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●山根隆治君 この調査会のテーマを「多極化時代における新たな日本外交」としたことが非常に時宜を得たものだったというふうに幸か不幸か思わざるを得ません。EUは二〇一〇年に経済においてアメリカを抜くということを目標にいたしております。そして、中国は二〇二〇年にアメリカの経済を抜く、そう内外に宣言をいたしている。そして、アフリカでは五十三か国がアフリカ連合をつくって、そして加盟国から五名ずつの議員を出して全アフリカ議会を既に設置している。そういう世界の流れの中で、我が国の国際戦略はどのようになっていくのかという心配、思いというものが各会派共通した認識であって、このテーマになったという背景も実はあったというふうに私自身は認識をいたしているところであります。 そこで、東アジアの共同体というものをどのようにつくるべきか、あるいはつくれるのかということが非常な大きな私たちの関心事でございました。十六名の参考人の先生方、いろいろな御意見を聞かせていただく中でほぼ共通していたものは、ASEANプラス3ということが一つの国の枠としてまず基本にあるのではないかという認識の披瀝がありましたし、そのことについては私自身も共通した認識、理解を持ったものであります。 EUにおきましてはワイダー・ヨーロッパ構想というものがあるわけでございますけれども、一つの枠組みを決めた中で、さらにこのASEANプラス3に加えて南アジア、西アジア、オーストラリア、ニュージーランドという枠というものを少し何らかの形で広げていく。コアの部分と、そしてそれに準ずるものというものを含めてこの東アジア共同体というものを構築していく必要というのを私自身は認識をいたしたわけでございます。 しかし、問題は中国にございます。今回のデモ騒動にもありますように、国民の中国を見る目というものは一変をしたというふうに思うわけでありますけれども、中国の問題は何か。根本的には、中国の中にはやはりぬぐえない中華思想というものがある。この中華思想というのは、世界各国それぞれの地域で選民意識、あるいは選民思想というものがあったわけでございますけれども、今日の情報化時代の中で、情報の自由化そして交流という状況の中で、この選民思想、選民意識というものは多くの国々で今克服しつつある概念だろうというふうに思っております。しかし、中国ではこのことがなかなか行われない。情報も国の恣意的な情報を受けるという国民の受動的な状況の中ではなかなかこれを克服できないわけでありますけれども、ここのところを各国の民間交流も含めて、中国国民との交流あるいは情報の自由化という中でこの問題というのはあるいは克服できるものかも分かりません。 そして、歴史認識の違いについてでありますけれども、この問題については、各国それぞれ自国の歴史があり、これを尊ぶことは当然であります。しかしながら、韓国、中国で我が国との歴史認識の違いの克服ということについては、私はEUの中でドイツとフランスが融和したような状況を見て、私たちもこの中から何らかの学ぶべきものがあり、この問題についても克服できないものではないというふうに思うわけであります。 しかし、残念ながら、私が定義する三つ目の問題、それは共産主義ということであります。十六名の参考人の方々からそれぞれいろいろな中国と日本の違いについて述べられましたけれども、一つやや欠落しがちであったのは、中国が共産主義国家であるということでございます。 このことを克服するのはなかなか容易なことではない。中国と東アジア共同体構想を一緒につくり上げていくという中で一番ネックになるのは、やはり中国が共産主義国家であり、自由がないその中で本当に共同体というのがつくれるかどうかということが問題でありまして、今の中国政権の中で共同体構想ができるのかどうか、このことも非常に微妙な問題だということを私自身は認識表明させていただきたいと思います。 世耕議員の方からもお話ございましたけれども、やっぱり反日のデモの問題について触れざるを得ません。 昨日、今日のテレビ報道を見ていて私がやはり思い浮かべたのは、中国における文化大革命でございました。これは大変な革命的な画期的な運動だということで、当時のマスコミ、評論家の多くの方々が評価した時期もございましたけれども、しかしそれは政治闘争だと喝破した人たちもおりました。そして、果たしてこの文化大革命というのは中国国内における政治闘争そのものであったということを私たちは思い起こすべきでもあろうと思います。 今回のデモの発生、その発信源はどこかということで様々な報道が実はございます。韓国の反日的な運動が起きてきた、あるいは政府の方で様々な発言があった、そのことに触発されて、アメリカにいる中国人の人たちがネットを使って中国国内にその反日キャンペーンを呼び掛けたということによって国民が呼応したというのが多くの、一つの流れ、大方の見方でございます。しかし、中国政府自身もこれを歓迎するような、あるいは容認するような態度を取り続けたということも私たちは見過ごすわけにはいかないと私は思うわけであります。 また、もう一つ残念なのは、日本の経済人の方々が今回のこの騒動を見て、小泉首相に逆に中国側に立った立場の中での数々の発言をしておられる方もいるということは極めて残念なことであります。日本の政治家、マスコミ、経済人の中国の迎合の、してきた姿勢、それが誤ったメッセージを中国に与え続けた一つの結果もあると私自身は考えるところであります。 それでは、これから日本の対応をどのようにするかということは、当然毅然とした態度で謝罪を要求し続けることが大切であろうというふうに思います。 昨年の十一月、中国原潜の領海侵犯の問題が起きました。中国政府は当初このことを、事実を認めておりませんでしたけれども、執拗な日本の抗議によりましてこの事実をとうとう認めるということになったわけでありますけれども、あのときも実は中国自身は謝罪をしなかったということを思い起こすべきであります。そして、日本は、この謝罪していないにもかかわらず、その侵犯をしたこと、事実をもって謝罪したというふうな認識を持つに至ったことは非常に残念なことでもございました。 それでは、これから対中国の戦略をどのようにするのかということについては、受け身で日本の外交、対中国外交というのは行われてきましたけれども、これからは受け身ばかりではなく、もちろん攻撃的なものではなく、融和的なものでなくてはなりませんけれども、しかし言うべきことは言う毅然とした態度を持ちつつ、幾つかの問題をやはり中国自身にも求めていく必要があろうかと思います。 一つは、人権に対する要求であります。これは二国間の問題にかかわらず、国家としての人権の問題というのは欧米ではもう既に最優先の一つのテーマになるものでございます。日本におきましても、法輪功の弾圧によりまして、金子容子さんが日本人と結婚されて中国で活動していたときに拘束をされたということが起きまして、私自身もかかわったことでありますけれども、その救出に多くの方々が共鳴して、救出に成功いたしたわけでございますけれども、こうした法輪功にかかわる問題、日本にも、日本におられる中国人の方々も非常にかかわっているということからしても、この問題についても問題提起をしていくべきであろうかと思います。また、前主席であった江沢民氏の訴訟問題というのは世界各地に今起こされているところでありまして、人権問題の要求というのは日本が中国に対して行うべき一つの問題提起、ポイントであろうかと思っております。 それからもう一つは、やはり軍事力増強への牽制を絶えずし続けなくてはいけないということ等が対中国戦略の基本的な改めて考えるべき認識であろうというふうに思っております。 日中は協調で共栄し、反目で共倒れするという認識を私たちは持つべきであろうということと同時に、今回のデモ騒動の中で改めて確認すべきは、やはりこれからの日本の対外戦略というものは、日米を基軸として今後も相当程度、五十年間は日米基軸ということを国家の戦略として置くべきであろうというふうに思っております。 永遠の友好国はない、永遠の敵国もないというのは国際外交の基本でありますけれども、あくまでも日本の国益を考えてこれからの外交戦略を樹立すべきだということを申し上げて、私の意見表明を終わります。 |