山根隆治君
 福田長官、お帰りになられました。
 小泉内閣と前内閣、違いは何か。森内閣のときは、森さん自身の失言によっていろんな物議を醸してきた。しかし、小泉内閣においては、田中外務大臣から始まりまして塩川財務大臣、そして武部農水大臣、先ほど退席をされました福田官房長官の失言、あるいは暴言とも思われる部分も場合によっては受けている方はあるわけでありますけれども、こうしたことで物議を醸してきているわけでありますし、いろいろと国際的な影響も及ぼしている。

 このことについて、総理は、森内閣と比べて、小泉内閣、こうした事態についてどのように感じられておられますか。

内閣総理大臣(小泉純一郎君)
 森内閣と小泉内閣と比較されても私、困っちゃうんですよね。森さんには森さんの考えがあるでしょうし、私は森内閣でいいものは継承していくと。小泉内閣としてあるべき改革の姿を示して今進んでいるんですから、小泉内閣として既定の改革路線についてこれからも懸命に取り組んでいきたいと思っております。

 また、失言についても、それは各閣僚、発言には気を付けなきゃいけないということは当然であります。私も失言のないように気を付けなきゃいけないなと思っております。

山根隆治君
 私は、追及するという意味合いで申し上げているんじゃなくて、お気の毒だなという思いでお尋ねをしたわけであります。

 さて、本委員会は、道路関係四公団の民営化推進委員会の設置法についてのものであります。この法案が通ると本格的な行政改革の第一歩を踏み出すということになろうかと思いますけれども、改めてその決意が揺るぎないものであるかどうか、その点についてお尋ねいたします。

内閣総理大臣(小泉純一郎君)
 私は、総理に就任したときから、決意、全く揺るいでいないんです。当初、道路公団の民営化なんてできるはずないじゃないかという声があった、多かったというのは事実だと思います。しかし、今、そういう反対していた方々も民営化に協力してくれています。私は、この路線を今後も着実に進めていきたいと。

 そういう意味において、今回の第三者委員会設置の法案につきましても、国会の同意必要だと言っていた方々も結局必要ないという私の意見に協力してくれて、ようやく成立の運びに進んでいるということでありますので、当初、私の発言なんというのは、一部の新聞報道で見たんですけれども、真意はどうか分かりませんが、事実かどうかも分かりませんが、新聞で記事見た当時は、小泉の道路民営化の意見なんというのは石垣にトマトをぶつけるものだと、すぐ壊れるだろうというような見方をしていた向きもあるようであります。現実に、全然壊れていませんね。どっちが石垣かどっちがトマトか分からないような状況になってきたと。

 最初の私の方針、全く揺らぎません。この路線で私は民営化を進めていきたいと思っております。

山根隆治君
 昨年の七月、参議院選挙がありまして、小泉総理の大人気で私も吹き飛ばされそうになった苦い思い出があります。その選挙の最中に、総理は、小泉内閣を、自民党を、つぶす方向に走ったら私は自民党をつぶしますよと、こういう演説をされておられます。そしてまた最近では、郵政関連の法案に絡みまして、自民党が小泉内閣をぶっつぶすか小泉内閣が自民党をぶっつぶすかの戦いだ、こういう恐ろしいことを言っておられるんですけれども、たしか小泉総理は私は自民党の第二十代の総裁だったと思うんですけれども、そのことはそういう御自覚を持っていらっしゃるんですか。

内閣総理大臣(小泉純一郎君)
 私は自民党の総裁であります。自覚を持っております。

山根隆治君
 他党の総裁というお立場ですから私がお尋ねするのも少しおかしい部分もあるかも分かりませんけれども、しかし、やはり政権政党の中枢にある自民党の総裁というふうなお立場であってみれば、こうした発言についてやっぱり矛盾を感じる国民は私は多いだろうと思っています。

 つまり、総理は、今までの十九代にわたる自民党総裁の負荷というものをバトンタッチされた。ですから、おいしい果実だけを総裁として食されるのではなくて、時には苦い果実も私は食されなくてはいけない、それが私は一つの組織の長たる者の責任だろうというふうに思うわけであります。総理のこうした御発言というのが、どうも自民党にとってのマイナスなイメージというものは自分とはかかわりがないんだということを、国民に幻想を振りまいているように私は思えてならないわけでございます。

 こうした総理の発言は、私は社会的な影響も非常に大きいものがある。つまり、一つの組織の上に立った者は、そこにある業というか、宿痾というか、そういうものを担わざるを得ないわけで、そこから逃げることはできない。一つの政党の、大きな政党の私は最高責任者である総裁という立場からすると、自民党をつぶすつぶさないというのは長の発言としてはいささか問題があると思うんですが、この点についての御自覚の問題としてどのようにお考えになりますか。

内閣総理大臣(小泉純一郎君)
 私は、自民党の総裁選挙に立候補したときの発言は、自民党を改革勢力にしたいと思って総裁に立候補したんです。私の主張に対して自民党の多数の議員が支援してきてくれたからこそ私は総裁になっているんです。私の改革路線に賛成してくれたからこそ私が総裁になったと自覚しております。

 だから、道路公団民営化においても、郵便事業に対する民間参入も、総裁選当時から主張していたんです。この路線をつぶすというんだったら、私は自民党の総裁である必要はないんです。そういう意味で言ったんです。

 だから、改革路線を支持してくれる、自民党が変わって反対してきたものを支持してくれる、改革勢力に変わってもらいたい。改革を実現するために私は総裁になっているんです。総理になったんです。その改革をつぶすというんだったら、私は自民党の総裁である必要はありませんよ。自民党はなくてもいいと思っています。

 そういう発言で、私は、もし郵便事業に対するこの民間参入法案をつぶすんだったらば、小泉内閣をつぶすと同じだと、そしてそれは非常に自民党にとっても矛盾した行動になるのじゃないかという意味を込めて発言したわけであります。

山根隆治君
 思いは分かるんですけれども、しかし総理、自分の行政改革を進めることに賛成しないならば、私たちは、私は、民主党という立場では一生懸命行政改革を推進してほしい、そういう思いを持っていながらもなお、一国の総理として、あるいは自民党の総裁としての言動としては問題があることを指摘を今しているわけでございます。

 自分の思う方向で皆さんが一致協力してくれるから総裁になった、そしてこれからも総裁にあり続けるためには皆さん協力してくれ、このことは分かる。それが協力できないんなら自分は自民党の総裁でなくてもいい、降りるということなら分かるけれども、しかし、それで自分の思うとおりにならないからといって自民党をつぶすというふうな発言というのは、組織の長として取るべき私は言動ではないだろうというふうに思うんです。

 もしあなたがやはりそういうことを、今のような思いを言われるんなら、今少し触れられたけれども、この行政改革の推進について反対するんであれば、私はもう自民党の総裁を降りるからと、つまり、総総分離論というのは昔からあったけれども、そのことをあなたはおっしゃればいいじゃないですか。おれは総理大臣として全力を尽くすから自民党の総裁を降りるというのが一番筋としては通るわけであります。そこの点はどうですか。

内閣総理大臣(小泉純一郎君)
 私はそうは思いませんね、自民党の多数は私を支援してくれると思っていますから。

山根隆治君
 じゃ、つぶすなんというのはおかしいじゃないですか。

内閣総理大臣(小泉純一郎君)
 だから、そんなことはあり得ないから言っているんです。自民党は最終的に私の改革路線に協力してくれるということから言っているわけであって、今出ている反対意見は多数意見にはなり得ないと思っているから言っているわけです。

山根隆治君
 非常に言葉のマジックという、うまいというか、修辞というのに、レトリックにたけているということはよく分かります。しかし、総理のことではないけれども、巧言令色少なきかな何々というのが論語でありましたが、総理は徳は持っておられると思いますよ、今何々というのはあえて言っていないんですけれども。しかし私は、そうしたやはり幻想を振りまくということが非常に危うい、社会自身を危うくするという部分があるので、私は非常にあえてこの問題を今取り上げたわけです。

 時間があと一、二分でございますので、別の問題に移らせていただきたいと思いますけれども、それは、首都圏の道路網の整備という、法案にもう一度戻りますが、整備ということで相当な資本投下をこれからもしていくということになるわけであります。そして、首相官邸が、一千億ぐらい掛かったような話も聞きますけれども、造られた。そしてさらに、国会の議員会館、衆議院だけで八百億、あるいは参議院もその半分としても、一千二百億が予定されているし、これは今年度の予算の中でも調査費として計上されている。あるいは、防衛庁が新しいもの、すばらしいものを、私もこの間視察しましたが、できてきたと。

 そういうことからするともう、しっかりとした数字はまだ把握していませんが、一兆円を超えるような首都機能の補充というか強化というのは実際にやっぱり行われてきているわけであります。私自身は埼玉県出身ということで、首都圏に身を置く者ではありますけれども、そういう立場を超えて、一体この首都機能の移転の問題というのはどういうふうに考えるんだろうか。

 総理は、今日は私、二冊の本をお持ちしましたけれども、この二つの中で移転賛成という論を展開しておられます。これは当然総理になられる以前の話であったわけですけれども、今もってこのお考えが変わらないんだろうか。つまり、今、国会は首都機能の移転の問題について非常に迷走しているというか、混乱をしているわけですね。その点について、総理として指導性を発揮されるのかどうか、お考えをまずお伺いをしておきたいと思います。

内閣総理大臣(小泉純一郎君)
 私は、前から首都機能移転論者であります。しかし、総理になって、いろんな課題ありますよ、どれを取り上げるかというのはそのときの情勢を判断しなきゃいけない。国会で議論されているわけですから、その議論を見守るべきだと。現実の問題と考えても先の話ですね、もし実現可能だとしても。そういう点から考えて、私は、せっかく国会で、委員会で熱心な議論が行われている、その結論も出ていない段階で小泉内閣として今取り上げるという問題でもないだろうと。
 将来の話として私はいろいろな意見を展開されるのは、それぞれの議員が見識を持ってやっているわけですから結構なことだと思っております。そういう中で、私の内閣の問題として現実の政治課題にのせるべきかどうかというのは、やっぱり今総理をやっている立場として考えなきゃいけない。現実の政治課題にのせるべき問題ではないな、国会の議論の行く末、結論をよく見守ってから判断しても遅くないのではないかと、そう思っております。