐまた元の状態に戻っちゃうというふうな実態もあるわけですね。労働組合があるところですらこういうふうな実態があるわけですから、組合のない職場というのはかなり悲惨な状況があるということは是非御承知おき、御認識いただきたいと思います。

 私は、こういうことが長く続いていくと、日本の雇用形態というものもどんどんもう変わってきて、日本経済に深刻な私は影響を及ぼしてくるんじゃないかというふうに思っております。つまり、フリーターがいいか悪いかということはともかくとして、フリーターの数がどんどん増えてきているということも確かですし、終身雇用制度というのがリストラでかなり崩れてきているし、労使の信頼関係というのもかなり失われてきている。こういう環境がある中で、なお会社のためにと思ってサービス残業まで余儀なくされて耐えている労働者、サラリーマンが、いつまでもこんな状態が続いていたらもたない。つまり、日本の雇用関係というのはがたがたと音を立てて私は崩れていくような気がして仕方がないわけですね。

 労働の形態というのは、ヨーロッパのようになっていくのか、あるいは日本型の変形のものになっていくのか、予測も付かないところありますけれども、このままの状況というものをいつまでも放置しないという姿勢というのは、今、大臣のお答え等で出ていますけれども、実際に日本のこの雇用形態というものの展望についてはどのようにお考えになりますか、大臣の方から。

国務大臣(坂口力君)
 雇用の今後につきましては、これは全体の状況によりましてうんと変わってくるというふうに思いますが、現在のこの状況、日本が現在のこの経済状況の中から脱却をしていきますためには、これは労働生産性を上げる以外にない、それは私はそのとおりだというふうに思っております。しかし、労働生産性を上げることと、それから、一方におきまして労働者の労働時間を延長することとは、それは両立してはならない話だと私は思っております。

 一方におきましてやはり労働時間というものは抑制をする、そして一方において労働性を上げなければならない、この二つのことを同時に日本は求められているというふうに思っております。それを実現するためにどう私たちは対応したらいいか、より具体的に今対応しなければならない、職員にもそうしたことを申し述べまして、そしてそれに対応できる体制をどう作るか。今までの考え方の延長線上ではなかなかいかない状況になってきているということを言っているところでございます。

山根隆治君
 本来、更に募集を掛けて従業員を増やしていかなくてはいけない、そういう会社が、将来への不安からそこまで人を雇うところまで踏み切れないということで、現在の従業員にいろんな負担を課しているということが実態であると思います。まず、経済をどう活性化するかという大きな問題もございますけれども、それと同時に、やはりそこに残業、極度の残業だとかサービス残業を強いられている人たちも、雇用の不安から私はそうしたものに甘んじているんだろうと思います。

 雇用対策については、政府も今まで、例えば平成十年は雇用創出の目標というのを百万人設定いたしましたけれども、実績としてはもう六十五万人で終わっていますし、平成十一年についても七十万人の目標に対してこれも四十万人ということでとどまっているということがございます。

 民主党はさきに、もう既にマスコミでも発表させていただいておりますけれども、今の八十一兆の予算、一般会計予算の中で我が国の予算編成というのを民主党だったらこうやってやるということで提案したものの中で、もう雇用が百万人これは確保できるという具体的な数字も出しているわけでございまして、政権が替わればこんな苦労しないで済むのになと思っておるんですけれども、いずれにしても、この民主党のまた雇用創出の提案について、是非また別の機会に勉強していただければ有り難いというふうに思います。
 それでは、続きまして、外国人犯罪の問題についてお尋ねをさせていただきたいというふうに思います。

 非常に、平成十三年のいろいろな資料も読ませていただきましたけれども、外国人の犯罪というのが非常に増えております。来日外国人の国籍別の刑法犯罪の検挙件数というものを見ても、ワーストスリーの中で中国が一番多く、ブラジル、そして韓国・朝鮮ということで統計上数値が表れているわけでございますけれども、特に中国の国籍を持つ人たちの犯罪というのはもうずば抜けているわけで、五〇%を占めるような数字が出ているわけでございますけれども、この中国人による日本での犯罪についてどのような御認識を持っていらっしゃるか。あるいはまた、中国政府に対して私は強くいろいろな要請等をすべきだというふうに思いますが、今日までどのように中国とは交渉されているかお尋ねします。

政府参考人(小田村初男君)
 来日外国人の犯罪の中で中国人の占める割合というのは、先生御指摘のとおり大変高くなっております。平成十三年の数字も挙げられましたけれども、平成十四年につきましても検挙人員で四〇%、また検挙件数でも三六・五%は中国人による犯罪ということになっております。そして、こうした外国人の犯罪に対する対策の中で、そうしたそれぞれの国の外国の治安当局との協力体制の構築というものは大変重要でありますので、そうした構築、連携の強化に努めているところであります。

 例えば、中国との間では昨年七月にも日中治安当局間会合というものを開催いたしまして、日中関係全体における治安当局間協議の重要性等を双方が確認いたしますとともに、不法出入国、薬物、銃器及び捜査共助などの各分野における緊密な連携の在り方などについて協議をいたしたところであります。

山根隆治君
 中国人の国内における、日本国内における犯罪は、出身別の統計というのはあるんですか。

政府参考人(小田村初男君)
 出身別といいますのは、地域ごとですか。特に、中国の中の地域ごとには取っておりません。

山根隆治君
 これは、いろいろなマスコミ報道等を見ますと、福建省とか広東省が非常に多いという報道がなされています。

 中国は、共産主義国家ではございますけれども、もう何というんでしょうかね、地方の力が強くて、中央が統制し切れないような状態があろうかと思います。これは中国へ行かれた方はどなたも、皆さん行っていらっしゃるでしょうけれども、お分かりかと思いますけれども、地方の力が非常に強いわけで、北京とだけ交渉していても恐らくは余り影響がないというか、いい意味での影響が少ないんじゃないかというふうに思います。ですから、私は、直接、ある部分では政府にもちろん話ししなくてはいけませんけれども、北京の方にお話ししなくてはいけませんけれども、やっぱり各省に私は交渉すべき事柄も多々あるかと思いますけれども、この点についてはどうでしょうか。

政府参考人(小田村初男君)
 もちろん、それぞれ各地方ごとに、各省あるいは特別市、そういうところに公安局、公安庁というものがございます。国と国との関係でありますので中国政府の公安部との交渉というのは大変重要でありますけれども、同時に、各個別の事件の捜査につきましては各省の公安庁あるいは上海市、北京市等の市の公安局、そういうところとの連携協力というものが重要になってまいっております。

 そうしたそれぞれの当局との間でも協議を重ね、具体的個別の事件についての協力を行っているところであります。

山根隆治君
 党派は違いますけれども、佐々木先生の私は予算委員会での御発言もちょっと読ませていただいたりして、その反響が非常にあったということで、佐々木先生も御発言なさっていらっしゃいましたけれども、今は統一地方選挙で、候補者の方々で治安問題を挙げられる方がかなり出てきているんですね。つまり、直接、地方議員や候補者の方にもそうした要請が非常に強いわけです。

 私も埼玉県出身ですけれども、埼玉県は一番人口の割合に警察官が少ないところで、犯罪も多くて、もう本当に追っ付かなくて、留守交番が多いし、OBの方に協力してもらったりということをしていますけれども、これは埼玉県が一番ちょっと地元だから一番ひどい状態だということは本当は言いたいんですけれども、まあそれはさておくとしまして、日本全体で見ても警察官の数が非常に不足していると。もうこれは慢性的なものになっている、犯罪の件数からすると。

 しかし、財政上の問題等があって、これいきなり増やすことができないということであれば、私はもっと民間の力とか、そういうものをやっぱりかりて、凶悪犯とか外国人犯罪について力をやっぱり入れていくべきじゃないかというふうに思います。

 例えば、交通安全、交通違反等の問題については、民間に告発権を認めたりということもありましょうし、考えられますし、それから警備保障会社もかなり発達、日本でもしてきていますから、これらにもそうした一定の権限を与えるとか、なかなかそれ役所の権限って放したがらないのは分かるけれども、しかしぎりぎりのところに私はもう来ているというふうに思うんですね。そういうことを検討する余地はありませんか。

国務大臣(谷垣禎一君)
 今おっしゃいましたとおり、犯罪が大変増えてきておりまして、それでやはりそれに対応していく人的な充実ということも私は極めて大きなウエートを占めると思います。

 その点に関しましては、地方警察官を三年間で一万人増員するという計画を立てまして、去年が四千五百人、今年度は四千人お願いをしているところでございますが、こういう行革の時代に三年間で一万人というのは、私どもまだこの一万人で十二分だというふうに申し上げるつもりはありませんけれども、こういう財政状況厳しい中で一万人をとにかくやっていこうと政府を挙げて取り組んでいただいていることは非常に有り難いことだと思っております。それだけに、増やしていただいたらその人材の有効な使い方というものを考えていかなければならないわけでございまして、一つは、やはりきちっとその警察官を教育していくということが大事だろうと思いますし、それから、やはり重点的な使い方をしていくということも大事だろうと思います。

 そういう中で、今、委員がおっしゃった民間、民間と申しますか、警察だけでできないんだったら、もっといろいろ協力関係を結んだり、あるいは権限を渡していくことも必要じゃないかという御指摘がございました。確かに、今、駐車違反なんかの問題では、そういう方向を考えたらどうかということで今具体的な施策の検討に入っております。ただ、一般的に言いますと、犯罪の捜査を民間人に渡していくというのはなかなか日本の法体系でできないところがございますので、場合によっては、むしろ非犯罪化をすることによって民間の取締り、民間の、つまり非犯罪化してもいいところは非犯罪化して、駐車違反なんかをむしろ民間の力でやっていただくことはできないか。そうして、むしろ犯罪面として警察が徹底的に当たるべきところに力を重点に入れていくということも一つ考え得る。その辺はまだ具体的にはなっておりませんので、今研究をしているところでございます。

 それともう一つ、権限を移していくということだけではありませんが、民間との協力関係がなければできないことが幾らもございます。例えば自動車窃盗、自動車を盗むというのは随分ございまして、外国なんかに売られていく。これは民間と随分協力いたしまして、かぎの、簡単に盗まれて、かぎで動かせないような車を開発して、そういうかぎを付けたものには例えば保険を安くしていく。こういうのは民間との協力関係がなければできません。

 それからもう一つ取り組んでおりますのは、やっぱり犯罪に強い町づくりというのをしなきゃならないと。例えば公園なんかでも、あるいは池田小学校なんかでもそうでございますが、死角の多いような建物、公園の在り方ではなかなかできないじゃないかと。こういうような町づくりから民間あるいは自治体と協力しながらやっていこうということで、今努力をしているところでございます。

山根隆治君
 是非、これはお役人ではなくて、長官の言われるように、やはりもっと根本的に発想を変えてやっていかなきゃ、法体系に問題があっても法体系そのものをどうやって見直していくかというところまで私はもう来ているんだろうと思いますね。非常に必死な思いしています。

 暴対法ができて日本の暴力団をかなり抑制してきているということはありますけれども、昨年でしたか新宿の風林会館で発砲事件が起きて、これを発砲したのは中国人ということで、非常に日本の暴力団がメンツつぶされたということで犯人を追っ掛けているとかということがございますよね。ですから、こういうふうなことを知るにつけびっくり、それで無法地帯にどんどんなっていくような不安を覚えるわけですよね。

 今、国内の暴力団と中国人のいろんなマフィア組織ができつつあるようでございますけれども、そういうものとの抗争が出てくるだろうし、もっと最悪の場合には、その二つの暴力団組織が提携するというふうなこともやっぱり起きてくる可能性もあるわけで、今のうち、早いうちに芽が出たところでつぶしていくということを本格的にやっぱり考えないと、治安というのはもう守るのはどうにもならぬ、ある一定のところへ行っちゃうと。ですから、是非、そこのところは思い切った措置を是非取っていただきたいということを申し上げておきたいと思います。

 ちょっと、法務大臣にちょっと出番がなくなって申し訳なかったんですが、法務大臣のお立場から何か御感想あれば聞かせてください。それで終わります。

国務大臣(森山眞弓君)
 先生のおっしゃるとおりでございまして、警察のお力をおかりし、また法務省としてもできる協力をさせていただきまして、治安のいい安心して暮らせる社会をできるだけ早くまた取り戻したいというふうに考えております。